これで何ができるか
複数の相手の緊急度を仕分けるという記事で、「相手によって緊急の伝え方が違うかもしれません。まず各社の書き方の癖を確認してから」という一文を足すと、5社の材料では過不足なく検出できると分かりました。あの記事は5社だけの実測でした。社数が増えたときに確認そのものが雑になるかは、確かめていませんでした。
この記事は、その確かめていなかった部分を試したものです。同じ4パターン(件名明記・本文のみ・日付のみ・慣習語)+対照群の構造を土台に、取引先を10社・20社へ機械で増やし、指示文を変えながら計8回試しました。
結論は3つです。
- 型の確認そのものは、10社でも20社でも崩れませんでした
- ただし20社では、タグも「至急」の言葉も使わない「日付だけ型」の相手だけ、検出結果に反映されないことがありました(4回中2回)
- その相手を名指しで「期限の日付だけで必ず判定して」と足すと、2回とも直りました
| 社数(件数) | 指示文 | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|---|
| 10社(50件・真の緊急16件) | 元記事と同じ | 16/16 | 16/16 |
| 20社(100件・真の緊急32件) | 元記事と同じ | 32/32 | 28/32 |
| 20社(100件) | +「1つの一覧にまとめて」 | 28/32 | 32/32 |
| 20社(100件) | +「日付だけ型」を名指し | 32/32 | 32/32 |
この記事は、AIに実際に一覧を判定させた実測の記録です。架空の取引先データを使っており、特定の会社の実例ではありません。全8回・224件ぶんの判定は docs/evidence/date-only-sender-slips-at-twenty.md に生のまま置いてあります。
前提
| かかる時間 | 20分 |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 必要なもの | ブラウザで使えるAI(ChatGPT・Claude・Geminiなど)と、複数の相手からの連絡の一覧 |
| プログラミング | 不要 |
この記事は複数の相手の緊急度を仕分けるの続きです。指示文の土台はあちらの2番とまったく同じ文字列を使い、変えたのは材料の社数と、末尾に足す一文です。
📌 見張りの対象を100件に増やしてもボロが出ないかはこちらにあります。あちらは監視対象の過去分の件数(同じ種類の記録が7件・30件・100件)を増やす実測で、この記事は相手(型)の種類数を増やす実測です。増やしているものが違うので、崩れる理由も別です。
📌 「重要です・よく確認して」のような念押しフレーズの効果はこちらにあります。あちらは読む側への念押しを振る実測で、この記事は相手側の書き方の型を振る実測です。
AIへの頼み方
1. 元記事と同じ指示文を、10社の材料で試す
材料は元記事と同じ4パターン(件名明記・本文のみ・日付のみ・慣習語)+対照群を、5社を1サイクルとして機械で増やしたものです。10社(2サイクル・50件)では、AIは10社ぶんそれぞれの型を個別の一文で言い当てました。2回とも真の緊急16件と過不足なく一致しました。
2. 同じ指示文を、20社の材料で試す
20社(4サイクル・100件)に増やすと、型の説明のしかたが変わりました。
- 10社のときは「取引先01は〜」と社ごとに書いていました
- 20社では「①タグを本当に緊急な時だけ使う=01・06・11・16」のように型ごとにまとめて書くようになりました
これ自体は誤りではありません。1回目はこの型ごとの説明のまま、真の緊急32件と過不足なく一致しました。
2回目も型の説明(「D群=取引先03・08・13・18は、タグも『至急』の言葉も使わず期限だけを淡々と書く」)自体は正確でした。ところが最終的な一覧では、この4社の「明日が期限」の1件ずつ(4件)が本題から外れました。回答の末尾には、こう書かれていました。
参考:今日でなくても、近日中に対応が要るもの 取引先03・08・13・18の確認書類は、いずれも10月1日締切です。今日の分類には入れていませんが、今日中に目を通しておくと安全です。
