これで何ができるか

工程を分けて頼むと崩れるかは、架空の問い合わせ処理を3工程に分けても精度は上がらないことを確かめました。ただし、各工程の冒頭に「受け取った件数」を書かせれば崩れを止められることも分かっています。今回はそのチェーンに工程4(担当部署への振り分け)・工程5(部署別の集計表)を足し、5工程まで増やしても崩れないかを試しました。

前の記事が実際に返した工程3の出力(4本・1字も変えていない)を、そのまま工程4への入力にしています。結果は次の4つです。

  1. **工程4(部署振り分け)は、4通し・48件すべてが真値どおりでした。**欠落0・誤りも0です。
  2. 工程5(集計表)も、4通しとも4セル(営業部・サポート部・総務部・合計)が真値どおりでした。
  3. 工程3で「期限」欄が本工程に届かず機能しなくなっていた3本(A-1・B-1・B-2)でも、工程4・5は崩れませんでした。部署の判定も集計も、期限を使わないからです。
  4. 工程3を完全に0件で止めた場合を試すと、工程4は作り話で埋めず「受け取った件数: 0件」と理由を引き継いで止まりました。停止は後工程にも正しく伝わり、下流が勝手に12件を復元しようとはしませんでした。
3工程のチェーンに工程4(部署への振り分け)・工程5(部署別の集計表)を足した流れを示す図。工程1〜3(前の記事・2026年8月23日の実測)は、件数を書かせた版が4通しとも12件のまま保たれたが、4通しのうち3本は「期限」欄が本工程に届かず機能しなかった。工程4(今回・新規)は、見積もりを営業部、不具合をサポート部、日程を総務部に振り分け、4通し・48件すべて真値どおりだった(期限は使っていない)。工程5(今回・新規)は営業部・サポート部・総務部・合計の4セルを集計し、4通しとも真値どおりだった。下には別の版として、工程3が完全に0件で止まった場合を示す。工程3が0件で停止したのは、下流に渡せる型番・用件・期限の3行が1件もなく「作れません」と断ったため。この停止をそのまま渡した工程4(今回・新規)は、「受け取った件数: 0件」と自己申告し、作り話で部署を割った件数は0件で、前工程への質問をそのまま引き継いで同じく停止した。下の枠には、48件・4セルとも新しく足した工程4・5は崩れなかったこと、工程3が0件で止まった場合も工程4は作り話で埋めず同じ理由を引き継いで止まったことが書かれている。
工程3が0件で止まっても、工程4は作り話をせずに止まりました。
工程3の期限欄の割れと、新しく足した工程4・5のrun単位の完全正解率を比べた表。工程3で期限欄まで12件とも機能したrunは4本中1本、期限欄が機能しなかったrunは4本中3本で、新規2工程はこの3本も引き継いでいる。工程4(部署の振り分けが12件とも真値どおりだったrun)は4本中4本、工程5(集計表が4セルとも真値どおりだったrun)も4本中4本。下の枠には、工程4・5は期限欄が機能しなかった3本を引き継いでも48件・4表とも崩れなかったこと、部署の判定も集計も期限を使わないので工程3の欠けは伝わらず消えたこと、工程3が完全に0件で止まった場合は別の図で扱い、作り話での穴埋めは0件だったことが書かれている。
期限欄の割れは、使わない工程には伝わりませんでした。

📌 この記事の数字はすべて架空データでの実測です。実在の個人・企業の情報は含みません。工程4・工程5とも独立した新規会話(この実測の目的も、前後の会話も知らない)で走らせました。材料2本×各2回=4通しに、工程3が完全に止まった場合を見る追加の1回を加えています。生の返りと機械照合は docs/evidence/later-stages-skip-the-gap-and-stay-clean.md に全文置いてあります。

前提

かかる時間 20分
費用 無料。無料のチャットAIで足ります
必要なもの 複数の工程に分けて動かしている自動処理(または、これから分ける予定の処理)
プログラミング 不要。前の工程の答えをコピーして、次の会話に貼るだけです

