これで何ができるか

定期実行させたAIが「本当に動いたか」を、自分で確かめる形にするには、著者自身が書いた未測定事項がありました。「点検の5項目と『0件の警告』を同じ指示文に入れるのは自然ですが、この記事の実測はそれぞれ別に走らせたものです」。

試しました。結論は3つです。

  1. 表形式の記録(列に「種類」という見出しがある)なら、1本にまとめても両方の役目が壊れません。材料点検・0件警告・件数・未対応一覧の4つとも、2回とも真値と一致しました。
  2. 見出しのない走り書きの記録では、0件警告だけが4回とも外れました。まとめても、まとめずに単独で聞いても同じです。0件警告が外れる原因は、「まとめたこと」ではありません。
  3. 0件警告が外れる原因は、リストの項目数でもありません。同じ走り書きの記録で、実際にある種類(設備)を聞くと2回とも正しく「なし」と答えました。崩れるのは「0件になる種類を、見出しのない材料から確定する」ところだけです。
0件警告(毎日あるはずの種類が今日は1件も無いことの検出)が当たるかどうかを、列見出し「種類」がある記録(表形式・材料A)と見出しの無い記録(走り書き・材料B)の2群に分けて示す図。材料Aのグループでは、請求・納期の2項目をリストにした回も、納期だけの1項目のリストにした回も、どちらも0件を正しく検出した(緑)。材料Bのグループでは、在庫だけの1項目のリストを材料点検と統合した回も、単独の指示文で聞いた回も、どちらも在庫が0件であることを検出できなかった(赤)。一方、材料Bで実際にある種類(設備)を聞いた対照実験では、正しく「なし」と判定できた(緑)。各行は2回ずつ試し、2回とも同じ結果だった。下の枠には、崩れたのは0件になる種類を見出しの無い材料から確定するところだけで、材料Bでも実在する種類は正しく判定できていることが書かれている。
項目数ではなく、列見出し「種類」の有無で結果が分かれた。

材料は前作と同じ2本(表形式の受付ログ=材料A、走り書きの現場メモ=材料B)を流用しました。同じ材料で比べることで、「まとめたこと」だけを変数にできます。

この記事の進め方は3段です。まず「まとめても壊れないか」を確かめます。次に、壊れた箇所の原因を1つずつ切り分けます。最後に、両方の役目を保つ言い直しまで実測します。

前提

かかる時間 25分
費用 無料。無料のチャットAIで足ります
必要なもの ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と、毎日ぶんの記録が置いてある場所
プログラミング 不要

📌 材料点検・0件警告それぞれの基本形は、前の記事がすでに実測しています。この記事が足したのは「2つを1本にまとめても崩れないか」「崩れた場合、何が原因か」の2点です。

AIへの頼み方

1. まず、2つの点検を1本の指示文にまとめる

まとめるのは2つです。点検の5項目(行数・最新の日付・昨日判定・重複の組数・崩れた行)と、0件警告(毎日ある種類が今日は0件か)です。両方を、出す順番の中に並べて1本にします。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類は、この記録に毎日1件以上あるものです。 請求、納期 次の4つだけを、この順番で出してください。 1. 材料の点検(下の5つを1行ずつ) - 受け取った行数(見出しの行を除く) - 記録に出てくる日付のうち、いちばん新しいもの - その日付は昨日(2026-08-15)ですか。「昨日/昨日ではない/判断できない」で書いてください - 中身が完全に同じ行が何組あるか - 列や書き方が途中で崩れている行があれば、その行をそのままコピー(無ければ「なし」) 2. 上に挙げた種類のうち、今日の記録に1件も無かったものの名前と「0件」(すべてあれば「なし」) 3. 種類ごとの件数(多い順)。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 4. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) 無いものを推測で埋めたり、似た種類に振り替えたりしないでください。この4つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

表形式の材料(受付ログ)に、壊れた日の記録を貼って2回、正常な日の記録を貼って1回試しました。表形式の記録では、壊れた日の2回とも4項目すべてが真値と一致しました。一致したのは次の5点です。

  • 行数13、日付2026-08-14(昨日ではない)
  • 重複3組、崩れた行あり
  • 0件警告(請求0件・納期0件)
  • 件数(仕様3・返品3・その他3)
  • 未対応3件

正常な日も誤検知は0件でした。

⚠️ ただし項目3「種類ごとの件数」に、項目2で出した0件情報が重複して付け加わりました。頼んだのは別の項目として分けることで、0件の種類を3番でも書けとは指示していません。実害はありませんが、まとめたことで項目のあいだに情報が漏れた一例です。

