これで何ができるか
副業を続けていると、だんだん分からなくなります。この案件、割に合っているのか。
作業時間と報酬を記録していれば、時給は出せます。そこでAIに渡す——ここまでは自然です。実際に試しました。架空の作業記録26行(6種類の作業・案件5件・報酬98,000円)を渡して、案件ごとの時給を出させています。
計算は完璧でした。5案件とも、分数も時給も全体も、記録から計算した真値と1円まで一致します。「AIは計算が苦手だから」という警戒は、この題材では当たりませんでした。
同じ記録・同じ報酬なのに、全体の時給は5,091円から2,827円まで動きます。差は1.8倍です。動かしたのは1つだけ——打ち合わせ・提案・事務を、案件の作業時間に含めるかどうか。
⚠️ そしてそのまま頼むと、どの線引きを使ったかは1行も書かれません。返ってくるのは、きれいな表と「時給2,933円です」という1つの数字です。
順位も入れ替わります。
| 線引き | いちばん割に合わない案件 |
|---|---|
| 提案・打ち合わせも全部含める | E社記事(2,341円)、次がC社ロゴ(2,517円) |
| 制作と修正だけ | C社ロゴ(2,748円)、次がE社記事(3,200円) |
「単価を見直すべき案件」が、線引きひとつで変わります。
この記事は、自分の記録から時給を出し、それを毎週自動で出す形にするまでの8つの指示文です。記録は試した証拠にあります。
前提
プログラミングは要りません。必要なのは作業記録だけです。今回使ったのはこの形の26行です。
1 7/28 A社サイト 打ち合わせ 45分
2 7/28 A社サイト 制作 120分
3 7/29 D社 提案 90分
9 8/1 (案件なし) 事務 30分
「種類」の列がいちばん大事です。制作だけを書いていると、この記事の話は始まりません。打ち合わせ・修正・提案・事務・待ちを、それぞれ別の行にしてください。あとで含める/含めないを切り替えられます。
報酬は案件ごとに1行、状態つきで持ちます。
A社サイト 48000円 入金済
C社ロゴ 30000円 納品済・未入金
D社 0円 提案したが不採用
E社記事 8000円 着手のみ・金額は仮
⚠️ この記事で扱うのは自分の記録の集計だけです。「この作業は何時間かかりますか」「相場はいくらですか」をAIに聞く話ではありません。聞けば数字は返ってきますが、売れるものの棚卸しをAIにさせると、聞いていない金額が付いてくるの実測どおり、どれにも出どころがありません。
AIへの頼み方
1. まず、そのまま頼むと何が返るか
返ってきた表は、5案件とも真値と完全一致でした。分数も、時給も、全体の2,933円も。
そのうえで、返りにはこう書いてあります。
E社記事は単価に対して制作時間が長く、今後同種の案件を受ける際は単価の見直しを検討されるとよいかもしれません。
⚠️ この助言は、6種類の作業を全部含めた線引きの上に乗っています。制作と修正だけで見れば、E社は最下位ではありません。数字が合っているので、線引きが選ばれたことに気づけません。
さらに、D社(提案130分・報酬0円)が「時給0円」の行として表に並びます。受注に至らなかった営業の時間が、案件の成績として混ざった形です。
2. 計算の前に、線引きだけを出させる
「まだ計算しないでください」を付けると、表ではなく選択肢が返ります。
【線引き1】どの種類の作業を、案件の作業時間に含めるか → 影響がいちばん大きいのはC社ロゴです。修正が3行(130分・85分・75分)あり、制作の365分に対して修正が290分あります。含めるかどうかで倍近く動きます。
線引きは4つ返りました。作業の種類・提案(営業)の扱い・案件に紐づかない事務の扱い・報酬が確定していない案件の扱いです。
付けないと、返るのは表です。表が返ってきた時点で、線引きは決まってしまっています。
3. 線引きを渡してから、計算させる
表の数字は15個すべて真値と一致しました。効いているのは最後の一文です。
合計 395分。制作+修正 1,685分と足すと 2,080分で、記録の総分数と一致します。
除いた時間を捨てずに別で持たせると、足し戻して確かめられます。除いた時間が消えると、その時間は「無かったこと」になります。⚠️ 打ち合わせ135分・提案185分・事務75分は、実際に自分が使った時間です。
4. 集計させずに、行番号だけを割り当てさせる
数字を自分で持ちたいときは、こうします。
26行が重複0・欠番0で返りました。
A社サイト … 1, 2, 4, 6, 7, 10, 14, 17, 23(9行) C社ロゴ … 11, 12, 16, 19, 20, 24(6行)
これなら、合計は表計算ソフトで自分で出せます。AIに数えさせないのではなく、あとから何度でも数え直せる形で出させるのが要点です。数字の異常を探す型はExcelの表を渡して、おかしい数字を先に見つけさせるにまとめてあります。
