これで何ができるか
副業をしていると、いちばん判断に困るのがこれです。いま3件抱えている。そこへ新しい依頼が来た。受けられるのか。
計算そのものは、引き算1本です。使える時間 − いま抱えている案件 − 新しい依頼 = 差。難しいのは計算ではなく、材料を集めて並べるところです。AIに任せられるのは、まさにそこです。
架空の材料(2週間ぶんの予定表・抱えている案件3件・幅つきの見積もりが付いた新規の依頼1件)を、きつい側と余裕がある側の2本作り、7個の指示文を合わせて20回通しました。
- 計算は毎回正しかった。使える合計・既存の残り・差・新規の下限と上限は、どの頼み方でも材料から計算した真値どおりでした
- そのまま聞くと、判断が付いてくる。「受けられます」「対応できます」「見送り」といった言い切りが、4回で 2語・3語・1語・3語
- 「計算だけしてください」にすると、言い切りは4回とも0語になり、返りは3,241字から338字まで縮みました
受けるか断るかを決めるのは、あなたです。AIに渡してよいのは引き算までで、そこから先は渡さないほうがいい、というのがこの記事の結論です。
前提
| かかる時間 | 15分 |
| 費用 | 無料。ブラウザのチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 2週間ぶんの空き時間の枠・抱えている案件の残り分数と締切・新しい依頼の見積もり |
| プログラミング | 不要。3つを貼って、指示文をコピーするだけです |
1件が何時間かかるかは、この記事では扱いません。そこは案件にかかる時間を、AIに当てさせず自分の記録から出すにあります。この記事は、その見積もりが出たあと——それが「自分の予定表に入るのか」を見るところです。
見積もりは幅で持ってきてください。今回の材料は下限800分・上限1,120分にしてあり、下限なら入り、上限なら入りません。どちらを使ったかで答えが逆になる、というのがこの題材の芯です。
AIへの頼み方
1. まず、そのまま聞いてみる
4回とも、引き算は正確でした。真値の7つの数(使える合計2,160分・既存1,140分・差1,020分・下限800分・上限1,120分・220分あまる・100分たりない)が、ほぼ全部そろって出ます。
そのうえで、判断が付いてきます。
結論:条件を付ければ受けられます。無条件なら断ったほうがいいです
この判断には、あなたの事情が1つも入っていません。単価も、その取引先と続けたいかも、来月の予定も、材料には書いていないからです。それでも文の形は結論なので、読むとそこで決まった気になります。
返りはどれも長く、1,974字から3,241字ありました。読むほうも、どこが計算でどこが意見かを分けながら読むことになります。
2. 判断をやめさせて、引き算の4つの数だけ出させる
これがこの記事でいちばん効いた形です。
4回とも、受ける・断るの言い切りは0語でした。長さも 338字〜612字まで落ちています。数字は4回とも真値どおりです。
「私が決めます」を先に置くのが効いています。禁止だけを渡すのではなく、決める人が誰かを書いてから禁止しています。同じ形は引き受ける範囲を決めきるの〔私が決める〕欄にも出てきます。
3. 材料に無い前提を、〔前提〕として別の行に出させる
引き算が成り立つには、実は前提がいくつも要ります。それを本文に混ぜさせず、名前で出させます。
各材料1回ずつ。前提が行として並びました。
〔前提〕枠(平日夜120分×10日、土日午前240分×4日)が、2週間ぜんぶ欠けずに使える。体調を崩さない、残業で夜の枠が潰れる日が無い。 〔前提〕枠の時間はまるごと作業に充てられる。移動・打ち合わせ・食事は枠の外にある。
これらは全部、材料には1文字も書いていないことです。指示文1では同じ内容が本文の途中に散らばっていて、名前が付いていませんでした。名前が付くと、そのうち何個が自分にとって本当かを、1行ずつ判定できます。
4. 締切ごとに区切らせる
合計だけの引き算には、抜けがあります。締切が違えば、使える時間も違うからです。