2. 同じ指示文を、見出しのない記録に使う

同じ指示文の「種類」欄だけを、走り書きの材料(現場メモ)の種類に替えて試します。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類は、この記録に毎日1件以上あるものです。 在庫 次の4つだけを、この順番で出してください。 1. 材料の点検(下の5つを1行ずつ) - 受け取った行数(見出しの行を除く) - 記録に出てくる日付のうち、いちばん新しいもの - その日付は昨日(2026-08-15)ですか。「昨日/昨日ではない/判断できない」で書いてください - 中身が完全に同じ行が何組あるか - 列や書き方が途中で崩れている行があれば、その行をそのままコピー(無ければ「なし」) 2. 上に挙げた種類のうち、今日の記録に1件も無かったものの名前と「0件」(すべてあれば「なし」) 3. 種類ごとの件数(多い順)。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 4. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) 無いものを推測で埋めたり、似た種類に振り替えたりしないでください。この4つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

壊れた日の記録(在庫は1件も無い)に2回試しました。材料点検・件数・未対応一覧は2回とも真値と一致しましたが、0件警告だけが2回とも外れました。1回目の答えは「判断できない(記録に種類の一覧が無いため)」でした。2回目は「なし」(=0件は無いという意味)でした。どちらも、在庫が0件であることを見つけられませんでした。

3. まとめたのが原因か、別々でも確かめる

0件警告だけを取り出し、材料点検を外した単独の指示文で同じ記録に当てます。まとめたことが原因なら、単独に戻すと直るはずです。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類は、この記録に毎日1件以上あるものです。 在庫 次の3つだけを、この順番で出してください。 1. 上に挙げた種類のうち、今日の記録に1件も無かったものの名前と「0件」(すべてあれば「なし」) 2. 種類ごとの件数(多い順)。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 3. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) 無いものを推測で埋めたり、似た種類に振り替えたりしないでください。この3つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

2回試しましたが、単独に戻しても2回とも「なし」のままで、在庫の0件を見つけられませんでした。統合版(指示文2)と合わせて4回中0回なので、崩れの原因は「まとめたこと」ではないと判断できます。

4. 本当に「1項目のリスト」が原因か、確かめる

残る候補は「渡した種類が1個だけだったこと」です。表形式の材料(材料A)で、種類を「納期」1個だけに絞って同じ単独の指示文を試します。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類は、この記録に毎日1件以上あるものです。 納期 次の3つだけを、この順番で出してください。 1. 上に挙げた種類のうち、今日の記録に1件も無かったものの名前と「0件」(すべてあれば「なし」) 2. 種類ごとの件数(多い順)。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 3. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) 無いものを推測で埋めたり、似た種類に振り替えたりしないでください。この3つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

2回試すと、2回とも「納期 0件」と正しく答えました。材料Bの「在庫」1個だけ(指示文3)は2回とも外れました。材料Aの「納期」1個だけは、ここで2回とも当たりました。崩れの原因は「リストの項目数」ではなかったことになります。残った変数は、材料の形式(表か走り書きか)だけです。

5.「在庫」が本当にある日なら拾えるか(対照)

材料Bが0件警告を全般的に読めないのか、「0件になる場合」だけ読めないのかを切り分けます。同じ材料Bの壊れた日で、実際に3件ある種類「設備」を聞きます。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類は、この記録に毎日1件以上あるものです。 設備 次の3つだけを、この順番で出してください。 1. 上に挙げた種類のうち、今日の記録に1件も無かったものの名前と「0件」(すべてあれば「なし」) 2. 種類ごとの件数(多い順)。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 3. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) 無いものを推測で埋めたり、似た種類に振り替えたりしないでください。この3つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

2回試すと、実際に3件ある「設備」は、2回とも正しく「なし」でした(実在する種類なので0件になりません)。材料Bが0件を誤るのは「種類が本当に0件のとき」に限られます。材料Bの形式そのものを読めていないわけではありません。

うまくいかないときの言い直し方

「見出しがないから」と教えても、言い直すと別の項目が消える

「推測せず、1件ずつ数えてから0件なら0件と断定して」と足すと、0件警告は直ります。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類について、それぞれ記録の中に何件あるかを1件ずつ数えてください。記録に1件も無い種類は、推測せずに「0件」と断定してください。 在庫 数えたら、次の3つだけを、この順番で出してください。 1. 上で数えた種類ごとの件数(0件だったものも含めて全部) 2. 種類ごとの件数(多い順)。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 3. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) この3つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

2回試すと、項目1「在庫:0件」は2回とも正解でした。ところが項目2「種類ごとの件数(多い順)」が、2回とも「在庫:0件」だけになりました。本来出るはずの設備3・問い合わせ3・清掃2・その他2が、丸ごと消えています。0件警告を直す言い直しが、件数の内訳を壊したことになります。

