これで何ができるか
監視の自動処理は、たいてい「まだ報告していないか(未読か)」で新着を決めています。この判定は、監視対象を1件増やした直後だけ牙を剥きます。増やしたばかりの対象には、当然「既読」の記録がまだ無いので、取得できた過去分が全部「まだ報告していないもの」に見えてしまうからです。件数が急に増えたときに気づけるかどうかは「ふだんは3〜5件です」と一言足すかどうかで、急増に自分から気づく回数が0対5に分かれるにありますが、この記事が扱うのは、その急増そのものを起こさせない頼み方です。
この記事は、急増に気づけるかではなく、そもそも過去分を新着に混ぜ込ませない頼み方を試します。プログラミングは要りません。
架空のSNSアカウント監視と入金確認監視、2つの場面を用意しました。どちらも、すでに3つの監視対象を運用しているところへ、4つ目を新しく追加する場面です。4つ目の対象には「過去に取得できた記録」が9件・7件ありますが、本日付けの記録は、どちらも0件です。つまり正しい報告は「4つ目の対象の本日の新着は0件」のはずです。
結果は、聞き方によって真っ二つに割れました。「既読リストに無いものを新着として報告して」という、実際の自動処理がやっていることに近い聞き方をそのまま使うと、4回とも過去分を丸ごと新着に数えました。一方、素直に「本日の新着」を日付で聞くだけなら、8回とも崩れませんでした。全部で20回、材料2本ぶんの記録は docs/evidence/unseen-does-not-mean-new.md に生のまま置いてあります。
前提
| かかる時間 | 20分 |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 必要なもの | ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と、監視対象の一覧 |
| プログラミング | 不要 |
⚠️ この記事は「毎朝、この一覧を自動で作らせる仕組み」がすでにある前提です。仕組みそのものを決まった時刻に動かす話は毎日決まった時刻にAIを動かす仕掛けを作らせるにあります。
📌 「急増そのものに気づけるか」は扱いません。それは「ふだんは3〜5件です」と一言足すかどうかで、急増に自分から気づく回数が0対5に分かれるにあります。この記事が扱うのは、監視対象を増やす操作そのものが事故の種をどう仕込むか、という手前の話です。
📌 「前回の処理位置のIDが分からなくなる」話とも別です。それはIDが少しずれても前回位置は割れないにあります。この記事は、監視対象そのものを1件増やす場面だけを扱います。
📌 増やすのが「対象」ではなく「項目」なら、こちらです。監視の項目をあとから増やすは、ログに列を1つ足したときに、その列がまだ無い古い記録が「異常」と判定される話を扱っています。
AIへの頼み方
1. 「既読リストに無いものを新着として」と、そのまま頼む
実際の自動処理の多くは、日付ではなく「まだ報告していないか」で新着を判定しています。監視の対象がIDを持つ記事や取引先番号なら、既読リストにそのIDが入っているかどうかで新着を決める形です。この考え方をそのまま指示文にすると、こうなります。材料2本(SNS監視・入金監視)×各2回、計4回試しました。
🚨 4回とも、追加したばかりの対象の過去分を丸ごと新着に数えました。SNS監視では9件の過去投稿が「新着9件」、入金監視では7件の過去入金が「新着7件」として返ってきます。正しい答えは「4つ目の対象の新着は0件」のはずが、SNS監視では合計13件、入金監視では合計10件が「本日の新着」として計上されました。
📌 入金監視のほうは、2回とも「これは実態と違うのでは」とAIが自分から確認を求めてきました。「今日実際に発生した入金ではありません」「そのまま日次レポートの『本日の新着』として報告すると、実態と異なる印象を与える可能性があります」と、原因まで正しく言い当てています。それでも、確認の文章を書いた同じ返答の中で、表の件数自体は7件のままでした。気づいていることと、出す数字が直っていることは別です。自動実行ではこの確認の文章はどうせ読まれず、表の数字だけがファイルやメールに残ります。
2. 「本日の日付のものだけ」と、明示的な一文を足す
4回とも、追加した対象の新着は正しく0件になりました。過去分の9件・7件は「過去の記録」として補足に回り、新着の件数からは外れます。
3. もっと軽い、日付を名指ししない注意でも足りるか
