これで何ができるか
副業で仕事を受けるとき、いちばん揉めるのは金額ではありません。「それも込みだと思っていた」の境目です。
境目を先に決めて、相手に見せられる1枚の表にする——ここまでをAIと組んでやります。ただしこの記事の中心は「表を作らせる方法」ではありません。作らせた表の中に、自分が決めていない線が何本入っているかを数えるところです。
架空の「私ができること7件」と「私がもう決めていること3件(納期・修正回数・支払い)」を材料にして、種類の違う材料2本で、同じ指示文をそれぞれ2回ずつ、合わせて24回試しました。分かったのは3つです。
- 含まれないことは、頼まないと安定して出ない。そのまま頼んだ4回のうち、1回は1項目も並びませんでした
- こちらが決めていない上限が、線として表に入る。「写真3枚まで」「公開後14日以内」——材料には枚数も期間も1文字も書いていません
- 同じ指示文の2回で、判定そのものが入れ替わる。7項目すべてが「未定」の回と、7項目すべてが「含む」の回が出ました
前提
| かかる時間 | 20分 |
| 費用 | 無料。ブラウザのチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 自分ができる作業の一覧と、もう決めた条件(納期・修正回数・支払いなど) |
| プログラミング | 不要。指示文をコピーして、材料を貼るだけです |
先に自分で決めておくことが1つだけあります。「もう決めたこと」と「まだ決めていないこと」を、自分の中で分けておくことです。ここが混ざったまま渡すと、返ってきた表のどれが自分の決定なのか、あとから見分けられなくなります。
条件が決まったあとで相手に文面で伝える工程は、取引先への返事をAIに整えさせると、自分が決めた条件のほうが緩むに分けてあります。この記事はその手前——伝える中身そのものを決めきるところです。
AIへの頼み方
1. まず、そのまま作らせて、何が入るかを見る
いきなり良い頼み方から始めません。素朴に頼んだときに何が起きるかを見ておかないと、あとの指示文がなぜ効くのか分からないからです。
4回とも、そのまま相手に見せられそうな表が返りました。問題は中身です。材料には枚数も字数も期間も1文字も書いていないのに、こういう行が入ります。
| 返ってきた行 | 材料に書いてあるか |
|---|---|
| 参考ページの調査(5件まで) | 書いていない |
| 写真の選定と挿入(3枚まで) | 書いていない |
| 簡単な図の作成(2枚まで) | 書いていない |
| 公開後14日以内の誤字修正 | 書いていない |
| 本文執筆(3,000字まで) | 書いていない |
材料に無い「数字+単位」を数えたら、そのまま頼んだ4回で延べ15件ありました。しかも同じ材料の2回で中身が違います。1回目に出た5件のうち、2回目にも出たのは「3枚」と「14日」の2つだけ。かわりに2回目は「5ページまで」という別の線を引いています。
2. 「含まれないもの」を、必ず並べさせる
そのまま頼んだ4回のうち、含まれないことが1項目も並ばなかった回が1回ありました。残る3回も、別表・列・見出しと形がばらばらです。頼まないと出ない、と考えたほうが安全です。
これで4回とも7件そろいました。ただし、ここで止めてはいけない理由が返り自身に書いてあります。
含まれない側は私が一般的な線引きから補ったものなので、実際に引き受けるつもりのものがあれば含まれる側へ移してください。
つまり「含まれないこと」の一覧は、あなたの決定ではなくAIの一般論です。読んで消すか残すかを決めるまでは、下書き以上のものではありません。
3. 「含まれるものと同じ数だけ」で、対応を取らせる
数を縛ると、抜けが目で見えるようになります。
4回とも7件ちょうどで、しかも「(1の裏返し)」のように、どのできることに対応する線かまで書かれました。1行に1つと決めたので、あとで自分が消すときにも1行ずつ消せます。
返りのほうが、こちらの縛りの粗も言ってきました——「4番だけは自然な線引きが『撮影』と『有料素材の購入費』の2つあったので、1行にまとめました。分けたい場合は全体が8つになります」。数をそろえること自体が目的ではない、と返り側が断っているのは、そのまま採用してよい指摘です。
4. AIが引いた線を、〔私が決める〕に戻す
ここがこの記事の本題です。上の3つは、どれも線が引かれたこと自体は止められていません。止めるには、値を書かせない代わりの置き場所を渡します。
4回とも、AIが引いた上限は0件になりました(1件だけ、表の外の説明文で「たとえば3,000字程度」と例示された回があります)。かわりに〔私が決める:〕の印が19件・27件・26件・18件残り、そのうち表の行の中にあるのが17・25・24・17件でした。
