これで何ができるか
自分が投げたきり返ってこないものを、毎朝ひとりでに出してもらう形です。送信済みの一覧と受信の一覧をAIに渡して、「私が送ったのに返事が来ていないもの」を並べさせます。出てきた一覧を見て、催促するかどうかは自分で決めます。
このサイトのメールの記事は、これまで全部受け取った側の話でした。返信が要るメールだけ抜き出すも受信箱を毎朝ひとりでに仕分けるも、来たものをどう捌くかを扱っています。この記事は向きが逆で、自分が投げて返ってこないものを数えます。
やってみると、いちばん怖いのは見落としではありませんでした。返事が来ている相手を催促することです。相手は答えたのに、こちらは「無視された」という前提でもう一度送る。取引先が相手なら、これは見落としより高くつきます。
そこで、架空の「送信済み30行」と「受信25行」を2本(会社の総務課/地域のお祭りの事務局)作り、返事が来ているのに件名が別物になっている返信を、1本につき3件仕込みました。指示文を6通りに振って、材料2本 × 各2回 = 全24回通しています。催促すべきは6件(本当に未返信の5件+同じ用件を2回送った1組)で、走らせる前にコードで確かめてあります。
分かったことは3つです。
① 見落としは起きませんでした。本当に未返信の5件は、24回のうち23回で5件とも挙がりました。仕込んだ罠——未返信の相手から別件のメールが届いている3件——を「返事が来た」と取り違えた回は、24回で0件です。同じ相手から来ているだけでは返事と数えない、はきちんと守られました。
② 崩れたのは「件名を変えて戻ってきた返事」のほうです。件名を変えて戻ってきた返事は、そのまま頼んだ4回では12回中0件だったのに、自動実行のために形を決めていく途中で混ざりはじめました。いちばん多かったのは③の版(12回中6件)で、足した一文は「同じ用件を2回以上送っていたら1行にまとめてください」です。返事の判定とは何の関係もない一文でした。
③ 一覧の件数そのものが、同じ指示文の2回で割れます。そのまま頼んだ4回は 6・6・6・6 件でしたが、出す形を決めた版は 11・5・9・7 件。毎朝この一覧だけを見る形にすると、割れていること自体が画面から消えます。
前提
| かかる時間 | 25分。一覧の作り方を決めるのに1回だけかかります |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 必要なもの | ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と、送信済み・受信の2つの一覧 |
| プログラミング | 不要。メールソフトから貼り付けたテキストで動きます |
⚠️ この記事で作るのは「催促すべき相手の一覧」までです。催促のメールを書かせたり送らせたりはしません。文面を作らせると下書きのつもりが、そのまま送れる文面になるほうの問題に入ります。
📌 数字はすべて架空データでの実測です。材料の一覧は、日付・宛先・件名・用件(送信側)と、日付・差出人・件名・本文の冒頭2行(受信側)だけの、文字だけのものです。画像は使っていません。
AIへの頼み方
1. まず、そのまま頼んでみる
このあとに 【送信済み】 として送信の一覧を、【受信】 として受信の一覧を、そのまま貼ります。
4回とも、催促すべき6件ちょうどが返りました。しかも4回とも、罠の3件(未返信の相手から別件のメールが届いているもの)を自分から名指しして外しています。返り自身の言葉です。
8/8に「配送センター移転のご案内」は来たが別件。単価の回答なし
件名が変わって戻ってきた返事3件も、4回とも催促の一覧には入りませんでした。材料Bの1回はこう書いています。
花火のヤマキ・保険の犬飼さん・弁当のふじ乃の3件は件名に「Re:」が付いていませんが、中身はこちらの問い合わせへの回答なので返信済みとして扱いました。
🔑 つまり、手で1回やるぶんにはこの頼み方で足ります。問題はここから先です。
2. 毎朝ひとりでに走らせるために、出す形を決める
散文で返ってくるものは、毎朝そのまま読むには長すぎます。行の形を決めます。
返りは狙いどおり1行1件になりました。中身は崩れました。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 会社の総務課の材料 | 11件 | 5件 |
