これで何ができるか

監視対象を増やしても、古い記録は新着にしない新しい監視対象を、既存分を壊さず追加するには、著者自身が書いた同じ未測定事項がありました。「今回の過去分は9件・7件です。何十件・何百件という規模でも同じ結果になるかは確かめていません」。

測りました。架空のSNSアカウント監視と問い合わせフォーム監視、2つの場面を用意し、新しい監視対象を1件追加するときの「取得できた過去分」の件数を7件・30件・100件の3水準に振りました。どの水準でも、過去分は本日より前の日付だけで、本日付けの記録は0件です。つまり正しい報告は、どの件数でも「新着0件」のはずです。

監視対象の過去分の件数を7件・30件・100件と振り、「既読リストに無い項目を新着として」という素朴な指示文で新着0件を報告できた回数を比べたマス目。過去分7件では材料2本×各2回=4回中2回しか正しく0件にできず(2/4)、過去分30件では4回中3回(3/4)、過去分100件でも4回中3回(3/4)で、件数が増えるほど誤判定が増える・ある件数を境に跳ねる、といった単調な傾向は見られなかった。少ない件数のときのほうが崩れやすい回もあった。
件数を増やしても、誤判定は単調に増えなかった。

結果は、件数では決まりませんでした。過去分7件のときの正答は4回中2回、30件のときは4回中3回、100件のときも4回中3回で、件数を増やすほど崩れるという傾向は見られませんでした。むしろ、この実測では7件のときのほうが崩れる回が多いくらいでした。

一方で、対策の一文(前の記事で4回とも効いていたもの)は、過去分100件でも変わらず効きました。ただし、その対策に「簡潔にしてください」という書式の指定を1つ重ねただけで、4回とも過去いちばん新しい1件を新着に数えてしまいました。件数ではなく、書式の指定のほうが対策を壊しました。全部で36回、材料2本ぶんの記録は docs/evidence/backlog-scale-holds-brevity-breaks-it.md に生のまま置いてあります。

前提

かかる時間 20分
費用 無料。無料のチャットAIで足ります
必要なもの ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と、監視対象の一覧
プログラミング 不要

⚠️ この記事は「毎朝、この一覧を自動で作らせる仕組み」がすでにある前提です。仕組みそのものを決まった時刻に動かす話は毎日決まった時刻にAIを動かす仕掛けを作らせるにあります。

📌 件数以外の条件は、前の2本と同じにしてあります。「既読/未読」で新着を判定する場面については監視対象を増やしても、古い記録は新着にしない、「初期化してください」と明示的に頼む場面については新しい監視対象を、既存分を壊さず追加するを先に読んでおくと、この記事の対策の一文がどこから来たか分かります。

AIへの頼み方

1. 素朴な指示文を、過去分の件数だけ変えて試す

指示文は前の記事と一字一句同じです(日付だけ実測日に更新しました)。監視中の一覧に、新しい監視対象を1件追加し、その対象の過去分を7件・30件・100件のいずれかにして、材料2本(SNS監視・問い合わせ監視)×各2回、件数の水準ごとに計4回ずつ試しました。

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。

過去分7件では、SNS監視は2回とも正しく0件でしたが、問い合わせ監視は2回とも過去分をそのまま「7件」と数えました。過去分30件では、SNS監視が1回だけ「30件」と誤答し、問い合わせ監視は2回とも正しく0件。過去分100件では、SNS監視は2回とも正しく0件、問い合わせ監視は1回だけ「100件」と誤答しました。

🔑 どの件数でも、崩れる回と崩れない回の両方がありました。件数を増やすほど誤判定が増えるとは言えず、逆に減るとも言えません。同じ材料・同じ指示文でも、回によって結果が変わっています。

📌 過去分100件のときだけ、新しい振る舞いも出ました。SNS監視の1回と問い合わせ監視の1回は、数字を出す前に「この100件を新着として扱ってよいか」と一度確認を求めてきました(最終的にはどちらも表には数字を出しています)。件数が増えると、返り方そのものに「一度立ち止まる」回が混ざり始めます。ただし、立ち止まったからといって必ず正しい答えになるわけではありません(問い合わせ監視のその回は、確認を挟んだうえで最終的に「100件」と出しました)。

2. 対策の一文(本日の日付のものだけ)は、100件でも効くか

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 追加したばかりで既読リストがまだ無い監視対象については、既読リストが無いことをもって全部を新着とはせず、記録の日付が本日のものだけを新着として数えてください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。

