これで何ができるか
来週の部会で15分の提案がある。言いたいことはメモにある。でもスライドの形にする段になると手が止まる——という場面で、骨子だけAIに組ませる話です。
⚠️ スライドそのものを作らせる話ではありません。作るのは自分です。AIにやらせるのは、材料を並べ替えて「何枚に、何を、どの順で」を決めるところまでです。
「15分の発表用にスライドの構成を作ってください」と頼むと、こうなります。
構成を考えたのではなく、渡した順に1行1枚へ置き換えているだけです。しかも1枚目から7枚目まで全部「課題の説明」で、何を承認してほしいのかが最後まで出てきません。
条件を4つ渡すだけで、こう変わりました。
前提
プログラミングは要りません。PowerPoint や Google スライドも、この段階では開きません。
用意するのは箇条書きのメモです。きれいな文章にする必要はありません。この記事の実測で使ったのも「・いまの在庫確認が電話とFAX」のような、走り書きのメモ14行です。
⚠️ 社外に出す資料や、数字が入るものは、そのAIに貼ってよいかを先に確かめてください。線引きはAIに触らせる範囲を先に決めておくにまとめてあります。
AIへの頼み方
1. いちばん最初に「何を承認してほしいか」を書かせる
素朴に頼むと、課題の説明が延々と続いて、提案は真ん中あたりに小さく出てきます。順番を逆にします。
これが1文で書けないうちは、スライドを作っても通りません。書けなければ、材料が足りないか、そもそも自分が決めきれていないかのどちらかです。
先に決めてしまえば、あとの全部が「そこへ連れていくための順番」になります。
2. 持ち時間を渡す。枚数ではなく時間で
「10枚くらいで」と枚数を指定すると、1枚が重くなって時間が溢れます。時間を渡して、枚数はAIに決めさせるほうが合います。
実測では、これで18枚が9枚になりました。枚数を指定すると1枚が重くなり、時間を指定すると枚数のほうが動きます。⚠️ 質疑の時間を別に伝えるのが要点です。伝えないと、質疑ぶんまで話す構成になります。
3. 画面に出す文字数の上限を渡す
ここがいちばん効きます。指定しないと、画面に平均63字の文章が載ります。後ろの席から読めません。
実測では平均17字になりました。「短くして」ではなく「30字以内」と長さで渡します。基準の無い言葉は効きません。
4. 「画面に出す言葉」と「口で言うこと」を分けて出させる
これがこの記事の中心です。発表は、書いてあることを読み上げる場ではありません。画面は見出しだけで、中身は口で言います。
実測では、口で言うことが画面の3.9倍になりました。この差が出るのが正しい形です。
この分け方が、読む資料との違いそのものです。企画書やA4の提案書は、書いてあることが全部です。読む人がそこにいないからです。発表はその逆で、いちばん大事なことは画面ではなく口から出ます。
5. 裏を取れていない話を、画面から外させる
メモには「同業のB社は3年前に導入済みと聞いた。ただし詳細は未確認」と書いてありました。素朴に頼むと、これがスライド12枚目に「(※詳細は未確認)」付きで載ります。
画面に載せた瞬間、それは質問される対象になります。そして答えられません。
実測ではB社の件が画面から外れ、「質問が出たら『聞いた話で、裏は取れていません』と答える」という扱いになりました。
⚠️ 確かめていないことを画面に書くと、資料が残るぶん後から効いてきます。出典の扱い全般は調べものを出典つきでやらせるにまとめてあります。
6. 反対意見を、隠さず1枚に立てさせる
メモには「倉庫の田中さんは反対している」と書いてありました。素朴版はこれを10枚目に「想定される懸念」として置き、11枚目で反論していました。
反対がある提案は、反対を自分から出したほうが通ります。隠すと質疑で出てきて、答えているうちに時間が尽きます。
⚠️ 最後の一行を入れないと、「ご指摘は当たりません」という調子の反論が返ってきます。反対した人が会場にいることを忘れた文章になります。
7. 削ったものを、一覧で出させる
14件のメモが9枚になったということは、どこかが消えています。消えたものを見せてもらいます。
実測では「謝罪訪問に部長が同行した件」が単独の枚から外れ、別の枚の口頭に吸収されていました。これは判断が要るところなので、自分で見て決め直します。
8. 最後に、時間の割り振りを出させる
いちばん時間を使う枚が「課題の説明」になっていたら、順番を考え直す合図です。時間は、通したいことに使います。
うまくいかないときの言い直し方
枚数を減らしたら、1枚が重くなった
減らせと言われたAIは、内容を捨てずに詰め込みます。捨てる基準を渡してください。
「口で言うこと」が、スライドの文字の言い換えになっている
画面に「在庫確認に1日4時間」、口頭に「在庫確認に1日4時間かかっています」と出るパターンです。それなら口頭は要りません。
話し言葉が硬くて、そのまま言えない
数字が、メモにない形に変わっている
「1件12分・1日20件」が「1日約4時間」に変わるのは計算なので構いませんが、メモにない数字が出てきたら止めてください。
⚠️ 計算した数字は、必ず自分で検算してください。この確かめ方の詳細は出典にない数字を見つけるにあります。
質疑で何を聞かれるか不安
印が付いたものだけ準備すれば足ります。全部に備える必要はありません。
応用・次の一手
発表が終わったら、資料を「読む形」に作り直します。欠席者に配るぶんです。ここで初めて、口で言っていたことを文字にします。
⚠️ 逆はやらないでください。読む資料をそのままスライドにすると、この記事の最初の18枚に戻ります。
同じ形式の発表が定期的にあるなら、型として保存します。
会議で決まったことをそのまま資料にしたい場合は会議の録音から議事録と宿題リストを作るが近い作業です。誰が何をやるかまで落とすなら分担を先に決めさせると組み合わせてください。