これで何ができるか
副業の手取りを契約額から出すでは、料率のページを丸ごと貼って計算させたところ、まったく同じ指示文の2回が 106,480円 と 107,800円 という別の額を返しました。段をまたぐ契約額(12万円)だったからです。
ただし、あの記事は1回だけ割れた事例を見つけただけです。何回に1回割れるのか、段をまたがない計算でも同じように割れるのかは測っていません。
この記事は、その先を確かめます。架空の契約額92,000円(税抜・税込は明示しません)に対して、①クラウドワークス型の段階制手数料(10万円以下の部分20%・10万円超20万円以下の部分10%)と②ランサーズ型の一律手数料(契約金額(税込)に対して一律16.5%)を用意し、まったく同じ指示文「手取り額を計算してください」を、独立した会話で各15回・計30回試しました。
結果を先に書きます。割れは0回でした。段階制も一律も、15回とも同じ額(73,600円/76,820円)が返ります。段をまたぐかどうかは、割れやすさに関係ありませんでした。
ただし、話はここで終わりません。聞き方を「両方の場合を計算して」に変えた瞬間、段階制のほうだけ答えが暴れ始めます。一律16.5%のほうは、聞き方を変えても同じ2つの数字のままでした。
⚠️ この記事は税務の記事ではありません。確定申告・課税事業者・インボイスの判断はしません(書き手は税理士ではありません)。消費税の扱いは、AIが実際にどう計算したかを記録する範囲にとどめます。
前提
プログラミングは要りません。やることは、契約額と料率をAIに伝えて、同じ質問を送るだけです。
- AIとの会話(無料の範囲で足ります)
- 架空でよいので、契約金額と手数料率を1組
- 同じ質問を複数回試す根気(この記事は1回では終わりません)
⚠️ 実在の案件・実在の取引先を材料にしないでください。確かめたいのは計算の安定性なので、架空の契約額で足ります。
📌 この記事の実測は独立した新規の会話ごとに1回ずつ試しています。同じ会話を続けて「もう一度計算して」と頼むのではなく、まっさらな会話を毎回立ち上げて同じ文面を送りました。同じ会話の中で聞き直すと、前の答えを覚えたまま計算するので、これでは「本当に独立に計算し直したら割れるか」が確かめられません。
AIへの頼み方
1・2. まず、そのまま聞く(15回×2材料=30回。割れは0回)
材料①(段階制)は15回とも 73,600円。材料②(一律16.5%)は15回とも 76,820円。両方とも割れ率は0%です。
🔑 見立てが外れたのはここです。「段をまたぐ計算のほうが割れやすい」という予想(前作の実測から立てた仮説)は、この30回では支持されませんでした。段をまたぐかどうかより先に、消費税という言葉そのものが1回も出てきませんでした。30回のうち、消費税に触れた回は0回です。
📌 前作との違いはここにあります。前作は料率のページを丸ごと貼り、公式の計算例(消費税を含む式)まで見せていました。今回は「10万円以下の部分に20%」という要点だけを渡しています。材料に税の話がまったく無ければ、AIはそもそも税を考えに入れません。それは「安定して同じ答えを返す」ことであって、「正しい」こととは別です。
3・4. 聞き方を変える——「両方の場合を計算して」(各3回)
その先を確かめるため、同じ材料に一言足しました。
3回とも、答えの組み合わせが違いました。
| 回 | 「税抜き」側の答え | 「税込み」側の答え |
|---|---|---|
| 1回目 | 73,600円 | 71,760円(利用料そのものに消費税10%を上乗せ) |
| 2回目 | 73,600円 | 80,960円(92,000円を税抜きとみなし消費税を足した101,200円が基準) |
| 3回目 | 80,960円(消費税を別途受領する場合) | 73,600円(報酬部分のみで見る場合) |
同じラベル「税込み」が、回によって71,760円だったり80,960円だったりします。3回を通じて登場した金額は 73,600円・71,760円・80,960円 の3種類。同じ指示文の3回で、これだけ組み合わせが動きました。
一方、一律16.5%の材料に同じ一言を足すと、様子がまったく違います。
3回とも、まったく同じ2つの数字(税抜きとみなす場合 84,502円・税込みとみなす場合 76,820円)が、同じ組み合わせで返ります。