効いているのは「決めるな」より「表の外に書くな」のほうです。相手に見せるのは表だけなので、注記に逃げた印は届きません。同じ形の効き方は問い合わせの返信を、決めていないことを決めずに下書きまで作るでも出ています。
5. 対照——「書くな」だけでは足りない
禁止だけを渡すとどうなるかも試しました(各材料1回・計2回)。
2回とも、表は材料の写しになりました。含まれないことは0件、〔私が決める〕の印も0件です。しかもAIは、足りない項目(料金・引き受けない作業・本数と文字数・修正の起点・誤字直しの期間)を表の外の注記に書きました。表だけを相手に貼る使い方をしていたら、その注意はどこにも届きません。
禁止は、受け皿と対で渡してください。受け皿の置き場所まで決めるのが4番です。
6. 相手が「これも含まれる」と思いそうな作業を、名前だけ集める
自分の7件だけを見ていると、そもそも思いつかない作業があります。判断させずに、名前だけ出させます。
1回ずつで、43件と49件の作業名が返りました。キーワード選定、タイトル案を複数出す、アイキャッチ画像の作成、目次の設置、内部リンクの設置、公開日時の予約、著作権の譲渡、ポートフォリオへの掲載——自分の7件からは出てこないものばかりです。
これは一覧をそのまま表に貼るための材料ではありません。判断させていないので、含む・含まないを決めるのはあなたです。この一覧の使い方は「思いつかなかったものを拾う」だけで、そこはAIに聞く前に、足りない情報を聞き返してもらうと同じ使い方になります。
うまくいかないときの言い直し方
表はできたのに、どの数字を自分が決めたのか分からない
これが今回いちばん多く起きたことです。返りの中には、線を引いたと断ってくれる回もありました。
※ 右列の数字(2点まで・14日以内)は、こちらで置いた仮の線です。ご希望があれば書き換えてください。
ただし、この断りが付かない回もあります。断りが無ければ、表の上では自分の決定と見分けがつきません。断りを当てにせず、上の4番の形(〔私が決める:〕を表の中に)で作り直してください。
もう1つ、簡単な確かめ方があります。自分の材料に無い「数字+単位」を探す——枚・件・字・日・回。材料に書いた覚えのない数字が出てきたら、それは全部AIが引いた線です。
2回作らせたら、まったく違う表が返ってきた
これは正常です。むしろ2回作らせないと分からないほうが問題です。同じ材料・同じ指示文の2回で、上限の中身も、含まれないことの形も入れ替わりました。
2回で割れたところが、まだ決めていないことの在りかです。割れた項目だけを拾えば、次に自分が決めるべきものの一覧になります。突き合わせの頼み方は同じ処理を2回走らせて、違いだけを自分で確かめるにまとめてあります。
「含まれない」に書いてあることが、自分の考えと違う
そのとおりです。含まれないことの中身は、材料からは決まりません。AIが一般論から補っています。1行ずつ「残す・消す・含まれる側へ移す」を決めていくのが、この工程の本体です。
このとき金額だけは、AIに決めさせないでください。今回の24回では金額(◯円)は1件も出ませんでしたが、「料金の行がありません」という指摘は何度も返りました。指摘は受け取って、値は自分で決めます。時間から値を出す工程は案件にかかる時間を、AIに当てさせず自分の記録から出すにあります。
応用・次の一手
毎回おなじ形で出す保存版にする
案件ごとに毎回やるなら、出す形まで指定した保存版を1つ持っておくと楽です。
これを材料2本で2回ずつ(計4回)走らせました。1行目も列の名前も列の数も、4回ともそろっています。AIが引いた上限も4回とも0件。ここまでは狙いどおりです。
そろわなかったのは「含む/含まない」の欄そのものです。材料Aは1回目が7項目とも「未定」、2回目は7項目とも「含む」。材料Bはその逆でした。行数も7行と10行に割れています(2回目にだけ納期・修正・支払いの3行が生えました)。
置く前に、必ず2回走らせて突き合わせてください。1回だけ見て「毎回この形で出る」とは言えません。列の名前がそろっているぶん、値が逆になっていても画面からは気づけないからです。
決まったら、そのまま条件表として持ち回る
〔私が決める:〕を全部埋めた表は、そのあと何度も使えます。見積もりを出すとき、相手から追加を頼まれたとき、断るとき——毎回この1枚に戻ればよくなります。相手へ文面で伝える工程は取引先への返事をAIに整えさせると、自分が決めた条件のほうが緩むへ続きます。
⚠️ この記事は法律の助言ではありません。契約の内容そのものについて判断が要るときは、専門の窓口に相談してください。