| お祭りの事務局の材料 | 9件 | 7件 |
11件のほうには、こちらが返事を求めていない送信が4件入っています(「7月分の備品購入の集計」「清掃日変更のお礼」「トナー受領のご連絡」「Wi-Fi復旧の確認とお礼」)。5件のほうでは、本当に未返信の「制服のクリーニング単価の改定」が落ちました。この1回が、24回で唯一の見落としです。
もうひとつ、同じ用件を2回送っている組が、4回中3回で2行に割れました(会社の総務課の材料でいえば、8/5に送った「懇親会の会場の見積もり」と、8/12の「【再送】懇親会の会場の見積もり」)。そのまま催促すると、1つの用件で2回つつくことになります。
3. 同じ用件を2回送ったものを、1行にまとめさせる
これは効きました。この一文を足した③〜⑥の16回すべてで、再送の組は1行にまとまっています。
🚨 ところが、この版で初めて「返事が来ている相手」が催促の一覧に入りました。返事が来ている相手が、4回とも入り、合わせて12回中6件です。会社の総務課の材料の2回目では、件名を変えて戻ってきた3件が3件とも並びました——「複合機の保守契約の更新について」「会議室のエアコンの点検日」「駐車場の1台追加の可否」。3件とも、受信の一覧に答えが書いてあります。
足した一文は「まとめてください」で、返事かどうかの判定には触れていません。それでも判定のほうが動きました。
4. 返事かどうかを、件名で決めさせない
件名を変えて戻ってきた返事の誤催促は、12回中6件から1件まで減りましたが、0件にはなりません。残った1回(お祭りの事務局の材料・2回目)は、一覧の1行目がこうなっています。
8/4 /花火のヤマキ /打ち上げ本数の見積もり — ※返信あり(件名不一致)
そして一覧の下に、こう添えてあります。
※1行目は8/6にヤマキから見積もり2案が届いているため、本来は「返事あり」です。行を消さずに残しましたので、除いてお使いください。
🚨 気づいてはいるのに、行は残っています。毎朝これを表計算ソフトに貼る形にすると、下の断り書きは貼られず、行だけが残ります。
そしてこの版では、返事の要らない送信が入る回が増えました(4回のうち2回で6件ずつ)。「返事が来ていないもの」と頼んでいるので、お礼メールも社内の周知も、字義どおりには返事が来ていません。こちらが「催促すべきもの」と書いていないぶんが、回ごとにどちらへも転びます。
5. 決められないものの行き先を作る
この版で初めて、催促の一覧が6件ちょうどに戻った回が出ました(4回中2回)。会社の総務課の1回目は、催促6件が真値どおりで、〔決められない〕には「確認のうえ改めてご連絡いたします」だけが返ってきた2件が入りました。
⚠️ 残る2回は 13件と9件です。しかも13件の回では、件名が変わって戻ってきた3件のうち2件が〔決められない〕へ、1件が催促の一覧へ割れました。受け皿は行き先を1つ増やしますが、どの行がそこへ行くかまでは決めません。
6. 毎朝そのまま貼る保存版にする
自動実行に置くために短く畳んだ形です。
返す形は4回とも崩れませんでした。余計な文章が付いた回は0回、送った回数の欄も4回とも入っています。返事の要らない送信が混ざった回も0回です。
🚨 代わりに、この版でだけ起きたことが1つあります。会社の総務課の2回目が、普通に「Re:」付きの返事が来ている1件を催促の一覧に入れました。「8月の定期清掃の日程」で、受信の一覧にはこう書いてあります。
Re: 8月の定期清掃の日程 第3土曜への変更、承知しました。/8月16日9時からで確定といたします。
24回のうち、これが唯一の回です。
うまくいかないときの言い直し方
一覧の件数が、日によって11件と5件に変わる
材料も指示文も1文字も変えずに、同じ材料の2回でこうなります。会社の総務課の材料では、②の版が 11件と5件、④の版が 8件と12件、⑤の版が 6件と13件でした。
毎朝この一覧だけを見ていると、割れていることは分かりません。どの朝の一覧も、それらしく整っているためです。⚠️ 置く前に、同じ材料で2回走らせて、行の数と宛先を突き合わせてください。1回では「毎朝同じ形で出る」とは言えません。2回ぶんの出力を自分で見比べるに、比べ方の型があります。
お礼や社内の周知まで、催促の一覧に入る
④の版の4回のうち2回で、6件ずつ入りました(「返信は不要と書いた」全社宛の周知、送っただけの集計表、お礼だけのメール)。
