これで何ができるか
ブログを副業で始めると、書く時間より下調べの時間が長くなります。何について書くか、上位の記事は何を書いているか、自分が足せることは何か。ここが毎回ゼロからで、しかも面白くない。
そこでAIに頼む——のですが、いちばん頼みたくなる「検索回数の多いキーワードを挙げて」が、いちばん当てになりません。架空のキーワードで実際に2回聞いてみました。指示文は1文字も同じで、別々の新しいセッションに渡しています。
同じ指示文なのに、記事の主題そのもののキーワードが3位・約8,100から8位・2,000〜3,500へ動きました。順位で5つ、数字で2.3〜4倍です。しかもどちらの回も「ツールに接続できないので推定です」と自分から断っていました。断ったうえで、具体的な順位が並びます。そして構成案は、その順位を根拠に組まれます。
だからこの記事では、数字をAIに聞くのをやめます。代わりに、上位記事の見出しをそのまま貼って、「どこが空いているか」を記事番号つきで出させます。見出しは自分の目の前にある確かな材料なので、返ってきたものをその場で照らし合わせられます。
そしてこの形は、毎朝ひとりでに走らせられます。ただし、自動実行に載せようとして出力を短くすると、貼ったものが静かに消えます——そこが本題です。
前提
| かかる時間 | 30分(自動化まで進めるなら+1時間) |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 用意するもの | 狙うキーワードで上位に出ている記事の見出しをコピーしたもの(5〜6本ぶん) |
| プログラミング | 不要。自動化まで進めるときも、仕組みはAIに作らせます |
⚠️ この記事は下調べが楽になる話です。アクセスや収入が増えることを約束するものではありません。「これで稼げる」とは書きません。
AIに本文を書かせて、そのまま投稿しない。この記事でAIに渡すのは、下調べと検品だけです。上位記事の見出しをそのまま真似て並べた記事を出しても、6本目のそっくりさんが増えるだけになります。
以下の実測は、架空の検索キーワード「賃貸 食洗機 設置」で上位に出ていたことにした架空の記事6本・見出し39件(重複を除くと32件)で行いました。実在の記事ではありません。試した記録は docs/evidence/blog-research-from-headings.md に全部あります。
AIへの頼み方
1. 検索回数は、AIに聞かない
冒頭の実測がその結果です。使わない頼み方として先に挙げておきます。
返りは立派です。順位・推定月間検索数・記事での使いどころが表になって、構成案までおまけで付きます。問題は、その数字がどこから来たのかを誰も確かめられないことです。2回聞くと20個のうち9個が入れ替わり、順位も動きます。
数字が要るなら、Googleキーワードプランナーなどの検索ツールで自分で見るしかありません。AIに聞くのは、そのあとの工程です。
2. 数字の代わりに「上位のどれが触れているか」を書かせる
数字を禁止するだけだと、AIは別の埋め方を探します。禁止したら、代わりに何を書くかまで渡します。
実測では数字が1つも出ませんでした。20項目すべてに記事番号が付き、そのうち1つ(電気代・水道代)が「なし」になりました。「なし」が付いた行が、上位の誰も書いていない場所です。
「1本も無ければ『なし』と書いてください」の一行が要ります。これが無いと、当てはまらない項目は行ごと落ちます。
3. 見出しを貼って、論点ごとに記事番号と引用を出させる
ここが下調べの本体です。素朴に頼むと、こうなります。
これでもかなり返ってきます。実測では6/6・5/6・4/6と本数で整理し、「キーワードが賃貸なのに、許可・原状回復の話は6本中2本しかない」という指摘まで出ました。出現本数の主張は、仕込んだ真値と全件合っていました。
ただし返りは散文です。読むにはいいのですが、そのままファイルに残せません。毎朝ひとりでに走らせるなら、行の形を決めます。
実測では26行が返り、貼った32件の見出しが1件残らず一覧の中に出ました。引用の捏造は0件、記事番号と引用の食い違いも0件です。
3つの但し書きが、それぞれ別の仕事をしています。
- 「見出しに実際に書かれている言葉だけを」=論点名が原文のままなので、自分の手元の見出しと突き合わせられます