過去分100件、材料2本×各2回、計4回試しました。4回とも正しく0件でした。前の記事で過去分7〜9件のときに効いていた対策の一文は、件数を100件に増やしても崩れませんでした。

3. もっと軽い注意でも、100件で足りるか

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 既読リストが無い対象も、過去の記録まで新着に含めないよう注意してください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。

こちらも過去分100件、材料2本×各2回、計4回とも正しく0件でした。日付を名指ししない軽い注意でも、件数が増えたぶんで崩れることはありませんでした。

4. 対策があっても、「簡潔に」で書式を縮めると

自動実行では、内訳や補足の文章まで毎朝メールに残すと読みにくくなるので、「件数だけ、簡潔に」と書式を縮めたくなります。対策の一文(指示文2)はそのままに、書式の指定だけを1つ足しました。

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 追加したばかりで既読リストがまだ無い監視対象については、既読リストが無いことをもって全部を新着とはせず、記録の日付が本日のものだけを新着として数えてください。 書式は簡潔にしてください。対象ごとの件数だけを一覧で答え、内訳や補足の説明は書かないでください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。

材料2本×各2回、計4回とも「1件」と誤答しました。0件でも100件でもなく、いつも「1件」です。

@cafe_hanamizuki: 1件
@tailor_kotobuki: 1件
@bakery_nokaze: 2件
@pottery_studio_tsuchi: 1件

🚨 対策の一文は指示文にそのまま残っています。削ったのは「書式を簡潔にしてください。内訳や補足の説明は書かないでください」という1文だけです。過去分のうちいちばん新しい1件(SNS監視は6日前、問い合わせ監視は7日前の投稿)だけを、なぜか毎回「新着」に数えていました。対策の一文があっても、書式を縮める指示が対策そのものを巻き込みます。

過去分100件の材料2本に、対策の一文を変えて各2回=4回ずつ実行し、正しく新着0件と答えられた回数を比べた横棒グラフ。日付を明示する対策の一文(4/4)、軽い注意の一文(4/4)はどちらも崩れなかった。ところが同じ対策の一文に「簡潔にしてください。件数だけを答え、内訳や補足は書かないでください」という書式の指定を重ねると、4回とも過去いちばん新しい1件を新着として数えてしまった(0/4)。簡潔さを保ったまま念押しの一文を足すと、材料の一方(SNS監視)は4回とも2回中2回で直ったが、もう一方(問い合わせ監視)は2回とも直らなかった(合計2/4)。対策の一文を次回以降の既読リスト登録までまとめて頼んだ応用版は、4回とも崩れなかった(4/4)。
件数では崩れなかった対策が、「簡潔に」の一言で崩れた。

5. 簡潔さを保ったまま、念押しを足すと

書式を縮めたい理由(メールを短くしたい)は残したまま、対策の一文に念押しを重ねました。

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 追加したばかりで既読リストがまだ無い監視対象については、既読リストが無いことをもって全部を新着とはせず、記録の日付が本日のものだけを新着として数えてください。1件でも、記録の日付が本日でなければ数えないでください。 書式は簡潔にしてください。対象ごとの件数だけを一覧で答え、内訳や補足の説明は書かないでください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。

材料2本×各2回、計4回試しました。SNS監視は2回とも0件に戻りました。ところが問い合わせ監視は、2回とも同じ「1件」のままでした。合わせて4回中2回だけの回復です。

🔑 念押しは、材料によって効いたり効かなかったりしました。「1件でも、記録の日付が本日でなければ数えないでください」という一文は、SNS監視では十分でしたが、問い合わせ監視では最後まで同じ1件を拾い続けました。どちらの材料も、過去分のいちばん新しい記録は本日の6〜7日前で、日付そのものに違いはありません。何が違いを生んだかは、この実測だけでは特定できていません。

6. 応用として、既読リストへの登録まで一括で頼む

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 新しく追加した監視対象については、今回取得できた過去分を、次回以降の判定に使う既読リストの初期値として登録してください。今回の新着報告には含めないでください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。

過去分100件、材料2本×各2回、計4回とも正しく0件でした。過去分100件を次回以降の既読リストとして登録するところまで一括で頼んでも、崩れませんでした。件数が多いほど、この一括版のほうが「明日から通常運転に戻る」という区切りが分かりやすくなります。

