これで何ができるか
「税抜きの場合と税込みの場合、両方の手取り額を計算してください」と頼んだとき、消費税のかけ先まで自分で指定すると答えが安定するかを確かめられます。材料は前作と同じ、クラウドワークス型の段階制手数料です。内訳は次の3つです。
- 契約額92,000円
- 10万円以下の部分に20%
-
10万円超20万円以下の部分に10%
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前作はこの聞き方を独立した3回で試し、73,600円・71,760円・80,960円という3種類の金額が組み合わせを変えて混ざることを確かめました
- 言い直し方として「消費税はどこに(契約額全体か、手数料自体か)足しますか、まで指定してください」を挙げました
- ただし、この指定を実際に加えて試した記録は本文に残していませんでした
この記事はその宿題に答えます。
消費税のかけ先を2通りで指定しました。
- 指定A:消費税は契約額全体にかけて、そのあとで手数料率を当てはめる
- 指定B:消費税は手数料自体にだけかける
段階制(材料1)は、指定A・指定Bそれぞれ5回ずつ、合わせて10回とも主回答が同じ2つの金額で揃いました。聞いていない数字が付いた回は0回です。前作で1回の返りに3つの金額が混ざっていたのが、かけ先を1つ指定しただけで消えました。
ところが対照として置いた一律16.5%(材料2)は、主回答自体は10回とも安定したのに、10回中7回は聞いていない数字が追加で出ました。この2つの架空の材料・全20回での実測です。確かめていないことは、記事の最後にまとめます。
前提
| かかる時間 | 20分 |
| 費用 | 無料。ブラウザのチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 特にありません。契約額と手数料率をAIに伝えるだけです |
| プログラミング | 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです |
この記事は税務の記事ではありません。確定申告・課税事業者・インボイスの判断はしません(書き手は税理士ではありません)。消費税の扱いは、AIが実際にどう計算したかを記録する範囲にとどめます。
📌 この記事の実測は独立した新規の会話ごとに1回ずつ試しています。同じ会話で「もう一度」と頼むのではなく、まっさらな会話を毎回立ち上げて同じ文面を送りました。
AIへの頼み方
1. 段階制に「消費税は契約額全体にかける」と指定する
前作と同じ架空の契約額・段階制の手数料を使い、末尾に指定Aの一文を足しました。
5回試して、5回とも同じ2つの金額(73,600円・81,080円)が返りました。
税抜きの場合:92,000 − 18,400 = 73,600円 税込みの場合:税込金額は92,000 × 1.1 = 101,200円。手数料は20,120円。手取り額は101,200 − 20,120 = 81,080円
🔑 ラベルの向きに注意してください。AIは5回とも「税抜きの場合」に92,000円をそのまま使い、「税込みの場合」に92,000円を1.1倍した101,200円を使いました。契約額を膨らませるのは「税込み」側だと考えていると、逆に読んでしまいます。向きは一貫していましたが、こちらが期待する向きと同じとは限りません。返ってきた式の中身を必ず確認してください。
2. 段階制に「消費税は手数料自体にだけかける」と指定する
同じ材料に、指定Bの一文を足します。
こちらも5回とも同じ2つの金額(71,760円・73,600円)で揃いました。
手数料(税抜):92,000 × 20% = 18,400円 税抜の場合:92,000 − 18,400 = 73,600円 税込の場合(消費税10%を手数料にのみ課税):手数料(税込) = 18,400 + 1,840 = 20,240円。手取り額 = 92,000 − 20,240 = 71,760円
段階制は指定A・指定B合わせて10回とも、聞いていない代替の数字や納税後の実質額が1件も付きませんでした。前作の3種類(73,600円・71,760円・80,960円)が入り乱れていた状態から、かけ先を1つ決めるだけで完全に収まりました。
3. 対照として、一律16.5%でも同じ指定を試す
段階制だけの効果ではないかを確かめるため、一律16.5%(ランサーズ型)にも同じ2つの指定を試します。
主回答(84,502円・76,820円)は5回とも安定しました。ただし5回中3回は、頼んでいない「納税後の実質手取り」という数字が追加で出ました。