消えた内訳を戻すには、「数えた種類に限らず全部挙げて」を足す

項目2の範囲を、数えた種類だけに絞らせないよう明示します。

今日は2026年8月16日です。下は「昨日ぶん」として置かれた記録です。下の種類について、それぞれ記録の中に何件あるかを1件ずつ数えてください。記録に1件も無い種類は、推測せずに「0件」と断定してください。 在庫 次の4つだけを、この順番で出してください。 1. 材料の点検(下の5つを1行ずつ) - 受け取った行数(見出しの行を除く) - 記録に出てくる日付のうち、いちばん新しいもの - その日付は昨日(2026-08-15)ですか。「昨日/昨日ではない/判断できない」で書いてください - 中身が完全に同じ行が何組あるか - 列や書き方が途中で崩れている行があれば、その行をそのままコピー(無ければ「なし」) 2. 上で数えた種類の件数(0件だったものも含めて全部) 3. 記録に実際に出てきたすべての種類を、2の種類にかぎらず、件数の多い順にもれなく挙げてください。中身が完全に同じ行は、1件として数えてください 4. まだ対応が終わっていないものの一覧(記録の文言をそのままコピーしてください) この4つ以外は何も書かないでください。前置き・感想・提案・注記・確認事項・補足は書かないでください。そのままファイルに保存します。

材料Bの壊れた日に2回、正常な日に1回試しました。壊れた日は2回とも、点検5項目・0件警告(在庫:0件)・内訳(設備3・問い合わせ3・清掃2・その他2)・未対応2件のすべてが真値と一致しました。正常な日も誤検知は0件です。

同じ最終形を、2項目のリスト(請求、納期)に差し替えて表形式の材料でも2回試し、こちらも2回とも全項目が一致しました。

材料点検・0件警告・種類の内訳の3つの役目が、各条件で何回中何回正しく出たかを示す表。材料点検(5項目)が崩れなかったかは統合後の材料A・B合計4回中4回。0件警告が当たったかは、材料Aの2項目のリストで2回中2回、材料Bの統合版で2回中0回、材料Bの単独の指示文でも2回中0回。素朴な言い直し後の材料Bでは0件警告が2回中2回で直ったが、種類の内訳が消えずに出たかは2回中0回に落ちた。数えた種類に限らず全種類をもれなく挙げ直す一文を足した最終形では、0件警告と内訳が両方残ったかが材料A・B合計4回中4回。下の枠には、材料点検は統合しても崩れなかったこと、0件警告は見出しのある材料では常に当たり見出しの無い材料では外れたこと、素朴な言い直しは0件警告を直したが内訳を消したこと、両方を残すには全種類をもれなく挙げ直す一文が要ったことが書かれている。
材料点検は一度も崩れなかった。崩れたのは0件警告と、その言い直しの副作用だけ。

自分の記録が「見出しのある形」か分からない

表の先頭行に、列の名前(「種類」「状態」など)が1行として書かれていれば「見出しのある形」です。

  • 見出しあり:Excelやスプレッドシートからそのままコピーした表
  • 見出しなし:メモ帳・チャットのログ・音声の文字起こしのような走り書き

迷ったら、2番の最終形(「数えた種類に限らず全部挙げて」まで入れた指示文)を既定にしてください。見出しがある記録でも崩れませんでした。

応用・次の一手

この記事が答えたのは前の記事の未測定事項「6番と7番を1つの指示文にまとめた形」です。まとめること自体は崩れの原因ではなく、崩れていたのは走り書きの記録で0件を確定する部分でした。

📌 この記事が実測していないことは3つです。

  • 3個以上の種類を一度に渡した場合
  • 列見出しが「種類」以外の言葉(「区分」「カテゴリ」など)だった場合
  • 見出しの一部だけが欠けた記録

実際に使う前に、ご自身の記録の形で一度だけ試してください。

⚠️ 「見出しのある形に直す」のも手です。走り書きの記録そのものを、送る前に「種類」の列を1行足した表に整えてしまえば、この記事の崩れを避けられます。ただし、その変換自体が新しい作業になるので、まずは最終形の指示文(数えた種類に限らず全部挙げる一文つき)を試すほうが早いはずです。

📌 試行回数。指示文は8個で、走らせた回数は上から順に、頼み方が3・3・2・2・2回(計12回)、言い直し方が2・3回(計5回)、合わせて17回です。材料は前の記事から流用した架空のもので、真値はコードで再計算して元記事の集計と一致することを確認しました。指示文ごとの生の返りは docs/evidence/zero-alert-misses-without-a-header-row.md にあります。