- 「1本にしか出てこない論点も、省かずに」=1本だけの論点こそが、上位が薄い場所です。共通点だけ集めると、ここが丸ごと消えます
- 「本数は書かないでください。記事番号だけ」=本数はAIに数えさせず、記事番号から自分で数えます
4. 「どの記事にも出てこない論点」は、別の1回として聞く
3番の一覧は「貼ったものの中に何があるか」しか教えてくれません。書かれていないものは、そこには出てきません。別の1回として聞きます。
実測では6件(専用洗剤・使ったあとの手入れ・運転時間・水漏れと保険・洗えない食器・乾燥)が挙がり、代表語を6本の見出しで検索したところ、6件とも1件も存在しませんでした。
効いたのは最後の2文です。「1つも見つからなければ『無い』と答えてください。数を埋めなくてかまいません」を付けると、断定と留保が分かれて返ります。実測では、AIが自分から「かすっているので完全な抜けとは言えないもの」を3件(ランニングコスト・本体価格・置き台の耐荷重)別枠にして出してきました。この3件目のグループが、いちばん書く価値のある場所だったりします。
5. 毎朝の形に短くすると、貼ったものが静かに消える
ここからが自動化の話です。毎朝ひとりでに走らせるなら、返りはそのままファイルに追記できる形でなければいけません。前置きも、まとめも、表の飾りも邪魔です。そこでこう短くしました。
形はきれいに揃いました。中身が減りました。
貼った32件のうち、一覧に出たのは22件と19件でした。しかも同じ指示文の2回で行数が22と16、論点名が完全に一致したのは4件だけです。
消えた理由ははっきりしています。出力を短くするとき、3番にあった「まとめた言い方に置き換えないで」「1本だけの論点も省かずに」の2行を一緒に落としたのが原因でした。この2行は出力の見た目に関係しないので、短くする作業のときにいちばん削られやすい場所にあります。
そして返ってきた一覧は、毎回きちんと整った表に見えます。行の形が揃っているぶん、抜けたことは画面から分かりません。
6. 落とさせない一文を、短くしたあとに足し直す
形の指定はそのままに、但し書きを戻します。さらに全件を割り当てさせる一文を足しました。
これも2回走らせました。一覧に出た見出しは29/32と32/32、2回で論点名が完全一致したのは21件(短くしただけのときは4件)。行数も27行と26行で揃いました。
最後の「1つ残らずどれかの行に出るように」が効いています。AIに「何を書くか」ではなく「何が残っていなければいけないか」を渡す言い方で、貼った材料の側から検算できるようになります。
なお2回目の返信には、こんな申し送りが付いていました。
「1行につき見出しの引用は1つ」と「貼った見出しを1つ残らず出す」は同時には満たせないため、引用に載らない見出しは論点欄に原文のまま使い、全38見出しが論点欄か引用欄のどちらかに必ず1回は現れる形にしています。
この指摘は正しいです。矛盾する条件を渡したときに黙って片方を捨てられると気づけないので、こう報告してくれる形のほうが安全です。自動化に載せるなら、申し送りだけは別の行に出すよう決めておくといいでしょう。
7. 待ち行列に1行足すだけにして、決まった時刻に動かす
ここまでで、毎朝同じ形が出ることを2回転で確かめました。あとは置き場所と時刻を決めるだけです。
「作る前に、私が用意しなければいけないものを先に挙げてください」を最後に付けます。実測では、これがこの記事の設計の穴を先に見つけました。
つまりこの指示文は、キーワードだけでは成立せず、"6本ぶんの記事見出しの一覧" が一緒に渡って初めて成立します。queue.txt に入るのはキーワード1行だけなので、キーワード → 見出し6本 に変える工程が別に要ります。
そのとおりです。1行足すだけにしたいのに、指示文のほうは見出し6本を要求している——書き始めていたら、動かないものが出来上がっていました。ほかにも、JST 7時は cron では前日の UTC 22時になること、ファイル名にできない記号の扱い、失敗した行を「済」にしない扱いなど、決めていない項目が挙がってそこで止まりました。コードを1行も書く前に止まったのが、この一文の効き目です。
材料を1行足すだけの形にする作り方は気になったURLを1行足すだけで、AIに調べて下書きを書かせるに、決まった時刻に動かす部分は「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせるに、それぞれ手順として書いてあります。この記事で作った指示文を、あちらの仕組みに載せるだけです。
