これで何ができるか
定期実行させたAIが「本当に動いたか」を、自分で確かめる形にするには、著者自身が書いた未測定事項がありました。「点検の5項目と『0件の警告』を同じ指示文に入れるのは自然ですが、この記事の実測はそれぞれ別に走らせたものです」。
試しました。結論は3つです。
- 表形式の記録(列に「種類」という見出しがある)なら、1本にまとめても両方の役目が壊れません。材料点検・0件警告・件数・未対応一覧の4つとも、2回とも真値と一致しました。
- 見出しのない走り書きの記録では、0件警告だけが4回とも外れました。まとめても、まとめずに単独で聞いても同じです。0件警告が外れる原因は、「まとめたこと」ではありません。
- 0件警告が外れる原因は、リストの項目数でもありません。同じ走り書きの記録で、実際にある種類(設備)を聞くと2回とも正しく「なし」と答えました。崩れるのは「0件になる種類を、見出しのない材料から確定する」ところだけです。
材料は前作と同じ2本(表形式の受付ログ=材料A、走り書きの現場メモ=材料B)を流用しました。同じ材料で比べることで、「まとめたこと」だけを変数にできます。
この記事の進め方は3段です。まず「まとめても壊れないか」を確かめます。次に、壊れた箇所の原因を1つずつ切り分けます。最後に、両方の役目を保つ言い直しまで実測します。
前提
| かかる時間 | 25分 |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 必要なもの | ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と、毎日ぶんの記録が置いてある場所 |
| プログラミング | 不要 |
📌 材料点検・0件警告それぞれの基本形は、前の記事がすでに実測しています。この記事が足したのは「2つを1本にまとめても崩れないか」「崩れた場合、何が原因か」の2点です。
- 点検の5項目・0件警告の基本形・試行回数の内訳 → 定期実行させたAIが「本当に動いたか」を、自分で確かめる形にする
- 走り書きのメモで0件警告が崩れた別の形(休業日を異常と誤検知する側) → 0件アラームに休業日を教える
- 決まった時刻にAIを動かす仕組みそのもの → 毎日決まった時刻にAIを動かす仕掛けを作らせる
AIへの頼み方
1. まず、2つの点検を1本の指示文にまとめる
まとめるのは2つです。点検の5項目(行数・最新の日付・昨日判定・重複の組数・崩れた行)と、0件警告(毎日ある種類が今日は0件か)です。両方を、出す順番の中に並べて1本にします。
表形式の材料(受付ログ)に、壊れた日の記録を貼って2回、正常な日の記録を貼って1回試しました。表形式の記録では、壊れた日の2回とも4項目すべてが真値と一致しました。一致したのは次の5点です。
- 行数13、日付2026-08-14(昨日ではない)
- 重複3組、崩れた行あり
- 0件警告(請求0件・納期0件)
- 件数(仕様3・返品3・その他3)
- 未対応3件
正常な日も誤検知は0件でした。
⚠️ ただし項目3「種類ごとの件数」に、項目2で出した0件情報が重複して付け加わりました。頼んだのは別の項目として分けることで、0件の種類を3番でも書けとは指示していません。実害はありませんが、まとめたことで項目のあいだに情報が漏れた一例です。
2. 同じ指示文を、見出しのない記録に使う
同じ指示文の「種類」欄だけを、走り書きの材料(現場メモ)の種類に替えて試します。
壊れた日の記録(在庫は1件も無い)に2回試しました。材料点検・件数・未対応一覧は2回とも真値と一致しましたが、0件警告だけが2回とも外れました。1回目の答えは「判断できない(記録に種類の一覧が無いため)」でした。2回目は「なし」(=0件は無いという意味)でした。どちらも、在庫が0件であることを見つけられませんでした。
3. まとめたのが原因か、別々でも確かめる
0件警告だけを取り出し、材料点検を外した単独の指示文で同じ記録に当てます。まとめたことが原因なら、単独に戻すと直るはずです。