⚠️ これはAIが間違えたのではありません。こちらが「返事が来ていないもの」と書いているので、字義どおりには全部そのとおりです。「催促すべきもの」と書いていないぶんが、回ごとにどちらへも転びます。⑥の保存版は「私が送ったのに返事が来ていないものだけを出してください」と書いていて、この混入は4回とも0件でした。
📌 送信の一覧の側に「返事が要る/要らない」の欄を自分で1つ足すという手も考えられます。判定を渡さずに、判定の材料をこちらが持つ形です。⚠️ ただしこの24回では試していません。試したのは、⑥のように指示文の側で「〜ものだけ」と絞る形までです。
「確認します」だけの返信を、どちらに数えるか決まらない
「社内で確認のうえ、あらためてご連絡いたします」だけが返ってきた2件を、指示文ではどちらとも書きませんでした。行き先は版ごとにばらばらです。①では4回とも催促の一覧の外に置かれ、4回とも自分で別の見出しを立てました(「一次返信だけで、本回答が来ていない(実質待ち)」など、見出しの名前は4回とも違います)。③④では8回のうち7回が催促の一覧に入り、⑤⑥では8回のうち6回が〔決められない〕に入りました。
🔑 こちらが決めていないことは、回ごとに決まります。⚠️ どちらでもいいのではなく、どちらかに決めて指示文に書いてください。
📌 ただし、⚠️ 「書けば毎朝同じ答えになる」かどうかは、この24回では試していません(この2件の扱いは、6つの指示文のどれにも書かなかったため)。逆向きの結果なら③で出ています——「同じ用件は1行にまとめて」という書いた一文は守られたのに、書いていない返事の判定のほうが崩れました。書けば必ずそろう、とは言えません。
返りの中に、言い直しが混ざる
24回のうち3回で、最初に1行出したあと自分で言い直しました(1回は2度)。文面は3回とも違います。
失礼しました。以下が返事待ちの一覧です。
失礼しました。以下が返事の来ていないものです。
上記は誤記です。以下が回答です。
🚨 自動実行では、この取り消しは効きません。ファイルに保存されるのは返り全体なので、取り消されたはずの1行目もそのまま残ります。実際、③の版の2回はどちらも1行目に誤った行が残ったままです。⚠️ 保存する前に、返りの1行目が一覧の1件目になっているかだけは見てください。
「これは返事が来ています」と書いてあるのに、行は残っている
④の版の1回が、催促の行を出したうえで、一覧の下にこう書きました。
※1行目は8/6にヤマキから見積もり2案が届いているため、本来は「返事あり」です。行を消さずに残しましたので、除いてお使いください。
断り書きは一覧の外にあり、貼るのは一覧のほうです。この形は材料が足りない日に印を残させるでも出ています。あちらでは、行の1行目の先頭に〔本文未読〕という印を付けさせる形が160件中160件で効きました。
📌 同じ手がここでも効くかは、この24回では試していません。⚠️ 6つの指示文のどれにも「印を付けて」とは書いていないので、試したのは「〔決められない〕という別の見出しへ移す」ほう(⑤⑥)までです。印にする形を試すなら、それは次の実測になります。
応用・次の一手
まず1回、手でやってみてください。①のそのままの頼み方は、この実測では4回とも正解でした。毎朝の自動実行にするのは、そのあとです。この記事の数字は全部、「手でやったときには出なかった間違いが、形を決めてから出た」という向きに揃っています。
決まった時刻に走らせる仕掛けそのものは毎日決まった時刻にAIを動かす仕掛けを作らせるにあります。走らせはじめたら、渡した材料を毎回数えさせるを継ぎ目に置いてください。送信済みが30行あるはずの朝に20行しか貼られていなくても、一覧はやはりそれらしく出ます。
⚠️ 催促の文面までは作らせないでください。この記事で作るのは一覧までです。相手に出す文は、条件を決めずに返信の下書きを作らせないの型で、自分が決めるところを空欄にしたまま止めます。
📌 この記事は「返事が来ているかどうか」だけを測りました。「何日空いたら催促するか」は一度も測っていません。返りは頼まなくても「再送からも10日以上空いているので、メールではなく電話に切り替えたほうが確実です」「もう2週間以上経過しています」と書いてきますが、その線引きを決めるのはこちらです。日数の線を引くなら、それは別の記事になります。