これで何ができるか

ランサーズの案件でAI利用の可否をAIに聞くと、単純な「禁止です」「問題ありません」にはなりませんでした。架空のロゴデザイン募集文を、コンペ方式とプロジェクト方式の2パターンで用意しました。AI利用についての記載は一切入れていません。それぞれ5回ずつ、計10回聞きました。

  • 単純に「禁止/問題ありません」と断定した回——10回中0回。10回とも「書かれていないので確認を」という結論でした
  • ランサーズの実際の「選べる」制度に自分から触れた回——10回中0回
  • 「原文のまま抜き出して」と言い直した回——3回とも規約への言及自体が消えました
  • 制度の有無を直接尋ねた回——3回中3回、正確さは不確かながら実際の仕組みに近い内容が出てきました
ランサーズの「選べる」制度をAIが自分から言及するかを実測した結果を示す表。1行目と2行目、3行目は0(少ないほど良い)が実測値で、4行目は多いほど良い。募集文を見せて可否を聞き、単純に「禁止/問題ありません」と断定した回数は10回中0回、素朴に聞いて実際の仕組みの語に自分から触れた回数も10回中0回、「原文のまま抜き出して」と言い直した回で規約に触れた回数は3回中0回。制度の有無を直接尋ねた回で実際の仕組みに近い内容が出た回数は3回中3回。下の枠には、募集文を見せて可否を聞くと10回とも「書かれていないので確認を」という結論で単純な断定はしなかったこと、ただし実際の「選べる」制度には10回とも触れなかったこと、同じ知識は制度の有無を直接尋ねると3回とも出てきたので知らないのではなく出さないだけであることが書かれている。
「選べる」制度は、聞き方を変えないと出てきませんでした。

「知らないから答えない」のではありません。同じ知識について制度の有無を直接尋ねると、3回とも近い内容が出てきました。AIは、募集文の可否を聞かれた場面では、この知識を使いませんでした。

既存の2本があります。案件のAI利用ルールを確かめるはクラウドワークスで、案件のAI利用ルールを、別サイト名でも確かめるはココナラで実測しました。どちらも「実名を出すと、書かれていない規約を自分から語り出す」現象を確かめています。この記事はランサーズという第3のプラットフォームで同じ聞き方を試しました。ところが、規約を語り出す現象そのものが起きませんでした。理由と、その代わりに見つかったことを、このあとに書きます。

前提

かかる時間 15分
費用 無料。ブラウザのチャットAIで足ります
必要なもの 特にありません
プログラミング 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです

実在の募集文・実在の依頼者名は貼らないでください。この記事は架空のブランド名・金額を使っています。実在の人物・団体とは関係ありません。

AIへの頼み方

1. コンペ方式の募集文で、素朴に聞く

架空のロゴデザイン募集文(依頼形式=コンペ方式)を用意しました。AI利用についての記載は一切入れていません。

この募集文でAIを使って作業してよいか教えてください。

上に続けて、募集文を貼ります。

5回とも「記載が無いので判断できない」という結論でした。「使ってよいとは判断できません」「応募前に依頼者へ確認するのが確実です」のように、確認を促す形です。3回は「コンペ方式です」と、募集文の項目をそのまま言い直しました。ですが、ランサーズが実際に持つ「使用許可・制限を選べる」機能や【AIで生成】ラベルには、5回とも1件も触れませんでした。

2. 同じ聞き方を、プロジェクト方式の募集文でも試す

契約形式の1行だけを「プロジェクト方式」に差し替えた募集文で、同じ実験をしました。

この募集文でAIを使って作業してよいか教えてください。

こちらも5回とも「記載が無いので確認を」という結論でした。コンペ方式版との違いは、募集文自身の項目名の言い直し(「コンペ方式です」)が出なかったことだけです。実際の仕組みを示す語は、コンペ方式・プロジェクト方式を合わせた10回中0回でした。

うまくいかないときの言い直し方

原文だけを聞きたいとき

「コンペ方式」という募集文自身の語を繰り返した回が3回ありました。原文だけを答えさせる言い直しでも、同じように止まるかを確かめました。

この募集文に書かれている文を、原文のまま抜き出してください。規約の一般的な内容や可否の判断は書かないでください。 この募集文でAIを使って作業してよいか教えてください。

3回とも「AI利用に触れている文は募集文の中にありません」と答えました。募集文自身の項目名への言い直しも含めて、規約への言及が消えています。既存記事で確かめた「原文のまま抜き出して」という言い直しは、プラットフォームが変わっても効きました。崩れ方の種類が変わっても、同じように効きました。

制度そのものを直接尋ねてみると

「自分からは言及しない」ことは「知らない」ことと同じでしょうか。募集文を見せず、制度の有無だけを直接尋ねました。

ランサーズには、コンペ方式のデザイン依頼で、発注者が生成AIの「使用許可・制限」を選べる制度がありますか。知っていることを教えてください。

3回とも、実際の制度に近い内容を自分から答えました。「発注者が案件ごとに使用を許可する/制限するを選べる仕組みがある」という内容です。正確さは不確かで、選択肢の名称や導入時期は「正確には覚えていません」と3回とも断っています。募集文の可否を聞かれた場面では10回中0回だった同じ知識が、制度の有無を直接尋ねると3回中3回出てきました。知らないのではなく、その場面で使わなかっただけです。

応用・次の一手

10回の返りのうち複数が「応募前に依頼者へ確認を」と自分から提案していました。その確認文をAIに作らせられるかも試しました。

この募集文の発注者に、AI利用の可否を確認するための質問文を1つ作ってください。

2回とも、そのまま送れる丁寧な質問文ができました。募集文に無い規約を捏造した箇所はありません。

毎回同じ確認を忘れないようにするなら、手順にしておくと安心です。

ランサーズやクラウドワークスなどで案件を探すとき、応募する前に毎回、AI利用の可否を確認する手順にしたいです。プログラミングはできません。私が案件ごとに確認することを、番号を振って箇条書きで教えてください。

2回とも、次の骨格が共通していました。

  • 募集文自体をまず読む
  • プラットフォームの規約も確認する
  • 曖昧なら応募前に質問する
  • 回答を記録に残す
  • 記録をもとに応募するか判断する

⚠️ この結果は、この1種類の業務(ロゴデザイン)・合計20回の実測です。「AIはランサーズの規約を絶対に語らない」と一般化しないでください。試したのは、次の範囲までです。

  • 業務はロゴデザインのみ(デザイン・ライティング以外のカテゴリは試していません)
  • 募集文にAI利用の記載が無い場合だけ(明記がある場合は既存記事の型に戻ります)
  • 制度の有無を直接尋ねた3回も、正確さまでは検証していません(選択肢の名称や導入時期は不確か)

ランサーズの制度そのものが今も同じ内容かは、応募のたびに公式ヘルプで確認してください (制度は2024年3月時点のプレスリリースが根拠で、更新されている可能性があります)。

今回の生の返りは docs/evidence/lancers-ai-policy-needs-confirmation.md に全文置いてあります。