これで何ができるか

副業でライティングや紹介文の作成を受けると、「参考資料をもとに書いてください」と渡されることがあります。AIに資料を渡して書かせると、資料の文がかなりの分量そのまま残ることがあります。よく言われる対策は「自分の言葉で書き直して、と頼めばいい」というものです。

言い換えを強く頼むほど、資料の文との一致は確かに消えていきます。ただし、この記事で気になったのは別のことでした。一致が消えるとき、社名や数字などの事実まで一緒に消えていないかです。

架空の紹介資料3本(革小物工房・会計事務所・パン屋、それぞれ実在しない社名と数字)に、言い換えの指示を3段階で強めて紹介文を書かせました(資料3本×3版×2試行=18回)。資料との20字以上の一致は19件→6件→0件と着実に減りました。一方、社名・所在地・創業年・人数などの事実(資料ごと6項目、計36項目)は、いちばん強い言い換えでも36項目中34項目が残りました。ただし2件だけ、地名の「市」のような細部が言い換えの過程で落ちていました。

架空の紹介資料3本をもとに紹介文を書かせ、言い換えの指示を3段階にしたときの、20字以上の一致件数と、事実の保持数を並べたマス目。版a(そのまま頼む)は6回合計で19件の一致があり、事実は36項目中36件が残った。版b(自分の言葉で書き直して、を足す)は一致が6件に減り、事実は36件のまま残った。版c(20字以上つながらないように、ただし固有名詞と数字はそのまま、を足す)は一致が0件になったが、事実は36項目中34件に減った。慣用句5個の一致は、版b・cではいずれも0件だった。
言い換えを強めるほど一致は消えたが、事実はほとんど残った。欠けた2件はどちらも同じ資料の「地名の一部」だった。

前提

かかる時間 20分
費用 無料
必要なもの 参考資料(自分で見比べられるもの)
プログラミング 不要。指示文をコピーして、資料を貼り替えるだけです

発注元がAIの利用を禁じている場合があります。規約や指示書を先に確かめ、禁じられているなら使わないでください。

⚠️ この記事で扱うのは、渡された参考資料の文がどれだけそのまま残るかです。他サイトとの類似(コピペチェックツールが見ている対象)ではありません。この環境から外部サイトと照合することはできないため、架空の資料を使って自分で真値を作りました。実測で使った資料の1つ(会計事務所、架空の社名と数字)はこういう形です。

横浜市に拠点を置く「あおば会計サポート」は、2015年に個人事業主向けの記帳代行として創業しました。現在はスタッフ6人で、120社の顧問先を担当しています。領収書の写真は撮った当日中に共有フォルダへ入れてください。日をまたぐと記憶違いが増えるためです。

仕訳の科目名は最初の三か月だけこちらで揃えます。慣れてきたら、お客様ご自身で選んでいただいて構いません。同じ取引先でも支払い方法が変わると科目を分けて記録します。月末の締め作業は毎月26日までに終わらせています。残高が一円でも合わないまま次の月へは進みません。

税理士への相談は月に一度、必ず対面かビデオ通話で行います。文章のやり取りだけでは誤解が残るためです。請求書の控えは七年間、紙とデータの両方で保管します。経費精算の締切を過ぎた分は翌月にまとめて処理します。資金繰り表は毎週月曜の朝に更新して共有します。

確定申告の直前の三か月は新規のご依頼をお断りしています。既存のお客様の対応が手薄になるためです。

以下の指示文は、この資料をチャット欄に貼ってから続けて送る形で試しています。

AIへの頼み方

1. まず何も言わずに頼む(対照)

いちばん普通の頼み方です。資料を貼って、そのまま紹介文を頼みます。

下の資料をもとに、800字程度の紹介文を書いてください。

架空の資料3本(各1社ぶん、実在しない社名・地名・数字)でこの言い方だけを試すと、資料と20字以上そのままつながる一致が6回の合計で19件ありました。最長は55字です。もともとの資料の言い回しに近い文章がそのまま返ってきているということで、これは想定どおりでした。

2. 「自分の言葉で書き直して」を足す

よく言われる対策です。同じ資料・同じ依頼に、この一文だけ足します。

下の資料をもとに、800字程度の紹介文を書いてください。資料の文をそのまま使わず、自分の言葉で書き直してください。

同じ3本で試すと、20字以上の一致は19件から6件に減りました。ただし0にはなりません。手順1と同じ資料・同じ依頼文で、足したのは1文だけです。

3. 「20字以上つながらないように、固有名詞と数字はそのまま」と具体的に頼む

言い換えの基準を数字で示し、同時に「消してほしくないもの」も名指しします。

下の資料をもとに、800字程度の紹介文を書いてください。資料の文と20字以上そのまま同じにならないようにしてください。ただし、固有名詞と数字はそのまま使ってください。