⚠️ 指示文はスクリプトの中に固定します。毎朝その場で少しずつ言い換えていると、5番で見たとおり中身が揺れて、前の日と比べられなくなります。
うまくいかないときの言い直し方
毎朝ちがう論点名で出てきて、前の日と比べられない
5番がそのまま起きています。論点名を「まとめてよい」ことにすると、まとめ方が毎回変わります。「見出しに実際に書かれている言葉だけを使ってください」を戻してください。
確かめ方は簡単で、同じ指示文を2回走らせて、論点名を並べるだけです。実測では、この一文の有無で一致が4件と21件に分かれました。自動化する指示文は、置く前に必ず2回走らせて突き合わせる——1回では「毎回同じ形で出る」とは言えません。
貼ったものが全部出たか、数えるのが面倒
数えなくて済む形にします。仕上げにこう頼みます。
5番で10件が消えた一覧をそのまま渡して試したところ、消えた10件を、過不足なく10件とも挙げました(挙げ漏れ0・誤検出0)。一覧の書き直しもしていません。
「一覧そのものは書き直さないでください」が要ります。これが無いと、指摘の代わりに直った一覧が返ってきて、何が抜けていたのかが消えます。同じ型は長い文書の要約から「ただし書き」だけが静かに消えるのを防ぐで詳しく扱っています。
⚠️ これは自己申告ではありません。別の会話に「貼った見出し」と「出てきた一覧」を並べて渡したから当たっています。同じ会話で「抜けはある?」と聞くのとは別物です。
「空いている論点」が、本当に空いているのか不安
そのための引用です。挙がった論点ごとに、6本の見出しの中で近い語を1つ挙げさせて、それを自分の手元の一覧で検索します。実測では、挙がった6件とも代表語が1件も存在しませんでした。
⚠️ 見出しに無い=本文にも無い、ではありません。見出しに立っていないだけで、本文で触れている可能性はあります。空いていそうな論点は、実際にその記事を開いて確かめてから書くことを決めてください。
記事番号は付いているのに、引用が無い行がある
2番の実測で起きました。「蛇口の形」の行に記事2が挙がっていましたが、記事2の見出しに蛇口の語はなく、「型番調べの流れの中で」という推測でした。
これは悪いことではありません。引用が付いている番号と、付いていない番号が見た目で分かるからです。推測が混ざるのが困る場合は、こう足します。
実測では、問題の「蛇口の形/記事2」がはっきり「推測」と印を付けられました。付いた引用33件は、いずれも本当にその記事の見出しでした。語ごとに「ここは確かめられる/ここは推測」と割れて返るので、行ごと捨てずに済みます。
下調べは溜まるのに、記事が書けない
自動化するといちばん起きる詰まりです。毎朝の結果を全部読もうとしないこと。読むのは「なし」が付いた行と、1本にしか出てこない論点だけで足ります。それ以外は上位6本が既に書いていることなので、読んでも書くことは増えません。
応用・次の一手
自分の原稿を検品させる工程に繋ぐ。下調べが自動で溜まるようになったら、次の詰まりは書いたあとです。誤字と重複だけを直させて言い回しは残す頼み方は誤字と重複だけ直させて、自分の言い回しは残す頼み方、中身が伝わるかを直させずに言わせる頼み方は人に見せる前の下書きは、AIに直させずに「どこが伝わらないか」だけ言わせるにあります。
本文に数字を書くときは、出典ごと受け取る。この記事は「検索回数の数字をAIに聞かない」話でしたが、同じことが記事の中身でも起きます。数字を埋めさせない頼み方はAIに数字を「それっぽく」埋めさせないための頼み方、調べものを出典つきで受け取る形は調べものは「答え」ではなく「答えと出典」で受け取るにまとめてあります。
自動実行そのものを見張らせる。毎朝走る形にすると、止まったことに気づけなくなります。0件が続いても「異常なし」に見えてしまうためです。自動化が静かに壊れたのを、AIに見つけさせるの型を、この仕組みにもそのまま当ててください。
⚠️ この記事の実測は、架空のキーワードと架空の記事6本で行ったものです。返ってくる文言は、使うAIや状況によって変わります。変わらないのは、貼った材料の側から数えれば抜けが分かるという形のほうです。数字も文言も、最後は自分の手元の材料と突き合わせてください。