🔑 段階制と一律の違いが、ここで初めて出ました。「そのまま聞く」段階では両方とも割れ0でしたが、「両方の場合を」と聞き方を変えると、段階制だけが不安定になります。一律16.5%は、料率の基準になる金額が「契約金額(税込)」の1つしかないので、税抜き/税込みの読みを変えても当てはめ先は1つに決まります。段階制は、税抜きと読んだときに「消費税をどこに足すか」(契約額全体か、利用料自体か)で複数の道ができてしまいます。
5. 書いてあるかどうかだけを聞く(3回)
3回とも「書かれていません。」正解です(こちらが渡した材料に、税込み・税抜きの指定はそもそも入れていません)。聞き方を「書いてあるか」だけに絞ると、当てはめる余地が消えます。副業の手取りを契約額から出すの6・7番と同じ形です。
6. 計算のあとに、消費税の要否を聞く(3回)
3回とも、最初の答え(73,600円)は変えません。そのうえで、消費税の要否を聞かれると、3回のうち1回だけ「クラウドソーシング系サービスでは手数料に消費税が上乗せされるのが一般的」として 71,760円という別の額を自分から持ち出しました。残り2回は、必要な確認事項を挙げるだけで、新しい金額は出しませんでした。
🔑 一度出した答えを変えないまま、脇に別の額を置く回がある。読む側が最初の数字だけを持ち帰ると、この71,760円という選択肢は見えなくなります。
うまくいかないときの言い直し方
「両方の場合」と頼んだら、数字が増えて混乱した
3・4番のとおり、段階制の材料では1回の返りの中に3つの金額が並ぶことがありました(80,960円・73,600円が同じ返りの中に両方出た回)。
→ 「税抜き」「税込み」という言葉だけでは、AIも人も同じ意味で使っていません。「92,000円が税抜きだった場合、消費税はどこに(契約額全体か、手数料自体か)足しますか」まで指定してください。3・4番の指示文はここを指定しなかったため、AI側が自分で決めていました。
一律料率なら、聞き方を変えても安心していいか
そうとは言い切れません。この記事で確かめたのは「税抜き/税込みの読みで、当てはめ先が1つに決まるかどうか」という1点だけです。一律16.5%の材料が3回とも同じだったのは、この1点が単純だったからで、料率そのものが正しいかどうかは別に確認が必要です(副業の手取りを契約額から出すの1番では、率を貼らずに聞いた4回とも出典のURLを書きませんでした)。
そもそも、税の話を持ち出させたくない
1・2番のとおり、材料に税の話を入れなければ、AIも税の話をしません(30回中0回)。これは「安全」ではなく「AIが確認していない」というだけです。実際に振り込まれる額を知りたいときは、5番の「書かれていますか」型で、税込み・税抜きの指定が本当に要らないのかを確かめてください。
応用・次の一手
📌 同じ質問を1回で終わらせず、複数回試す価値がどこにあるかが分かりました。「そのまま聞く」だけでは安定して見える計算も、聞き方を変えると崩れることがあります。崩れるかどうかを知りたいときは、まず素朴に聞き、次に前提を変えて聞き直してください。1回の答えだけで安心しないという型は、週報を「3週連続で下がっています」とAIに数えさせるとにもあります。
🔁 毎月の手取り計算を自動にするなら、5番の形を組み込んでください。「書かれていなければ書かれていないと言う」受け皿があると、税込み・税抜きの指定漏れに毎回気づけます。定期実行の置き方は「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせるにあります。
📌 時給のほうを出す話は別の記事です。副業の時給をAIに出させるは、自分の作業記録から時給を出します。引き算そのものは副業の手取りを契約額から出すを使ってください。
⚠️ この記事の数字はすべて架空データでの実測です(材料2種×15回=30回+聞き方を変えた確かめ4種×各3回=12回、全42回)。生の返りと照合コードは docs/evidence/take-home-repeat-no-split.md に全文置いてあります。料率は変わるので、使う前にご自身で開いて確かめてください(クラウドワークスワーカーのシステム利用料・2026-08-18確認、ランサーズ手数料について・2026-08-19確認)。