2回試しましたが、単独に戻しても2回とも「なし」のままで、在庫の0件を見つけられませんでした。統合版(指示文2)と合わせて4回中0回なので、崩れの原因は「まとめたこと」ではないと判断できます。
4. 本当に「1項目のリスト」が原因か、確かめる
残る候補は「渡した種類が1個だけだったこと」です。表形式の材料(材料A)で、種類を「納期」1個だけに絞って同じ単独の指示文を試します。
2回試すと、2回とも「納期 0件」と正しく答えました。材料Bの「在庫」1個だけ(指示文3)は2回とも外れました。材料Aの「納期」1個だけは、ここで2回とも当たりました。崩れの原因は「リストの項目数」ではなかったことになります。残った変数は、材料の形式(表か走り書きか)だけです。
5.「在庫」が本当にある日なら拾えるか(対照)
材料Bが0件警告を全般的に読めないのか、「0件になる場合」だけ読めないのかを切り分けます。同じ材料Bの壊れた日で、実際に3件ある種類「設備」を聞きます。
2回試すと、実際に3件ある「設備」は、2回とも正しく「なし」でした(実在する種類なので0件になりません)。材料Bが0件を誤るのは「種類が本当に0件のとき」に限られます。材料Bの形式そのものを読めていないわけではありません。
うまくいかないときの言い直し方
「見出しがないから」と教えても、言い直すと別の項目が消える
「推測せず、1件ずつ数えてから0件なら0件と断定して」と足すと、0件警告は直ります。
2回試すと、項目1「在庫:0件」は2回とも正解でした。ところが項目2「種類ごとの件数(多い順)」が、2回とも「在庫:0件」だけになりました。本来出るはずの設備3・問い合わせ3・清掃2・その他2が、丸ごと消えています。0件警告を直す言い直しが、件数の内訳を壊したことになります。
消えた内訳を戻すには、「数えた種類に限らず全部挙げて」を足す
項目2の範囲を、数えた種類だけに絞らせないよう明示します。
材料Bの壊れた日に2回、正常な日に1回試しました。壊れた日は2回とも、点検5項目・0件警告(在庫:0件)・内訳(設備3・問い合わせ3・清掃2・その他2)・未対応2件のすべてが真値と一致しました。正常な日も誤検知は0件です。
同じ最終形を、2項目のリスト(請求、納期)に差し替えて表形式の材料でも2回試し、こちらも2回とも全項目が一致しました。
自分の記録が「見出しのある形」か分からない
表の先頭行に、列の名前(「種類」「状態」など)が1行として書かれていれば「見出しのある形」です。
- 見出しあり:Excelやスプレッドシートからそのままコピーした表
- 見出しなし:メモ帳・チャットのログ・音声の文字起こしのような走り書き
迷ったら、2番の最終形(「数えた種類に限らず全部挙げて」まで入れた指示文)を既定にしてください。見出しがある記録でも崩れませんでした。
応用・次の一手
この記事が答えたのは前の記事の未測定事項「6番と7番を1つの指示文にまとめた形」です。まとめること自体は崩れの原因ではなく、崩れていたのは走り書きの記録で0件を確定する部分でした。
📌 この記事が実測していないことは3つです。
- 3個以上の種類を一度に渡した場合
- 列見出しが「種類」以外の言葉(「区分」「カテゴリ」など)だった場合
- 見出しの一部だけが欠けた記録
実際に使う前に、ご自身の記録の形で一度だけ試してください。
⚠️ 「見出しのある形に直す」のも手です。走り書きの記録そのものを、送る前に「種類」の列を1行足した表に整えてしまえば、この記事の崩れを避けられます。ただし、その変換自体が新しい作業になるので、まずは最終形の指示文(数えた種類に限らず全部挙げる一文つき)を試すほうが早いはずです。
📌 試行回数。指示文は8個で、走らせた回数は上から順に、頼み方が3・3・2・2・2回(計12回)、言い直し方が2・3回(計5回)、合わせて17回です。材料は前の記事から流用した架空のもので、真値はコードで再計算して元記事の集計と一致することを確認しました。指示文ごとの生の返りは docs/evidence/zero-alert-misses-without-a-header-row.md にあります。