これで何ができるか
このサイト自身のニューストラッカーで、実際にあったことです。ソースを入れ替えた日、普段は1日3件程度のところ、その日だけ37件が流れ込みました。原因は事故(過去分がまとめて新着扱いになった)でしたが、もし本物の急増だったとしても、自動処理の側は「いつもと違う」とは言わず、いつもの顔で結果を出したはずです。
この記事は、そこを確かめます。架空の「今日ぶんの一覧」を35件(社内ヘルプデスクの問い合わせ、通販サイトの返品申請の2種類)用意しました。中身は壊れていません。重複も欠落も日付ずれもなく、件数がふだんの7〜10倍という一点だけが異常です。同じ集計の指示文を、「ふだんは1日3〜5件程度です」という一言を足すかどうかだけ変えて、2材料×2版×各3回=12回試しました。
結果は単純でした。基準を渡さない6回は、6回とも件数の異常に触れませんでした。「ふだんは1日3〜5件程度です」と一言足すと、6回中5回が「通常の1日3〜5件の約7〜10倍」のように自分から報告します。ただし1回だけ、基準を渡されたのに最後まで一言も触れなかった回がありました。渡せば必ず気づく、とは言い切れません。
もう1つ、はっきりした収穫があります。件数を勝手に減らして返した回は、12回を通じて0回でした。35件という数そのものは、どの回も正しく35件のまま出てきます。消えるのは数ではなく、「これは多い」という一言のほうです。
前提
| かかる時間 | 20分 |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 毎日ぶんの処理対象と、ふだんのだいたいの件数(目安でかまいません) |
| プログラミング | 不要。指示文に一言足すだけです |
この記事が扱うのは材料が壊れた日にAIが気づくかの逆方向です。あちらは中身(重複・古い日付・0件)が壊れた日で、こちらは中身は正常で量だけが多い日です。壊れ方が違うので、気づき方も別に確かめる必要がありました。
AIへの頼み方
1. まず、素朴に頼む(基準なし・6回中0回)
この下に、その日ぶんの35件を貼ります。35件という総数への言及は、材料A・Bを合わせた6回のうち0回でした。カテゴリ内の偏り(「PC起動しないと備品故障で半数近い」等)を気にする回はありましたが、それは35件という総数の異常とは別の話です。
2. 「ふだんは◯件程度です」と一言足す(基準あり・6回中5回)
指示文の頭に一言足しただけです。6回中5回が、末尾にこう書きました。
一言メモ:本日35件は通常の1日3〜5件の約7〜10倍で、明らかに異常値です。
AIは「多い」を自分では判断できません。判断できるだけの材料(ふだんの目安)を渡していないからです。逆に言えば、目安を1行渡すだけで、その先の比較と倍率の計算はやってくれます。
⚠️ ただし6回中1回は、基準を渡されたのに一言も触れませんでした。この回は集計の内訳を1回間違えて自己訂正するところまではやりましたが、「ふだんの3〜5件と比べてどうか」には最後まで触れませんでした。一言足すだけでは、確実に効くとは言えません。確実にする方法は指示文4にあります。
3. 直接「多いか少ないか」を聞く(基準を渡さない場合)
基準を渡さずに、判断だけを求めるとどうなるかも確かめました。
材料A・B とも、答えは「分からない」でした。基準を渡さなければ、AIは架空の基準をでっち上げて「多いです」と断定したりはしません。これは安心材料です。数を減らさないことと合わせて、AIは持っていない情報を、持っているふりでは埋めません。
4. 保存版——急増チェックを「出す項目」の1つにする
指示文2の6回中1回が触れなかった問題を、直します。「これ以外は書かないで」と絞ると同時に、急増チェックを絞った項目の1つとして名指しします。
材料A・B とも、こう返ってきました。
35件・ふだんの約9倍で範囲外です。
2回とも、指定した3項目だけがそろい、急増チェックが消えませんでした。材料が壊れた日にAIが気づくかでは「この2つ以外は書かないで」と絞ったら警告が丸ごと消えましたが、あちらの警告は「頼んでいないのに自分から付けたおまけ」でした。おまけとして出てきたものは、絞ると消えます。絞った項目の1つとして名指しすれば残ります。この違いが、この記事でいちばん実用的な発見です。
5. 数値で基準を渡して、倍率を聞く
範囲ではなく具体的な1つの数字を渡すと、割り算までやってくれます。
材料A・B とも「35÷4=約8.75倍(およそ9倍)」を正しく計算しました。目安が範囲(3〜5件)でも1つの数(4件)でも、渡しさえすれば比較は動きます。
6. 毎日決まった時刻に自動で動かす
ここまでの形が固まったら、あとは動かす仕掛けです。
ここから先は「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせるがそのまま続きになります。
うまくいかないときの言い直し方
基準を渡したのに、急増に触れなかった
指示文2で実際に起きました。原因は「触れてください」と頼んでいないことです。指示文4のように、急増チェックを出す項目のリストに入れてください。「気づいたら書いてください」ではなく「これを書いてください」に変えるのが効きます。
「今日は多いですね」と毎日言われて、慣れてしまった
ふだんの目安を範囲(3〜5件)ではなく、境目の1つの数にしてください。指示文5のように「ふだんは4件です」と決め打ちすると、比較の基準がぶれません。範囲で渡すと「3〜5件も、6件も、誤差の範囲」のように扱われることがあります。
そもそも、ふだんの件数が分からない
ふだんの目安を記録から出す形は、この記事では試していません。副業の時給をAIに出させるや時給の推移を週ごとに並べると同じ「自分の記録から出す」型がそのまま使えます。まず1週間ぶんの件数を手元でメモしておくところから始めてください。
応用・次の一手
📌 「材料が壊れた日」と「材料は正常だが量だけ多い日」は、別に確かめる必要があります。材料が壊れた日にAIが気づくかは前者で、こちらは後者です。どちらも、AIが自分から気づくのは「頼んだこと」の範囲に限られます。壊れ方の種類ごとに、何を渡せば気づくのかを確かめておいてください。
🔁 毎日の自動処理に組み込むなら、指示文4の形を使ってください。急増チェックを「出す項目」の1つにしておけば、絞り込みで消える心配がありません。定期実行の置き方は「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせるにあります。
⚠️ この記事の数字はすべて架空データでの実測です(材料2種×2版×各3回=12回+追加の言い直し方5回+応用1回、全18回)。生の返りと照合は docs/evidence/surge-stays-quiet-without-a-baseline.md に全文置いてあります。