これで何ができるか
発注書の矛盾を、書く前に洗い出すでは、「矛盾を挙げて」と聞いた4回は、単に書かれていない項目に1件も触れませんでした。聞かれた側だけが返るという発見でしたが、これは「矛盾」と「欠落」という1つの対でしか確かめていません。
この記事は、見積書の「含む作業」と「除外事項」という別の対で同じことを確かめます。架空の見積書2本(バナー制作案件・ライティングの月極契約、それぞれ含む作業5件・除外事項5件)を用意し、片方だけを名指しして聞く2パターンと、両方を名指しする対照パターンを、合わせて18回試しました。
結果は、片方向だけでした。「含まれる作業を挙げてください」と聞いた6回のうち5回は、聞いていない除外事項まで自分から書きました。ところが「含まれない作業(除外事項)を挙げてください」と聞いた6回では、含む作業に触れたのは1回だけで、しかもその1回も5件中1件に触れただけでした。「聞かれた側だけが返る」は、対の性質によって成り立ったり成り立たなかったりします。
前提
| かかる時間 | 15分 |
| 費用 | 無料。ブラウザのチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 見積書または発注書(「含む」「含まない」がどちらも書かれているもの) |
| プログラミング | 不要。見積書を貼って、指示文をコピーするだけです |
発注書の矛盾を、書く前に洗い出すを先に読んでおくと、この記事がどこから続いているかが分かります。
AIへの頼み方
1. 「含まれる作業」だけを聞く(6回中5回、除外事項まで返る)
含む作業5件は6回とも正確に列挙されました。そのうえで6回中5回は、こちらが聞いていない除外事項にまで自分から触れました。
なお、以下は除外事項として明記されているため、追加で依頼する場合は別途料金の対象になる可能性があります。
見積もりの説明としては親切ですが、聞いていないことまで返ってくるという点では、「ついでに整理しておきました」と言わせない頼み方と同じ現象です。
2. 「含まれない作業」だけを聞く(6回中1回しか、含む作業に触れない)
除外事項5件は6回とも正確に列挙されましたが、含む作業に触れたのは6回中1回だけで、しかもその1回も「修正も2回までで、3回目以降は別途対応になります」という1項目だけでした。残り5件(バナーのサイズや納品形式など)には一言もありません。「除外を聞けば含む側も分かるだろう」は期待できません。
3. 両方を名指しする(対照・6回とも過不足なし)
6回とも、含む作業5件・除外事項5件がそのまま返ります。片方だけで済ませず、最初から両方を名指しするのがいちばん確実です。
4. 「除外事項を挙げて」に、含む作業の付記を一言足す
指示文2の弱点を、一言で直します。
材料2本とも、除外事項5件のあとに含む作業5件が正しく付記されました。「他に、〜があれば書き添えてください」の一文だけで、6回中5回しか出なかった含む作業が2回とも出ます。
5. 保存版——毎回同じ形で点検する
2回とも、見出しがそろい、含む作業5件・除外事項5件が過不足なく列挙されました。推測や改善提案の混入もありません。毎回同じ点検をしたいなら、この形を保存しておいてください。
6. 中立に「範囲を教えて」と聞く
片方を名指ししなくても、2回とも「含まれるもの」「含まれないもの」の両方が自分から出てきました。「範囲」という聞き方は、指示文1(含まれる作業を聞く)と同じ向きの挙動でした。含むかどうかを気にする質問は、自然と両方が返りやすいようです。
うまくいかないときの言い直し方
「除外事項だけ教えて」と頼んだのに、含む作業が分からなかった
指示文2のとおりです。除外事項だけを聞いても、含む作業はほぼ返ってきません。指示文4のように「含む作業も書き添えてください」と一言足すか、指示文3のように最初から両方を名指ししてください。
見積書を検品するたびに、聞き方を毎回考えるのが面倒
指示文5の保存版をそのまま使ってください。片方だけを聞くリスクそのものをフォーマットで消せます。
「範囲を教えて」で十分だと思っていた
指示文6のとおり、この記事の2回では両方そろいましたが、試行回数がまだ2回と少ないため、確実とは言い切れません。金額が絡む場面では、指示文3か5のように明示的に両方を名指ししてください。
応用・次の一手
📌 「聞かれた側だけが返る」は、対の性質によって成り立つかどうかが変わります。発注書の矛盾を、書く前に洗い出すの「矛盾/欠落」という対では両方向とも成り立ちましたが、この記事の「含む/含まない」という対では片方向だけでした。新しい対で同じ心配をするときは、両方向を別々に確かめてください。片方だけ確かめて「聞かれた側だけが返る」と決めつけると、逆方向では外れることがあります。
🔁 見積書を受け取るたびに、指示文5の保存版で機械的に点検してください。発注前の突き合わせは「ついでに整理しておきました」と言わせない頼み方とも相性が良く、範囲の外側まで手を出させない歯止めになります。
⚠️ この記事の数字はすべて架空データでの実測です(3パターン×材料2本×各3回=18回+言い直し方3種×各2回=6回、全24回)。生の返りと照合は docs/evidence/quote-scope-leaks-one-direction-only.md に全文置いてあります。