これで何ができるか

家に届く紙は、たいてい読むのが面倒で、書くのはもっと面倒です。役所の通知、保険の更新、学校のプリント、レシートの山。この「読む」と「下書き」は、まるごとAIに渡せます

仕事で使うより、むしろ暮らしのほうが向いています。締切がゆるく、失敗しても取り返しがつくからです。AIに慣れる練習として、家の紙仕事から始めるのは合理的です

ただし1点だけ、渡してはいけないところがあります。

暮らしの書類でAIに渡せる工程の図。写真を撮る(レシートも通知もスマホで1枚)、読み取らせる(文字にして表にまとめさせる)、下書きさせる(申請文や問い合わせ文を型どおりに)までは渡せる。最後の「出す判断」は自分が持ち、金額と宛先だけ目で確かめる。金額・宛先・期限はAIの読み取りをそのまま信じず、原本と1回見比べる。
読み取りと下書きまでは渡してかまいません。最後の「出す」判断だけは自分に残します。

前提

かかる時間 15分
費用 無料。スマホの無料アプリで足ります
必要なもの 写真を渡せるAI(ChatGPT・Claude・Geminiのアプリ版)
プログラミング 不要。写真を送って、この記事の指示文を貼るだけです

マイナンバー・口座番号・カード番号が写っている書類は、そのまま渡さないでください。指で隠して撮るか、その部分を塗りつぶしてから渡します。AIに送った内容は、送った先の会社のサーバーを通ります。

AIへの頼み方

1. 難しい通知を、自分向けに言い直させる

役所や保険の文書は、わざと厳密に書いてあるので読みにくいです。

この書類の写真を送ります。中身を、次の3つに分けて教えてください。 1. これは何の書類か(1行で) 2. 私は何をすればいいか(やることが無いなら「無し」と書いてください) 3. 期限はいつか 書いていないことは推測せず「書かれていません」としてください。

3つ目の但し書きが効きます。これが無いと、よくある一般的な手続きの話を、その書類に書いてあるかのように混ぜてきます

2. レシートを家計の表にする

1枚ずつ入力する作業は、まとめて渡せば1回で終わります。

レシートの写真を何枚か送ります。次の形の表にまとめてください。 日付/店名/金額/分類(食費・日用品・交通費など) 読み取れなかった項目は、空欄にせず「読めません」と書いてください。合計金額も最後に出してください。

「読めなかったものを空欄にしない」が大事です。空欄だと、あとで見たときに「0円だった」のか「読めなかった」のか分かりません。読めない部分は自分で入れれば済みます。

3. 面倒な文章を、型どおりに書かせる

問い合わせ・申請・お断り。書き出しで止まる文章こそ、下書きを作らせる価値があります。

次の内容で、問い合わせの文章を書いてください。 ・相手:(どこに出すか) ・伝えたいこと:(箇条書きで3つくらい) ・希望:(どうしてほしいか) 丁寧すぎず、短くしてください。私が読んで直せるように、埋めるべき箇所は( )にしておいてください。

「短くして」を必ず付けてください。放っておくとやたら丁寧で長い文になり、直すのに時間がかかります

4. 選択肢を、条件つきで比べさせる

保険・料金プラン・引っ越し先。比較は得意分野です。ただし条件を渡さないと一般論が返ってきます。

次の選択肢を比べたいです。私の条件を書きます。 ・条件:(家族構成、譲れない点、予算など) ・選択肢:(AとB、または資料の写真) 条件に照らして、それぞれの向き・不向きを表にしてください。書類に書かれていない点は「記載なし」としてください。最後に、私が確認すべき点を3つ挙げてください。

最後の「確認すべき点」が効きます。AIの比較を鵜呑みにせず、自分で確かめる場所を先に教えてもらうという使い方です。

うまくいかないときの言い直し方

写真の文字を読み間違えている

読み取った内容を、加工せずそのまま書き出してください。 読みにくかった箇所は、勝手に補わず「(不明)」と書いてください。そのうえで、私が確認すべき箇所を指摘してください。

数字の読み間違いは、それらしく見えるので気づきません。金額・日付・期限は、必ず原本と1回見比べてください。この「そのまま出させる」考え方はAIに数字を「それっぽく」埋めさせない頼み方と同じです。

一般論ばかりで、私の書類の話になっていない

一般的な説明は要りません。送った書類に実際に書いてあることだけで答えてください。 書類に書かれていない項目は「この書類には書かれていません」としてください。

個人情報を送ってしまった気がする

送ってしまったものは、こちらの操作では取り消せません。あわてず、次を確認してください。

  • そのサービスの設定で、会話の履歴の保存や学習利用を止められることが多いです(サービスごとに場所が違います)
  • 会話そのものを削除できる場合もありますが、削除しても「送った事実」は消えません
  • 口座番号やカード番号を送ってしまった場合は、AI側の設定より先に、金融機関に相談するほうが確実です

次からは、渡す前に隠す癖をつけてください。指で隠して撮るだけで十分です。

家族に見せたら「これ違うよ」と言われた

この部分が違うと指摘されました。(どこがどう違うか) なぜそう読み取ったのか、書類のどこを見たのかを教えてください。私が原本のどこを確認すればいいかも書いてください。

応用・次の一手

慣れてきたら、毎月くり返す紙仕事をまとめて渡せます。

毎月やっている家の作業を書きます。(家計の集計、光熱費の確認、など) このうち、写真や画面のコピーを渡せば任せられるものはどれですか。渡し方も教えてください。

もう1つ、家族と共有すると効きます。

いまの内容を、家族に共有できる短いメモにしてください。専門用語は使わず、やることと期限だけにしてください。

書類は毎年ほぼ同じ形で届きます。一度うまくいった頼み方を保存しておくと、来年そのまま使えます。指示文を覚えさせる方法はAIに「記憶」を持たせるに書きました。

自分の暮らしの中でほかに渡せるものを探すなら、渡せる作業の見つけ方がそのまま使えます。