これで何ができるか
AIに長い名簿を表の形で書き出させると、途中で出力が切れることがあります。そのとき「続きを書いて」と言うだけで、本当に抜けや重複なくつながるのかを実際に試した記録です。プログラミングは要りません。
散らかったフォルダの整理では「番号で区切って頼んでください。『前半』『残り』で頼むと境目がずれて、重複か抜けが出ます」と勧めていました。ただし、あちらは会話を切って別の頼み方をした場合の話です。今回は「同じ会話の中で、途中まで出た表の続きを頼む」場面に絞って、3つの言い方を架空の名簿2本×各2回、計12回試しました。
結果は、3つの言い方とも、続きの25件は25件とも欠落・重複なしで出ました。紛らわしい行(同じ金額・区分で日付とIDだけ違う行を3組仕込んであります)を「すでに出したものと誤って混同して飛ばす」事故も、12回のうち0件でした。
崩れたのは中身ではなく、見出し行の有無という書式のほうでした。「16件目から40件目までを出してください」と番号だけで頼んだときだけ、見出し行を繰り返す回と繰り返さない回が混ざりました。しかも同じ名簿・同じ言い方でも、回によって割れます。この記事は「定説は正しかった」で終わる記事ですが、その中で見つかった1つの割れ目を、割れたまま書きます。
前提
- AIに表の形で全部書き出させている一覧があること(領収書のメモ、問い合わせの受付ログ、対応待ちの案件一覧など、行ごとに1件・IDや日付が付いているもの)
- 出力が途中で切れることがあると分かっていること(1回の返答の長さには上限があり、長い一覧ほど起きやすくなります)
- 同じ会話の中で続きを頼むこと。この記事が確かめたのはこの条件だけです。会話を切って新しいチャットで「続きから」と頼む場合は対象外です(そちらは散らかったフォルダの整理の実測のほうが近く、番号で区切ることを勧めています)
この記事は「壊れにくくする方法」ではありません。壊れたときに実際どうなるかを、架空の名簿で数えた記録です。件数が多い一覧を最初から分けて頼む工夫は同じ指示を何回もコピペしているなら、まとめて1回で頼めるにあります。
AIへの頼み方
1. まず、全部を表で出すよう頼む
今回使った架空の材料は、領収書・立替メモの一覧40件です(R-001〜R-040、1行に日付・金額・区分)。
(この下に、名簿40件をそのまま貼ります)
出力が途中で切れる状況を、毎回同じ形で再現するため、1〜15件目で切れた状態を固定して使いました。実際の出力長は聞くたびに変わってしまい、それに頼ると同じ条件で2回試したことになりません。切れた直後の状態はどの版でも共通にして、そこから先の「続きの頼み方」だけを変えています。
名簿には、紛らわしい行を3組仕込んであります。同じ金額・区分で日付とIDだけが違う行のペアです(例:R-005とR-019はどちらも「6,100円・書籍費」)。1組の片方を1〜15行目、もう片方を16〜40行目に置きました。「すでに出したものは書かないで」と頼んだとき、後ろ側の行が誤って“もう出したもの”とみなされて消えないかを見るためです。
2. 続きを書いてと頼む
材料2本×各2回=4回とも、16〜40件目の25件が25件とも欠落・重複なしで出ました。紛らわしい組の後ろ側(R-019・R-028・R-036、問い合わせ一覧のほうはQ-022・Q-031・Q-039)も4回とも全部出ています。見出し行(ID | 日付 | 金額 | 区分)は4回とも繰り返さず、最初の表にそのまま続く形でした。
3. すでに出したIDは書かないでと付け足す
心配していたのは、紛らわしい行の後ろ側が「もう出したものと同じだから」と誤って飛ばされることでした。結果は4回とも0件です。金額と区分が同じでも、IDと日付が違えば別の行として扱われていました。見出し行の扱いも指示文2と同じで、4回とも繰り返しません。
4. 番号で「◯件目から」と頼む
行の中身はここでも崩れませんでした。欠落0件・重複0件・紛らわしい組の取りこぼし0件です。
ただし、見出し行の有無だけが割れました。領収書の名簿では2回とも見出し付きで返り、問い合わせの名簿では1回目は見出しなし・2回目は見出し付きでした。同じ言い方・同じ名簿でも割れています。「続きを書いて」系の指示文2・3が4回とも一貫して見出しを繰り返さなかったのと対照的です。
なぜ番号で頼んだときだけ割れるのか。「続きを書いて」は文脈からして表の途中であることが明らかですが、「16件目から40件目までを出してください」は独立した依頼として読める言い方でもあります。独立した依頼として読まれた回は、新しい表を作るつもりで見出しを付け直し、続きとして読まれた回は付けなかった、と考えると筋が通ります。
5. 最初から分けて頼む(健全性の下限)
途中で切れるのを待たず、最初から件数を区切って頼む形も試しました。
2回を合わせると40件とも欠落・重複なしでした。この2つはそれぞれ独立した依頼として送っているので、「途中で切れた続きを正しくつなげたか」の検証にはならず、あくまで「最初から分ければ問題が起きない」という下限の確認です。見出し行はどちらも付いています(独立した依頼なので当然です)。
うまくいかないときの言い直し方
見出し行があったり無かったりする
指示文4のように番号で区切って続きを頼むと、見出し行の有無が割れることがあります。毎朝ひとりでに走らせる形にするなら、この1行を足します。
この1行を足して2回試すと、2回とも見出しなしで安定しました。中身(欠落・重複)も2回とも0件のままです。「見出しを繰り返すか」を運に任せず、こちらから決めてしまうのが確実です。
抜け・重複が心配なとき
今回は起きませんでしたが、心配なら検算をAIにやらせる方法もあります。実際に効くかを、わざと1件抜いて1件を重複させた一覧で試しました。
2回とも、仕込んだ欠落1件・重複1件をどちらも正しく言い当てました。失敗するはずの材料で先に確かめてから記事に載せています。IDが連番になっている一覧なら、この1文だけで検算できます。
そもそも一覧が長すぎて何度も切れる
一覧が数百件を超えるなら、続きを待つより最初から件数で区切って頼むほうが工程として安定します。分け方の目安は同じ指示を何回もコピペしているなら、まとめて1回で頼めるにまとめてあります。
応用・次の一手
この記事は「定説は正しかった」で終わる記事です。ただし確かめずに正しいと書いたわけではなく、架空の名簿2本×各2回、計12回試したうえでの結論です。「続きを書いて」も「すでに出したIDは書かないで」も、元の名簿が同じ会話の中に残っている限り、行の欠落・重複・紛らわしい行の誤った取りこぼしは1件も起きませんでした。
散らかったフォルダの整理は「前半」「残り」のような曖昧な区切りで、しかも会話を切って頼むと境目がずれると勧めていました。今回はそれを否定するものではありません。条件が違います——同じ会話の中で名簿が残ったまま続きを頼む場面と、会話を切って別の頼み方をする場面は別の話です。件数が最初から多いと分かっているなら、同じ指示を何回もコピペしているなら、まとめて1回で頼めるの分け方のほうが工程として安定します。
崩れたのは中身ではなく書式でした。この記事の一覧を、あとの処理で機械的に読み込む(Excelに貼る、別のプログラムに渡す)つもりなら、見出し行が回によってあったり無かったりするのは地味に厄介です。自動化の出力が「静かに変わる」のを止めるにも通じる話で、出す形は毎回そろえるようこちらから決めておくのが安全です。