これで何ができるか

冷蔵庫の中身を書き出して渡すと、1週間分の夕食の献立と買い物リストが返ってきます。「今日なに作ろう」を毎晩考えなくて済みます。

ただし、返ってきた献立をそのまま使うと困ることになります。

架空の冷蔵庫(15品)と、5つの条件(妻がえびアレルギー/買い足しは3,000円以内/平日は調理20分以内/消費期限の早い順/夕食のみ7日分)を渡して、実際に測りました。

献立作りで、渡した条件がどれだけ守られたかを比べた実測の図。架空の冷蔵庫15品と条件5つを渡して機械で判定した。「あるもので献立を作って」とだけ頼むと、えびアレルギーを守る、買い足しに金額がある、予算3,000円に触れている、各日の調理時間がある、使わなかったものが分かる、在庫の残量が分かる、の6項目すべてが守られなかった。守る条件を先に書き出させると6項目すべてが守られた。素朴に頼んだ献立は読んでもおかしくないので、えびが入っていることは自分で条件と照らし合わせるまで気づけない。
条件は伝えてありました。それでも6項目すべてが守られていません。

水曜日に「えびのチリソース」が入っていました。アレルギーがあると書いて渡したのにです。

しかも困るのは、献立そのものは読んでもおかしくないことです。肉と野菜のバランスも、平日と週末の使い分けも、それらしく整っています。えびが入っていることは、自分で条件と照らし合わせるまで気づけません。

前提

プログラミングは要りません。冷蔵庫と食品棚の中身を、箇条書きで書き出すだけです。

きれいに書く必要はありません。「鶏むね肉 600g(8/14)」「玉ねぎ 4個」のような走り書きで十分です。⚠️ ただし消費期限と数量は書いてください。この2つが無いと、後で出てくる問題がほぼ全部起きます。

AIへの頼み方

1. 守る条件を、先に復唱させる

献立を作らせる前に、条件だけを確認させます。これが一番効きます。

これから冷蔵庫の中身と条件を渡します。 まず、守るべき条件だけを箇条書きで書き出してください。 献立はまだ作らないでください。

「まだ作らないでください」を付けるのが要点です。付けないと、条件の確認をすっ飛ばして献立が返ってきます。

書き出された条件を自分で見て、抜けがあればここで足します。条件は、文章の中に埋もれている間は守られません。リストとして独立させると守られます。

2. アレルギーと苦手なものは、独立した1行にする

冷蔵庫の中身と一緒に「妻がえびアレルギー」と書くと、材料リストの一部として流されます。

絶対に使ってはいけない食材:えび、かに 理由:アレルギー これは他のどの条件よりも優先してください。

⚠️ アレルギーは「条件」ではなく「禁止」として、単独で渡してください。他の条件と並べると、他と同じ重みで扱われます。

確認も別にさせます。

この献立に、えびとかには入っていませんか。 入っていないことを、1日ずつ確認して答えてください。

3. 数量を書かせて、使い切らせる

「冷蔵庫にあるもので」と頼むと、15品のうち9品しか使われませんでした。

冷蔵庫にあった15品のうち、献立に登場した品数を比べた図。「あるもので作って」と頼んだときは15品中9品しか使われず、にんじん、玉ねぎ、ピーマン、牛乳、ミックスベジタブル、食パンの6品が残った。使い切る量まで書かせると15品すべてが使われた。残った6品には次の週まで持たないものが混ざるが、使わなかったものを挙げてと頼むまで、残ったこと自体が見えない。
残った6品に、牛乳のような日持ちしないものが混ざっています。
各日の料理に、使う食材と分量を書いてください。 最後に「在庫がいくつ残るか」の一覧を出してください。 例:鶏むね600g → 0g、卵8個 → 3個残り

残量の一覧を出させると、使い残しがその場で見えます。「作れる献立」ではなく「在庫が減る献立」に変わります

4. 買い足しには、必ず金額を書かせる

素朴に頼むと、買い足しリストは13品目・金額ゼロで返ってきました。これでは3,000円以内かどうか判断できません。

買い足しリストには、それぞれの目安の金額と、合計を書いてください。 合計が3,000円を超える場合は、超えると先に言ってください。

⚠️ 金額はAIの推測なので、そのまま信じないでください。地域と店で変わります。使い方は「だいたい収まるか」の目安で、レシートと突き合わせるものではありません。数字の扱い方は出典にない数字を見つけると同じ考え方です。

