これで何ができるか

AIが便利だという話は聞くのに、いざ開くと何を頼めばいいか思いつかない——ここで止まっている人はとても多いです。使い方の問題ではありません。自分の仕事のどこが渡せるのかを、まだ棚卸ししていないだけです。

この記事は、特定の作業のやり方ではなく、「あなたの仕事の中から、渡せるものを見つける」ための頼み方を載せます。15分で、時短の大きい順に並んだ候補リストが手に入ります。

渡せる作業は、業種が違ってもだいたい4つの型に入ります。

AIに渡せる作業の4つの型を並べた図。繰り返し=毎週おなじ手順でやっている(曜日や締切で思い出す作業)。転記=AからBへ写している(コピペが5回以上)。下書き=ゼロから書き始めている(白紙を埋める時間が長い)。チェック=抜けや誤りを目で探している(見落としが怖い作業)。どれにも入らない作業は判断が主役なので、人が持ったままでよい。
この4つに当てはまるものを探すのが近道です。逆に、判断が主役の作業は無理に渡さなくてかまいません。

前提

かかる時間 15分
費用 無料。無料のチャットAIで足ります
必要なもの ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)だけ
プログラミング 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです

道具を増やす必要はありません。この記事でやるのは、AIに作業させることではなく、AIと一緒に自分の仕事を棚卸しすることです。

AIへの頼み方

1. 自分の1週間を、そのまま渡す

きれいにまとめようとしなくて大丈夫です。思いつく順に並べるだけで足ります。

私の仕事の中で、AIに任せられそうな作業を一緒に探してください。 まず私の1週間をそのまま書きます。整理はしていません。 (月曜の朝に週次報告を作る、問い合わせメールに返信、Excelの集計を部長に送る……のように、思いつくまま10行くらい書く) この中から、AIに任せられそうなものを選んで、理由も添えてください。

整理してから渡さないでください。整理する過程で「これはAIには無理だろう」と自分で候補を消してしまいます。無理かどうかの判断は、渡してからで間に合います

2. 時短の大きい順に並べさせる

候補が出たら、次はどれから手を付けるかです。これも聞けます。

いま挙げてもらった候補を、次の3つで採点して、順番に並べてください。 1. 1回あたり何分の作業か 2. 月に何回やるか 3. 失敗したときの困り具合(小さいほど始めやすい) そのうえで「最初に手を付けるならこれ」を1つだけ選んで、理由を書いてください。

最初の1つは、時短が最大のものではなく「失敗しても困らないもの」から始めてください。慣れる前に重要な作業を任せると、一度の失敗でAI自体を使わなくなります。

3. 頼み方まで書かせる

候補が決まったら、そのまま指示文を作らせられます。

その作業をAIに頼むための指示文を書いてください。私がコピーしてそのまま使える形でお願いします。 指示文には次を含めてください。 ・何を渡すか(私が用意するもの) ・何を返してほしいか(形式も) ・やってほしくないこと

3つ目の「やってほしくないこと」が効きます。これが無いと頼んでいない範囲まで気を利かせて触られます。範囲の区切り方は「ついでに整理しておきました」と言わせない頼み方に詳しく書きました。

4. 同じことを何度もやるなら、まとめて頼む

ここが一番の時短ポイントです。同じ指示を10回コピペしているなら、1回で10件ぶん頼めます

同じ作業を複数の対象にまとめてやってほしいです。 対象を下に並べます。それぞれに同じ処理をして、結果を表にまとめて返してください。処理できなかったものは、飛ばさずに理由を書いてください。 (対象を1行ずつ並べる)

最後の一文が肝心です。これが無いと、処理できなかったものが黙って結果から消えます。10件頼んで8件返ってきたのに、それに気づかない、が起こります。

5. 毎週やっているなら、決まった時刻に動かす

繰り返しの型に当てはまった作業は、自分が思い出すこと自体をやめられます。

この作業を、毎週決まった時刻に自動で実行できるようにしたいです。 私はプログラムを書けません。何が必要になるか、私がやる作業を番号を振って書いてください。作れるものはあなたが作ってください。

ここから先は「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせるがそのまま続きになります。

うまくいかないときの言い直し方

候補が出てこない・ありきたりなものしか出ない

抽象的に聞くと抽象的に返ってきます。具体を足してください。

一般論ではなく、私の状況に合わせて考えてください。 私の職種は◯◯で、よく使うソフトは△△です。1日のうち一番時間を取られているのは□□です。この前提で、もう一度候補を出してください。

「それはAIには難しいです」と言われた

まるごと渡せなくても、途中まで渡せることがほとんどです。

まるごとは無理でも、途中まで手伝える部分はありませんか。 その作業を工程に分解して、AIができる工程と、人がやるべき工程に分けてください。

作業の分担を出させる言い方は「あとはご自分で」と言われないための頼み方にまとめてあります。

提案どおりにやったのに、思ったほど時短にならない

実際にやってみたら、思ったほど楽になりませんでした。 どこで時間がかかったかを書きます。(例:渡すデータを整えるのに時間がかかった/返ってきたものの確認に時間がかかった) この部分も含めて短くする方法はありますか。

時短が出ない原因は、たいてい作業そのものではなく前後の準備と確認です。そこを言えば、そこを削る案が返ってきます。

提案が本当か確かめたい

いまの提案は、実際に動かして確かめたものですか。それとも一般論ですか。 確かめていないなら、そう書いてください。私が自分で試せるように、最小の手順を教えてください。

AIは、動かしていないことも自信を持って書きます。確認の頼み方は「たぶん動きます」と言わせないための頼み方にまとめました。

応用・次の一手

棚卸しは1回で終わりにしないでください。仕事は変わるので、渡せるものも変わります

3か月前に洗い出した候補リストを見直したいです。 いまの私の状況を書きます。(変わったことを数行)この前提で、リストに足すもの・外すものを教えてください。

もう1つ、慣れてきたら効く問いがあります。

私が「これは自分でやるしかない」と思い込んでいそうな作業を、逆に指摘してください。 私の1週間をもう一度見て、渡せるのに渡していないものを探してください。

渡せるものを見つける力は、指示文を書く力より先に効きます。良い指示文でも、渡す作業を間違えていれば時短にはなりません。

まず1つ選んで、今週やってみてください。うまくいかない感じがしたら、「なんか違う」と思ったときの対処が次の一手です。