この記事は工程を分けて頼むと崩れるかの続きです。あちらで「件数を書かせる」という手当てを先に読んでおくと、ここで足す工程4・5の位置づけが分かりやすくなります。

⚠️ **「増やしても崩れない」という話ではありません。**今回新しく足した工程4・5が、たまたま前の工程で欠けていた項目(期限)を使わなかったから崩れなかった、という実測です。欠けた項目を必要とする工程を足していたら、同じにはならなかったはずです。

AIへの頼み方

1. 前の記事のチェーン(工程1〜3)をそのまま引き継ぐ

前の記事で唯一崩れなかった形は、各工程の指示文の頭に「受け取った件数」を書かせるものでした。工程1です。

はじめに、受け取った件数を「受け取った件数: ◯件」の形で書いてください。前の工程から件数が増えたり減ったりしている場合は、その理由も書いてください。 下の24件の問い合わせのうち、本文に「いつまでに返事が要るか」が書いてあるものだけを抜き出してください。書いていないものは入れないでください。抜き出したものだけを出してください。

工程2です。

はじめに、受け取った件数を「受け取った件数: ◯件」の形で書いてください。前の工程から件数が増えたり減ったりしている場合は、その理由も書いてください。 下は、問い合わせの一覧です。これを「見積もり」「不具合」「日程」の3つに分けてください。分けた結果だけを出してください。

工程3です。

はじめに、受け取った件数を「受け取った件数: ◯件」の形で書いてください。前の工程から件数が増えたり減ったりしている場合は、その理由も書いてください。 下は、3つに分けた問い合わせの一覧です。1件ずつを3行にまとめてください。1行目に問い合わせの番号と型番、2行目に用件、3行目にいつまでに返事が要るかを書いてください。3行のまとめだけを出してください。

**この3工程は前の記事で既に4通し(材料2本×各2回)試してあり、4通しとも最終12件で真値どおりでした。**今回は再実行せず、実際に返ってきた4本の出力をそのまま工程4への入力にします。

ただし4本のうち3本(A-1・B-1・B-2)は、3行目「期限」が機能していませんでした。B-1・B-2は「本文に記載なし」、A-1は「本文に記載あり(日付は本工程に未着)」という断りに置き換わっています。件数は12件のまま保たれていたので、前の記事はこれを「崩れ」として数えていません。ただし期限という項目だけで見ると、4本中1本(A-2)しか完全ではありません。

2. 工程4を足す——担当部署への振り分け

ここからが今回の実測です。工程3の出力4本それぞれに、新しい独立した会話でこの指示文を渡しました。

はじめに、受け取った件数を「受け取った件数: ◯件」の形で書いてください。前の工程から件数が増えたり減ったりしている場合は、その理由も書いてください。 下は、3行にまとめた問い合わせの一覧です。1件ずつ内容を読んで、担当部署に振り分けてください。見積もりに関する依頼は営業部、故障や不具合の相談はサポート部、日程の調整や確認は総務部です。元の3行はそのまま残し、4行目に「担当部署: ◯◯部」を追加してください。

真値は**営業部4件(M-01〜M-04)・サポート部5件(M-05〜M-09)・総務部3件(M-10〜M-12)**です。4通しの結果は、48件(4通し×12件)すべてが真値どおりでした。期限欄が機能していなかったA-1・B-1・B-2も含めて、部署の振り分けは崩れていません。

M-01 複合機 KX-2201 3台追加の見積もり依頼 返信期限: 本文に記載あり(日付は本工程に未着) 担当部署: 営業部

**期限の欄は空のままなのに、部署は正しく営業部に入っています。**部署を決めるのに使っているのは本文(用件)で、期限は見ていないからです。

3. 工程5を足す——部署別の集計表

工程4の出力4本に、さらに新しい独立した会話でこの指示文を渡しました。

はじめに、受け取った件数を「受け取った件数: ◯件」の形で書いてください。前の工程から件数が増えたり減ったりしている場合は、その理由も書いてください。 下は、担当部署まで振り分けた問い合わせの一覧です。営業部・サポート部・総務部それぞれの件数と、3部署の合計件数を表にしてください。表だけを出してください。