「本当に急ぎの連絡だけを教えてください」と頼んだのに、型の説明では急ぎだと正しく言い当てていた4件が、本題の一覧ではなく「参考」という別枠に落ちました。読者が本題の一覧だけを見て動くと、この4件を見落とします。
誤検知(緊急でない連絡を緊急と誤答すること)は、この記事の8回すべてで0件でした。崩れるのはつねに見落としの方向だけです。しかも「日付だけ型」(タグも「至急」の言葉も使わない相手)に集中しています。10社の材料にも同じ「日付だけ型」が2社(取引先03・08)ありました。そちらは2回とも崩れませんでした。
うまくいかないときの言い直し方
「一覧を1つにまとめて」と念を押しても、崩れる場所は消えない
「参考」という別枠ができたのが原因かと考え、指示文に「期限の近さに関わらず同じ1つの一覧にまとめて教えてください。参考行や別枠には分けないでください。」を足して試しました。
1回目は、別の4件が漏れました。今度は「日付だけ型」4社の3件目(本日締切・翌日の予定に必要な分)を外しました。理由は「本日中の確認で明日に間に合う=実害の無いトラップ」というものでした。1件目(翌日締切)は正しく残っていました。漏れる場所が入れ替わっただけです。
2回目は32/32で過不足なく一致しました。「1つにまとめて」という念押しは、別枠ができること自体は防げても、この型からの見落としそのものは防げませんでした。2回に1回という崩れ方は、念押しを足す前後で変わっていません。
「日付だけ型」を名指しすると、2回とも直った
崩れる場所はいつも同じ(タグも「至急」の語も使わない相手)だと分かっていたので、その相手をそのまま指示文に書きました。
1回目・2回目とも、真の緊急32件と過不足なく一致しました。「日付だけ型」4社(03・08・13・18)の1件目・3件目とも、どちらの回も本題の一覧にきちんと含まれていました。
2回目の回答は、03・08・13・18の説明にこう添えていました。
03・08・13・18は5通目に「ご返信は月末までで結構です」という文が必ずあります。今日9/30がちょうど月末なので日付だけ見ると「今日が期限」に見えますが、文自体が「急がなくてよい」と明言しているため、これは緊急に含めていません。
「日付の日にちだけを機械的に見る」のではなく、「期限を過ぎた場合の結果が書かれているか」まで読んだうえで判定していました。この記事の実測では、崩れる場所が分かっているなら、その場所を名指しで指示文に書くのがいちばん確実でした。
相手が20社を超えるときは
この記事が実測したのは20社までです。⚠️ 名指しの一文を足しても、2回で確認しただけです。相手が増えるほど、または「日付だけ型」の相手が増えるほど、同じように直るとは限りません。最初の1回だけ、AIの一覧と元の連絡を自分の目で見比べてください。この記事の8回では、誤検知(緊急でないものを緊急と誤答)は一度も起きていません。一覧に載っている項目を疑う必要はありません。見るべきは「載っていない項目」のほうです。
応用・次の一手
元記事の助言「相手が多いときは、最初の1回だけ、社ごとの型の説明を自分の目で確認してください」は、20社まででも有効でした。この記事が付け加えるのは、崩れる場所を先回りして指示文に書けることです。
- 型の説明そのものは、8回とも正確でした
- 崩れるのは「タグも『至急』の語も使わない、期限の日付だけの相手」に限られました
- その相手を名指しで指示文に足すと、2回とも直りました
- 誤検知(含めるべきでないものを含める)は8回とも一度も起きませんでした
自動実行に組み込むなら、毎日決まった時刻にAIを動かす仕掛けを作らせるの形に、名指しの一文を含めた指示文をそのまま載せます。運用はこの1点で足ります。
- 最初の1回だけ、「日付だけ型」の相手の分を人が目で見る
全部を毎回見直す必要はありません。
⚠️ この記事が実測していないこと=相手が21社以上に増えた場合、日付だけ型の相手が5社以上に増えた場合、日本語以外の言語で届く連絡の3つです。実際に使う人は、最初の1回だけ、報告された一覧と元の連絡を見比べてください。