同じ3本で試すと、20字以上の一致は6回とも0件になりました。ここまでは狙いどおりです。問題はここからでした。社名・所在地・創業年・人数・数量・締め日という資料ごと6項目(3本で計36項目)を確認すると、この版でも34項目は資料どおりに残っていましたが、2件だけ資料と違っていました。どちらも上の会計事務所の資料で、「横浜市に拠点を置く」という資料の文が「横浜で活動する」に変わり、地名から「市」が落ちていました。会社名・創業年・人数・顧問先数・締め日はすべて正確だったので、抜けたのは1項目だけです。ただし「固有名詞と数字はそのまま使って」と明示的に頼んだあとでも、これは起きました。

なお、この版では「お客様に長くご愛用いただけるよう心がけております」のような決まり文句(3本の資料に共通で仕込んだ5個)も、6回とも1件も残りませんでした。手順2の言い換えでも同様に0件でした。言い換えを頼むと、意味のある文章だけでなく、ありふれた決まり文句までまとめて消えるということです。

うまくいかないときの言い直し方

事実が正しいか、AIに確認させる(過信は禁物)

手順3で「横浜市」が「横浜」に変わった紹介文を渡し、資料と照らし合わせて確認させました。資料と、確認したい紹介文の両方を貼ってから続けます。

下の資料をもとに書かれた紹介文があります。資料に出てくる地名・数字・固有名詞が、紹介文の中で正確に反映されているか、一つずつ照らし合わせて確認してください。ずれている箇所があれば、そのまま挙げて、直してください。

同じ組み合わせで2回試すと、1回は「地名・数字・固有名詞そのものは一致」と誤って報告し、抜けを見逃しました。もう1回は「横浜市」という表記が消えていることを正しく指摘し、直した文まで出しました。2回に1回しか捕まえられなかったということです。AIに確認させるだけでは足りず、資料と紹介文を自分の目で並べて見る一手間が必要になります。

先に固有名詞を一覧にしてから書かせる

書かせたあとに直すより、書く前に押さえておくやり方も試しました。

下の資料から紹介文を書きます。ただし先に、資料に出てくる地名・数字・固有名詞をすべて一覧にしてください。一覧を出したら、そこで止めてください。紹介文はまだ書かないでください。

「横浜市」がずれた資料で2回試すと、2回とも「横浜市」を含む12項目を正確に一覧にしました。一覧を先に確認してから紹介文を書かせれば、抜けに気づきやすくなります。まだ紹介文自体を書かせていない段階なので、この一覧と実際の完成文が一致するかは、書かせたあとにもう一度見る必要があります。

応用・次の一手

この確認作業自体を自動化できないか、AIに聞いてみました。

この作業を、毎回自分でやらずに済むようにしたいです。 私はプログラムを書けません。私がやる作業を番号を振って書いて、作れるものはあなたが作ってください。 作業の内容: 資料をもとに紹介文を書いたあと、資料に出てくる地名・数字・固有名詞が紹介文の中で正確に反映されているかを確認する。

返ってきたのは「資料を渡す」「照合結果を見て直すか判断する」の2つは人の仕事として残る、という正直な答えでした。「頼むたびに同じ手順で確認します」という約束はできても、確認そのものを自動化する方法は提示されませんでした。毎回同じ依頼文を添えて渡す、という地道な運用に落ち着きます。

言い換えで一致を消す作業と、納品前に発注書の条件を突き合わせる作業は、どちらも「AIが書いたものを、自分で確かめる」という点で同じです。検品そのものの頼み方は副業ライティングの納品前検品を、AIに「直させずに」やらせるにまとめています。

事実が落ちるのは、言い換えのときだけではありません。商品説明文を書かせたときにも、盛られた語が増える一方で、書かれていたはずの事実が落ちることがあります。そちらの実測はフリマの商品説明文をAIに書かせると、盛られたぶんだけ事実が消えるにまとめています。

同じ確認を何度もやるなら、まとめて渡す頼み方も組み合わせられます。同じ指示を何回もコピペしているなら、まとめて1回で頼めるも合わせてどうぞ。