🔑 こちらも4回とも0件でした。「本日の日付のものだけ」という具体的な基準を書かなくても、「過去の記録まで含めない」という短い注意だけで直っています。⚠️ ただし、ここで確かめたのは「記録に日付が付いている」材料だけです。日付が書かれていない記録では、この軽い注意だけでAIが何を基準に「過去」と判断するかは分かりません。迷うなら2番の、日付を名指しする言い方を使ってください。
4. そもそも、日付を主役にして聞くと、一文が無くても崩れなかった
材料は同じですが、「既読」「未読」という言葉を一度も使わず、日付ベースで聞いたときの結果です。
一文を足さなくても、8回とも正しく0件でした。AIは投稿や入金記録に書かれた日付を見て、「本日付ではない」と自分で判断しています。
🔑 崩れる原因は、日付の計算が苦手なことではありません。「未読=新着」という枠組みそのものが、日付という手がかりから目をそらさせるだけです。自分の自動処理が「未読」「既読リストに無い」という言葉で新着を決めているなら、指示文の中でその枠組みを外向きに翻訳して、日付の基準を明示するか、少なくとも過去分の存在に注意を向ける一文を挟んでください。
5. どちらの一文を選ぶか
| 効いた回数 | 向いている場面 | |
|---|---|---|
| 2番(本日の日付のものだけ、と明示) | 4/4 | 記録に必ず日付が付いている場合。基準がはっきりしていて応用が利く |
| 3番(過去の記録まで含めない、と軽い注意) | 4/4 | 日付以外の基準(通し番号・公開順など)で「過去」を判断させたい場合 |
⚠️ 3番は、今回の材料(全部に日付が付いている)でしか確かめていません。日付が書かれていない記録を扱うなら、2番のように基準を名指しするほうが安全です。
うまくいかないときの言い直し方
監視対象を増やしたその日だけ、新着の件数が跳ね上がる
1番の症状そのものです。指示文に「未読」「既読リストに無い」という言葉が入っていないか確認してください。入っているなら、2番か3番の一文を足してください。
新しい監視対象の過去分を、まったく見たくないわけではない
この記事の2番・3番の指示文は、過去分を「今日の新着」から外すだけで、記録そのものを消しません。入金監視の1番では、AIが自分から「過去分は別枠で報告するか、既読リストの初期値として登録することを提案します」と書いていました。一度だけ全体を見返したいなら、見出しを分けて聞き直します。
4回とも、新着は正しく0件のまま、過去分の9件・7件は「追加時点までの過去の記録」という別の見出しにまとまりました。新着の数字を汚さずに、初回だけ全体を見返せます。
監視対象を2つ以上、同時に追加した場合は
この記事は、新しく追加した対象が1件の場合だけを試しました。2件以上を同時に追加したとき、2番・3番の一文が両方の対象に同じように効くかは確かめていません。心配なら、1件ずつ日を分けて追加してください。
過去分の記録がとても多い(何十件・何百件)場合は
今回の過去分は9件・7件です。何十件・何百件という規模でも同じ結果になるかは確かめていません。件数が多い監視対象を追加するときは、最初の報告を必ず自分の目で確認してください。
応用・次の一手
手で1回確かめてから、毎日決まった時刻にAIを動かす仕掛けを作らせるに載せるのが、この記事の使いどころです。監視対象を増やす作業そのものは頻繁には起きませんが、起きた日だけ静かに事故が起きます。
📌 増えた新着に気づけるかどうかは、別の記事です。「ふだんは3〜5件です」と一言足すかどうかで、急増に自分から気づく回数が0対5に分かれるを、この記事の2番か3番と組み合わせてください。過去分を新着に混ぜ込ませない(この記事)→ それでも本当に増えた日は自分から気づく(あちらの記事)、の2段構えです。
⚠️ この記事が実測していないこと=監視対象を2件以上同時に追加した場合、過去分が何十件・何百件と多い場合、記録に日付が書かれていない場合の3つです。実際に増やす人は、最初の1回だけ、報告された件数と元の一覧を自分の目で見比べてください。
次の一手は、既読リストの初期化までまとめて頼むことです。この記事の2番・3番は「今日は数えない」だけで終わっていますが、次のように足せば、明日以降の判定に使う基準まで一度に作れます。
4回とも、新着は0件のまま、過去分の9件・7件が次回以降の既読リストとして書き出されました。これを実際に保存すれば、2日目以降は普通の監視対象と同じ扱いに戻ります。
📌 監視対象が1つではなく、複数の相手からの連絡をまとめて仕分ける場合は複数の相手の緊急度を仕分けるにあります。相手ごとに緊急の伝え方の型が違うと、1つの基準では見落としが起きることを実測しています。