うまくいかないときの言い直し方

件数を増やしたら崩れた

まず、崩れた原因が「件数」ではなく「書式の指定」ではないかを疑ってください。この実測では、件数を7件から100件に増やしたこと自体は誤判定を増やしませんでした。壊れていたのは、対策の一文に「簡潔に」「内訳は書かないで」のような書式の指定を重ねたときだけです。

「簡潔に」と頼むと、対策の一文が効かなくなった

指示文4・5の症状です。まず、書式の指定を外して指示文2または3の形に戻し、それでも崩れるかを確かめてください。戻して直るなら、原因は件数ではなく書式のほうです。簡潔さを諦められない場合、指示文5の念押しは万能ではありません(合わせて2/4)。次のように、対策と書式指定の順番を入れ替え、対策を最後に置くほうが安定しました(材料2本×各2回、計4回とも0件)。

毎朝、監視対象の新着をまとめて報告する担当です。今日は2026-09-22です。 新しい監視対象を1件、今日から追加しました。今日からこの一覧に加えてください。 書式は簡潔にしてください。対象ごとの件数だけを一覧で答え、内訳や補足の説明は書かないでください。 下は、監視中の一覧です。 (ここに、監視中の一覧をそのまま貼ります) 既読リストに無い項目を新着として、監視対象ごとに件数の一覧で教えてください。見つからない対象は「0件」と書いてください。ただし、追加したばかりで既読リストがまだ無い監視対象については、記録の日付が本日のものだけを新着として数えてください。1件でも本日の日付でなければ数えないでください。この条件は、書式を簡潔にする指定より優先してください。

対策の一文を指示文の最後に置き、「書式の指定より優先してください」と明記すると、材料2本×各2回、計4回とも0件に戻りました。★1(禁止・条件は受け皿と対で渡す)の系列ですが、ここで効いたのは禁止ではなく、競合する指示のどちらを勝たせるかを明記することでした。⚠️ この言い直しは1水準(4回)しか試していません。他の書式指定(表形式に固定する、絵文字を使うなど)でも同じように効くかは確かめていません。

過去分がもっと多い場合(数百件・数千件)は

この記事が試したのは最大100件までです。数百件・数千件の規模になると、そもそも一覧を丸ごと貼れなくなり、材料を分割して渡す必要が出てきます。分割したときにどちらの側で崩れるかは、この記事では扱っていません。

「1件」という中途半端な誤答の原因を知りたい

指示文4・5で共通して出た「1件」は、どちらの材料も過去分のいちばん新しい記録(本日の6〜7日前)でした。もっと古い記録が誤って拾われることはなく、常に最新の1件だけが対象でした。原因の仕組みまでは、この実測では切り分けられていません。気になる場合は、対策の一文の中で「過去分がどれだけ最近でも、本日の日付でなければ数えない」と明示してください(指示文5・6の一部)。

応用・次の一手

この記事の結論は2つです。①件数(7件〜100件)を増やしただけでは、素朴な指示文の誤りやすさは変わりません。少ない件数だからといって安全だとは言えず、多い件数だからといって必ず崩れるとも言えません。②前の記事の対策の一文は、件数を100件に増やしても効き続けます。壊すのは件数ではなく、「簡潔に」という書式の指定でした。

⚠️ 自動化のテンプレートに書式の指定(簡潔に・表だけ・件数のみ)を足すときは、対策の一文が生き残っているかを、書式を変えるたびに1回確かめてください。この記事の指示文6のように、対策の一文を最後に置いて「書式の指定より優先」と明記する形が、今回の材料では安定していました。

📌 確認を1件だけ入れる仕組みと組み合わせるなら定期実行させたAIが「本当に動いたか」を、自分で確かめる形にするを、新しい監視対象を追加した初日だけ動かすのも手です。

📌 急増そのものに気づけるかは、また別の話です。「ふだんは3〜5件です」と一言足すかどうかで、急増に自分から気づく回数が0対5に分かれるにあります。この記事が扱ったのは、新しく追加した対象の過去分を新着に混ぜ込ませないところまでです。

⚠️ この記事が実測していないこと=過去分が数百件・数千件とさらに多い場合、記録を分割して渡す場合、書式指定を3つ以上重ねた場合の3つです。実際に監視対象を追加する人は、最初の1回だけ、報告された件数と元の一覧を自分の目で見比べてください。