これで何ができるか
副業の時給をAIに出させるでは、案件ごとの時給は毎回正しく計算できるのに、「何を作業時間に含めるか」という線引きだけがAIまかせになる、という実測をしました。
その記事の最後で、「毎週の表を残しておけば、案件ごとの推移が並びます」と書きました。ここで問題が起きます。線引きは、毎週いつも同じとは限りません。
架空の週次時給レポートを8週ぶん作りました。第1〜4週は「制作と修正のみ」、第5週からは「提案・打ち合わせも全部含める」に線引きを変えています(分母が広がるので、同じ作業でも時給は下がって見えます)。この8週分を、独立したAIに見せて「何週連続で下がっているか」を聞きました。
そのまま「何週連続で下がっているか」と聞くと、3回中3回、線引きが違う週をまたいで「連続」が数えられていました。しかも3回とも、AIは「第5週から線引きが変わっている」こと自体には文中で自分から気づいていました。気づいていることと、報告する数字が正しいことは別です——気づいた回のうち2回は、それでも最終的な数字を直しませんでした。
「線引きが違う週どうしを比べないでください」の一文を足すと、6回とも境界をまたがなくなります。この記事は、その一文を含めて、時給の推移を安全に比べるための6つの指示文です。実測の記録は試した証拠にあります。
前提
プログラミングは要りません。必要なのは、副業の時給をAIに出させるの7番の形で残した週次の集計表を、複数週ぶん貼れることだけです。
■ 第5週の集計
案件 / 報酬 / 集計対象の時間 / 時給 / 状態
P社サイト / 18000円 / 250分 / 4320.0円 / 入金済
(…)
線引き: 提案・打ち合わせも全部含める
最後の行の「線引き」がこの記事の主役です。毎週この1行を残しておかないと、そもそも比べられません。書いていないと、今回試した指示文もすべて機能しません。
AIへの頼み方
1. そのまま頼むと、何が起きるか
3回試して3回とも、いちばん数えにくい案件(第3週と第6週が欠測で、第4週の前後をまたぐ)で、答えの数字が線引きの違う週をまたいでいました。
P社サイト:4回連続(記録がある回はすべて下落) W1→W2→W5→W7→W8。
第1週・第2週は「制作と修正のみ」で出した時給、第5週・第7週・第8週は「全部含める」で出した時給です。分母の違う数字を1本の線としてつないでいます。
2. 「線引きが違う週どうしを比べないでください」を足す
3回試して3回とも、境界をまたがなくなりました。
P社サイト:現在1週連続ダウン(第7週→第8週)。第5週は直前が空白なので基準扱い。
「線引きが違う週どうしを比べないでください」の一文だけで、6回(版2・版3の合計)を通じて境界またぎは0回になりました。効いているのは「線引きが違う週どうしを比べないでください」という、比較の対象を狭める一文です。「気をつけてください」のような曖昧な注意ではなく、比べてよい範囲を名指ししています。
3. 比べた週の番号と線引きを、書かせる
境界をまたがない結果は2番と同じですが、答えの形が変わります。
比較週:第5週→第7週→第8週/線引き:提案・打ち合わせも全部含める
「何週連続」という結論だけでなく、比較に使った週番号がそのまま画面に出ます。この記事の後半で出てくる「3週連続」と「4週連続」の食い違い(言い直し方を参照)は、この一文があれば自分で数え直して確かめられます。
4. 「長い順に並べて」でも、境界はまたがない
聞き方をランキングに変えても(1回だけの結果です)、境界はまたぎませんでした。
第6週は記録なし(作業なし、途切れ扱い)のため第5週との比較はできず、直近は第7週→第8週の1回のみ。
順位だけを見せられると、その裏で何週ぶんの比較をしているのかが見えにくくなります。順位を聞くときも、3番の「比べた週を書かせる」一文は外さないほうが安全です。
5. 別の回答を、あとから点検させる
すでに出てしまった答え(1番のような、境界をまたいだ答え)があるとき、直させるのではなく点検させるという使い方もできます。
1番の答え(境界をまたいでいた回)をそのまま貼って聞いたところ(1回だけの結果です)、またいでいた3案件を過不足なく指摘しました。
以下の3件で、線引きが異なる週をまたいで「連続下落」を数えています。R社ロゴ、T社動画、P社サイト。
答えを出したAIと、点検するAIが同じである必要はありません。前提(線引きがいつ変わったか)だけ渡して、「境界をまたいでいないか」だけを聞き直す形です。
6. 毎週使えるように、指示文をひとつにまとめる
3番の指示文をそのまま貼って依頼すると(1回だけの結果です)、1文字も変わらずに返ってきました。次回から、この指示文をそのまま週次の集計表の後ろに貼るだけです。
うまくいかないときの言い直し方
「3週連続」と「4週連続」で答えが違う
同じR社ロゴでも、答えによって「3週連続」と「4週連続」の両方が出ました。矛盾ではありません。「何週目から数えるか」の数え方が、回によって違うだけです。
- 第5週を「基準(比較の起点)」として数えない版→ 第6・7・8週の3週連続
- 第5週を「1週目」として数える版→ 第5・6・7・8週の4週連続
⚠️ どちらが正しいということはありません。3番の指示文(比べた週の番号を書かせる)を使えば、この食い違い自体が画面に出るので、自分で数え直して確かめられます。
線引きが変わったこと自体に気づけているか不安
1番の実測では、AIは3回とも「線引きが変わった」ことに自分から気づいて文中に書いていました。気づいていることと、答えの数字が正しいことは別です。2番・3番の一文を必ず足してください。「気づいているはずだから大丈夫」は、この実測では成り立ちませんでした。
毎週コピペするのが面倒
6番の指示文をそのまま使ってください。集計表を貼ったあとに1回貼るだけの形にできます。「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせると組み合わせれば、集計表の生成から貼り付けまで自動化できます。
応用・次の一手
線引きを変える予定があるなら、変える週にひとこと書き足しておくと安全です。「線引き: 制作と修正のみ(8/25から全部含めるに変更)」のように、変更そのものを記録に残しておけば、あとから読んだときにも分かります。
前回の出力をそのまま次回に渡さないでください。書き溜めたメモから、毎週の報告書を自動で置いておかせるの実測では、AIが1度足した文が世代を越えて残り続けました。毎週、集計表そのものから作り直すのが確実です。
「同じ形式で毎月並べる」という形は、支出の集計にも応用できます。3か月分の領収書を同じ費目に集計するでは、月ごとに同じ行が違う費目へ揺れる問題を扱っています。今回の「線引き」と同じく、比べる前に「今回と前回で同じ基準を使っているか」を確認する一文が要るという点は共通しています。
この記事の外に置いたもの。時給が下がった理由(単価が安いのか、非効率なのか)の判断はしていません。副業の時給をAIに出させるが既に書いているとおり、そこはAIに決めさせず自分で決めてください。ここで扱ったのは、比べる前の土俵をそろえることだけです。