5. 2つの線引きで、低い順に並べさせる
🚨 1位と2位が入れ替わりました。
【線引きA:全部含める】1. E社記事 2,341円 2. C社ロゴ 2,517円 【線引きB:制作と修正だけ】1. C社ロゴ 2,748円 2. E社記事 3,200円
⚠️ 「低い理由は書かないでください」を必ず入れてください。入れないと、1番で見たような「単価の見直しを」が付きます。なぜ割に合わないかは、記録からは分かりません。E社が遅いのか、自分が慣れていないのか、見積もりが甘かったのか——記録に書いていないことは、AIの側にも分かりません。
6. 報酬の状態を、混ぜさせない
入金済だけなら 4,091円、全部入れると 3,490円。差は 601円です(3つとも真値と一致)。
どちらを「自分の時給」と呼ぶかは、決めていただく必要があります。
まだ受け取っていないお金と、受け取ったお金を同じ表に並べると、平均が実態より良く見えます。未入金の30,000円は、入るまでは時給ではありません。
7. 毎週、同じ形で出す(そして2回走らせる)
ここから自動化です。出す形を固定します。
⚠️ 必ず2回走らせて、突き合わせてください。実測ではこうなりました。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 表の行数 | 5行 | 4行(D社が消えた) |
| 「表に含めていない時間」の行 | あり | 無い |
| E社の状態 | 着手のみ・金額は仮 | 仮 |
| 数字(分数・時給) | — | 全部一致 |
🚨 数字は1つも違わないのに、案件が1件と行が1行消えました。D社は報酬0円なので、消えても合計は変わりません。だから数字の突き合わせでは見つかりません。毎週この表だけを見ていたら、営業に使った130分が静かに消えたことに気づけません。
同じ症状は置くだけで走る文字起こしの整形を、毎回同じ形で出させるでも出ています。あちらは形はそろうのに中身の方針が割れる、こちらは数字はそろうのに行が消える。⚠️ 1回では「毎回同じ形で出る」と言えません。
8. 記録が0行の週に、何を出すか決めておく
7番の指示文をそのまま0行の週に当てると、600字ほどの散文の断り文が返りました。自動で保存すると、集計ファイルの中身が断り文に入れ替わります。8番の一文を足すと、枠がそのまま返ります。
「今週は0行だった」と「そもそも走らなかった」を、見分けられる形にしておきます。自動化で怖いのは失敗ではなく、静かに止まったのに気づかないことです。見張らせ方は自動化が静かに壊れていないか、AIに見張らせるにあります。
うまくいかないときの言い直し方
どの線引きが「正しい」のか分からない
正しい線引きはありません。用途で決めます。
- 次の見積もりに使う → 打ち合わせ・修正まで含める(実際に取られる時間だから)
- 作業そのものの速さを見る → 制作だけ
- その月に本当に稼げたかを見る → 入金済だけ
⚠️ 決めたら、7番の最後の行に書いてください。書いておけば、来月の自分が同じ線で比べられます。
案件ごとの記録が付いていない
先に記録の形を作ります。日付・案件・種類・分の4列だけで足ります。「種類」の列を後から足すのは、ほぼ不可能です——何をしていた30分か、あとでは思い出せません。
数字が実感と合わない
4番で行番号を出させて、自分で足し直してください。実感と合わないときは、たいてい線引きか、記録の抜けです。AIに「なぜ実感と合わないのか」を聞くと、記録に無い理由が返ってきます。
時給が低いと分かったが、次にどうすればいいか出てこない
⚠️ そこはAIに決めさせないでください。記録にあるのは分数と金額だけで、値上げできる相手かどうかは書いてありません。断り方や条件の伝え方は取引先への返事をAIに整えさせると、自分が決めた条件のほうが緩むにあります。条件を決めるのは自分です。
応用・次の一手
毎週、決まった時刻に自動で出せます。記録のファイルを1つ置いて、7番と8番の指示文を固定するだけです(「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせる)。⚠️ 置く前に、7番の2回転を必ずやってください。実測で消えたのは数字ではなく行でした。
何週つづけて時給が下がっているかも見られます。毎週の表を残しておけば、案件ごとの推移が並びます。⚠️ ただし前の週の出来上がりを次の週に渡さないでください。書き溜めたメモから、毎週の報告書を自動で置いておかせるの実測では、AIが1度足した文が世代を越えて残りました。毎週、記録から作り直すのが確実です。
この記事の外に置いたもの。確定申告や経費の扱いは書いていません(税務の判断はしません)。「この作業は何時間かかるか」という見積もりの出し方も、この記事の範囲外です。ここで扱ったのは、すでに終わった自分の作業の記録を、数え直せる形にすることだけです。