5. 各日に「調理時間」を書かせる

「平日は20分以内」と伝えても、素朴版は時間を1つも書きませんでした(金曜にカレーが入っていました)。書かせれば自分で判断できます。

各日の献立の先頭に、調理時間の目安を分で書いてください。 平日(月〜金)は20分以内に収めてください。 収まらない日があれば、なぜ収まらないかを書いてください。

最後の一文があると、無理に20分と書くのではなく「これは35分かかります」と申告してきます。守れないと言わせるほうが、守れたことにされるより役に立ちます

6. 消費期限の早い順に並べさせる

消費期限が書いてある食材は、期限の早いものから使ってください。 各日に「今日使い切るもの」を書いてください。

「期限の早い順」だけだと、期限当日に半分だけ使って残す献立が出ます。「使い切るもの」を書かせると、その日で終わる形になります。

7. 使わなかったものを、必ず挙げさせる

冷蔵庫にあったもので、今週の献立で使わなかったものを全部挙げてください。 それぞれ、なぜ使わなかったかも書いてください。

使わなかったものを挙げさせるまで、残ったこと自体が見えません。挙げさせると「えびはアレルギーのため」「食パンは出番なし」のように、捨てることになる食材が事前に分かります。

8. 1日分だけ作らせて、確かめてから7日分にする

いきなり7日分を出させると、直すときに全部やり直しになります。

まず月曜の1日分だけ作ってください。 条件を全部満たしているかを、条件ごとに○×で自己申告してください。

○×が全部○になってから、残りを頼みます。この進め方は1件だけ試してから全部渡すと同じ形です。

うまくいかないときの言い直し方

家にない調味料や食材が、当たり前のように出てくる

「オイスターソース」「ナンプラー」など、書いていないものが使われます。あるものを列挙しただけでは「これしかない」と伝わりません。

調味料は、渡したリストにあるものだけを使ってください。 リストにないものが必要な料理は、買い足しリストに入れてください。 勝手に「家にあるはず」と仮定しないでください。

同じ食材が何度も出てきて飽きそう

同じ主菜の食材(鶏・豚・卵・豆腐)が2日続かないようにしてください。 調理法(焼く・煮る・炒める・揚げる)も2日続けないでください。

量が2人分に見えない

分量は大人2人分で書いてください。 1人あたりの主菜の量を、グラムで書いてください。

献立は良いが、作り方が分からない

⚠️ ここから先はレシピの領域なので、この記事の範囲ではありません。ただし頼み方は同じです。

火曜の「鶏むねのチキンピカタ」の作り方を、 うちにある道具(フライパン・鍋・電子レンジ)だけで作れる手順にしてください。

家族に見せたら「これ食べたくない」と言われた

献立は好みが分かれます。却下されたものを材料に、次を作らせます。

この7日分のうち、月曜と木曜は却下されました。 なぜ却下されたかは分かりませんが、この2つを別の案に変えてください。 残りの5日はそのままで、在庫の計算だけやり直してください。

「残りはそのまま」を付けないと、全部作り直されて在庫の計算も変わります。

応用・次の一手

買い物リストを、店の並び順にさせると速く回れます。

買い足しリストを、スーパーの売り場の順に並べ替えてください。 野菜 → 肉・魚 → 乳製品 → 加工品 → 調味料の順でお願いします。

うまくいった条件は、次の週にそのまま使えます。

ここまでの条件を、次回そのまま貼れる1つの指示文にまとめてください。 冷蔵庫の中身だけ差し替えれば使える形にしてください。

毎週これをやるなら、頼むこと自体を減らす方向も考えられます。同じ作業を繰り返している場合の考え方は渡せる作業の見つけ方にまとめてあります。

⚠️ この記事で扱ったのは献立を組ませることだけです。レシートを家計の表にするような、暮らしの書類まわりは暮らしの面倒な書類をAIに任せるにあります。

📌 この記事でいちばん大事なのは、えびの件です。条件を伝えたのに守られないことがある、というのは献立に限りません。AIが作ったものは「おいしそうか」ではなく「条件を満たしているか」で見てください。そして条件は、自分で照らし合わせないと分かりません。