①の手取り84,502円には、預かった消費税9,200円が含まれています。納税分を除いた実質の手取りは、84,502 − 9,200 = 75,302円です。
同じ指定を、指定Bでも試します。
主回答(75,302円・82,832円前後)は5回とも安定しました。それでも5回中4回は、まったく別の前提の数字が追加で出ました。追加で出たのは「もし料率がすでに税込みなら84,502円・76,820円」という数字です。
16.5%がすでに消費税込みの料率(15% × 1.1)という意味でしたら、消費税の上乗せは不要で、手取りは次のとおりです。①が84,502円、②が76,820円
材料2は合計10回のうち7回に、聞いていない数字が付きました。段階制の0回とは対照的です。
なぜこの言い方が効くのか
消費税のかけ先を指定すると、AIが選ぶ計算の道筋そのものが1本に決まりました。前作で3種類の金額が混ざっていたのは、「契約額全体にかけるか、手数料自体にかけるか」をAIが毎回選び直していたからです。選択肢を事前に1つ潰すと、選び直す余地そのものが無くなります。段階制でこれが特によく効いたのは、その選択肢が割れの唯一の原因だったからだと考えられます。
一方、一律16.5%で聞いていない数字が付いたのは、別の原因です。この材料の定義は「契約金額(税込)に対して一律16.5%」です。この書き方には、「16.5%の中にすでに消費税が含まれているのでは」という読み方の余地が最初から残っています。かけ先の指定はこの余地には触れていないので、AIは毎回のように自分から両方の可能性に触れていました。
うまくいかないときの言い直し方
指定したのに、別の前提の数字が付いてくる
率そのものの意味(すでに税込みかどうか)まで指定すると、一部は収まります。材料2・指定Bに一文を足して3回試しました。
「もし16.5%がすでに税込み料率なら」という代替前提の数字は、3回とも消えました。指定前は10回中4回出ていたので、ここは効いています。ただし「納税後の実質手取り」という、別の聞いていない数字は3回中2回に残りました。2種類の「聞いていない数字」は原因が別なので、片方への対策はもう片方には効きません。
指定した意図どおりに、契約額が動いているか確かめる
指定Bは「消費税は手数料自体にだけかける」としか言っていません。それでも材料2では、AIは「税抜きの場合」に契約額92,000円自体を1.1倍していました。指定したつもりの無い場所にまで、税の計算が及んでいました。指定Bの直後の会話に、続けてこう聞きます。
3回とも「かけました」と自分から認め、指示との食い違いを自分から指摘しました。
「消費税は手数料自体にだけかけてください」という指示とは食い違っている可能性があります。
3回とも、指定文を文字どおりに読んだ場合の計算(契約額には触れず、税抜き・税込みのどちらも75,302円になる)まで自分から示しました。🔑 ただし、この気づきは最初の回答には一度も出てきません。材料2・指定Bの5回と、すぐ上の言い直しの3回を合わせた8回のうち、自分から食い違いを指摘した回は0回でした。「かけ先を1つ指定したから安心」ではなく、返ってきた式の中で契約額自体が動いていないかを、指定のたびに確かめてください。
応用・次の一手
毎月の手取り計算を自動にするなら、かけ先の指定は必須にしてください。前作が見つけた「両方の場合を」という聞き方の不安定さは、段階制に関する限り、かけ先を1つ決めるだけでほぼ解消しました。定期実行の置き方は「毎日決まった時刻に自動でやっておいて」をAIに作らせる記事にあります。
一律料率のような単純な仕組みでも、「安定している」で安心しないでください。今回の実測では、主回答自体は10回とも同じでも、7割の回に聞いていない代替の数字が付きました。自動処理の中でAIの返答の最初の数字だけを拾う作りだと、この追加の数字を見落とします。聞いていない数字が同じ返答の中に同居する現象は、「分からない」と正直に断ったうえで、それでも仮の答えを出す記事でも確かめています。
⚠️ この結果は、この2つの架空の材料・のべ20回での実測です。次の範囲は確かめていません。
- 段階制の区分がさらに増えた場合(今回は2区分まで)
- かけ先の指定を3通り以上に増やした場合(今回はA・Bの2通りだけ)
- 「すでに税込み料率か」まで指定した言い直し方を、複数回試して安定するかどうか
今回の生の返り20回ぶんと判定コードは docs/evidence/pick-where-tax-applies-and-it-holds.md に全文置いてあります。料率は変わるので、使う前にご自身で開いて確かめてください(クラウドワークスワーカーのシステム利用料・ランサーズ手数料について)。