4通しとも、表は4セル(営業部4/サポート部5/総務部3/合計12)すべて真値どおりでした。

営業部 サポート部 総務部 合計
真値 4件 5件 3件 12件
4通しの結果 4件・4件・4件・4件 5件・5件・5件・5件 3件・3件・3件・3件 12件・12件・12件・12件

工程1から数えて5工程目まで、48件の個別判定と16セルの集計が、合計64か所とも1つも崩れませんでした。

うまくいかないときの言い直し方

工程を増やしたら、どこかで崩れるはずだと思っていた

今回の実測では崩れませんでした。ただしこれは「工程を増やしても安全」という意味ではありません。崩れなかった理由は、新しく足した工程4・5が、前段で欠けていた項目(期限)を必要としなかったからです。部署を決めるのも、件数を数えるのも、期限を見ません。

📌 **足す工程を選ぶときは、その工程が前段のどの項目を使うかを先に書き出してください。**使う項目が前段で欠けていた項目と重なるなら、この記事の結果は当てになりません。⚠️ **この組み合わせ(欠けた項目を使う工程を足した場合)は、今回は試していません。**次に測るならここです。

工程3が完全に止まったら、そこで終わりだと思っていた

工程3が0件で止まった場合(前の記事の別の版)を、同じ工程4の指示文に渡してみました。

はじめに、受け取った件数を「受け取った件数: ◯件」の形で書いてください。前の工程から件数が増えたり減ったりしている場合は、その理由も書いてください。 下は、3行にまとめた問い合わせの一覧です。1件ずつ内容を読んで、担当部署に振り分けてください。見積もりに関する依頼は営業部、故障や不具合の相談はサポート部、日程の調整や確認は総務部です。元の3行はそのまま残し、4行目に「担当部署: ◯◯部」を追加してください。

渡したのは、工程3が「3行のまとめは作れませんでした」と断った文面です(12件分の型番・用件・期限は1件も含まれていません)。

受け取った件数: 0件

(…)今回は「1件ずつ内容を読んで担当部署に振り分ける」という作業を実行できません。振り分けの判断材料になる問い合わせ本文がありません。M-05〜M-09の注記だけでは、実際の問い合わせ内容か分類メモかが分かりません。ここだけで「サポート部」と決めると、誤った振り分けになるおそれがあります。

作り話で部署を割った件数は0です。「受け取った件数: 0件」と正しく自己申告し、前工程が挙げていた「本文の要旨と期限をもらえれば作る」という条件まで、そのまま次の工程にも引き継いでいます。停止は、工程を1つ足しても消えずに伝わりました。

応用・次の一手

**工程を増やすこと自体は、今回の実測では精度を下げませんでした。**ただし、それは新しく足した工程が前段の欠けを使わなかったという条件のもとでの話です。自動化のチェーンに工程を足すときは、**その工程が前段のどの項目に依存するかを先に確認してください。**依存する項目が前段で欠けやすい項目と同じなら、この記事の結果をそのまま当てにしないでください。

止まった日のメモだけで再開するは、AIの「できませんでした」が次の工程に届かないと、その先が止まったまま気づかれない形を測りました。今回は逆に、停止がきちんと次の工程にも届くことを確かめた形です。工程2に確認させると誤りは直るは、上流の誤りを下流が見つけられるかを測っています。

⚠️ この記事が実測していないことは2つです。

  • 足した工程4・5が、前段で欠けていた項目(期限)を実際に必要とする場合にどうなるか。今回は「部署」「集計」という、期限を使わない作業だけを足しました
  • 工程を6つ、7つとさらに増やした場合にどうなるか。今回は5工程までしか測っていません

次に測るなら、欠けた項目をまさに使う工程を足します。たとえば工程4の代わりに「期限が今週中かどうかで対応の緊急度を判定する」という工程を足し、同じチェーンがどこで崩れるかを見ます。