これで、合計の引き算では見えない形が出ました。新しい依頼に回せるのは合計で1,020分あるのに、いちばん最後の区間(既存3件の締切がすべて過ぎたあと)には360分しか残っていません。つまり前倒しできるかどうかが、この案件の実際の分かれ目です。
「合計では入る」と「締切ごとに見ても入る」は別の話です。片方だけを見て決めないでください。
5. 「◯分余る/◯分足りない」だけを出させる
判断も理由も要らず、数だけほしいときの形です。
各材料1回ずつ。「下限で220分余る/上限で100分足りない」が真値どおり返りました。頼んでいないのに、答えを変える前提を自分から書いた回もあります——「8月31日の120分を計算に入れています。締切当日に作業できないなら、下限で100分余る/上限で220分足りないに変わります」。これは自分で決めるべき条件です。
6. 計算に使った数字の出どころを、先に並べさせる
各材料1回ずつ。この形は引き算の答えより手前で止まります(差を書かなかった回があります)。使いどころは、上の指示文2で出た数が疑わしいときの確かめ用です。数を出す工程と、出どころを確かめる工程を分ける、という形は副業の本当の時給を、自分の作業記録から出すと同じです。
うまくいかないときの言い直し方
「受けられます」と言われて、そのまま受けてしまった
言い直し方は指示文2です。「受けるかどうかは私が決めます。計算だけしてください」を先頭に置くと、4回とも言い切りが0語になりました。
禁止だけを足しても足りません。「おすすめは書かないで」だけだと、代わりに何を書けばよいかが決まっていないので、別の言い方で判断が戻ってきます。決める人を先に名指ししてから、書かないものを列挙してください。
数字は合っているのに、なんとなく不安
合っています。今回20回のうち、引き算の数が真値と食い違った回はありませんでした。不安の正体はたいてい前提のほうです。
指示文3で〔前提〕を並べさせて、1行ずつ「これは自分に当てはまるか」を見てください。今回出てきた前提は「2週間ぜんぶ枠が欠けない」「体調を崩さない」「移動と食事は枠の外」。枠が3回飛ぶだけで360分消えます。
余裕がある案件だと、途中の数が出てこない
これは実際に起きました。余裕がある側の材料では、使える合計から既存を引いた途中の数(2,000分)を書かず、最終の差だけを書く回があります。
計算としては正しいのですが、途中の数が無いと次に依頼が来たときに使い回せません。指示文2は4つの数を1行ずつ指定してあるので、そのまま使ってください。
応用・次の一手
毎週おなじ6行で出す保存版にする
毎週やるなら、出す形まで決めてしまうのが早いです。
材料2本で2回ずつ(計4回)。きつい側の材料では、2回の返りが1文字も違いませんでした(どちらも103字)。数字も真値どおりです。
ここまで短くなると、毎週決まった時刻に自動で出すところまで持っていけます(「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせる)。
ただし、様式のほうが壊れる場合があります。余裕がある側の材料では、こちらが決めた最後の行(「上限なら◯分足りない」)が事実と合いませんでした。返りは2回とも様式を変えて、理由を添えています。
最後の1行だけ、指定の形(「上限なら◯分足りない」)に当てはめられませんでした。上限900分でも差し引き2000分の中に収まり、1100分余るためです。「足りない」と書くと事実と逆になるので「余る」にしています。
様式を決めるときは、想定していない結果になった週のことも書いておいてください。「足りるときは『◯分余る』、足りないときは『◯分足りない』と書いてください」と両方の形を渡せば、毎週おなじ行数で出ます。
断ると決めたあと
引き算で「入らない」と分かっても、それは断ると決めたことではありません。締切をずらしてもらう、本数を減らす、といった相談もできます。決めた条件を相手に伝える工程は取引先への返事をAIに整えさせると、自分が決めた条件のほうが緩むにまとめてあります。
⚠️ この記事の数字は、すべて架空の材料から出したものです。実際に受けるかどうかは、単価・取引先との関係・来月以降の予定など、予定表に書いていないことも含めて自分で決めてください。