これで何ができるか

Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)では、AIで作った本を出すとき「AI生成コンテンツ」の申告(開示)が必要になる場合があります。ただし全部が対象ではありません。原文にはこう書いてあります。

KDP で新しい本を出版する場合、または既存の本を編集して再出版する場合、AI 生成コンテンツ (テキスト、画像、または翻訳) についてお知らせいただく必要があります。AI アシスト コンテンツについては開示不要です。

つまり、AIが実際に文章や画像を作った「AI生成」と、AIは補助にとどまり人間が作った「AIアシスト」を分けています。この記事は、4つの作業パターンについてAIに16回聞き、原文の線とどれだけ一致するかを実測したものです。

先に結果を書きます。16回とも、原文の線と一致しました。ただし、根拠の文言をそのまま引用するよう求めた2回は、どちらも「引用できません」と答え、出典のURLは8回とも1つも出てきませんでした。

Kindleダイレクトパブリッシングで、4つの作業パターンについて申告が必要か不要かをAIに4通りの聞き方で聞いた結果を示す図。AIに本文を書かせて自分で大幅に編集した場合は申告が必要、自分で本文を書きAIには校正だけしてもらった場合は申告不要、AIにアイデア出しを手伝ってもらい最終的な文章はすべて自分で書いた場合は申告不要、表紙の画像をAIで生成した場合は申告が必要というのが原文の線であり、率を貼らずに聞いた2回・原文を貼って聞いた2回のいずれも、この4つの判定と一致した。
4つの場面×4通りの聞き方=16判定。全16判定が原文の線と一致した。

📌 この記事に金額の記載はありません。申告義務は規約上の分類の話で、印税の計算は次の回(K2)に書きます。

前提

かかる時間 15分
費用 無料
必要なもの AIとの会話だけ
プログラミング 不要

⚠️ KDPの規約は変わります。この記事の内容は2026-08-25に原文を開いて確認したものです。出版する前に、ご自身でも一度原文を開いて確かめてください。

AIへの頼み方

1. まず、4つの場面をそのまま聞く

Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)で、次の4つの場合、それぞれAI生成コンテンツの申告(開示)は必要ですか。理由も添えて、1つずつ答えてください。 ①AIに本文を書かせて、それを自分で大幅に編集した ②自分で本文を書いて、AIには校正だけしてもらった ③AIにアイデア出しを手伝ってもらい、最終的な文章はすべて自分で書いた ④表紙の画像をAIで生成した

2回通しました。2回とも、4つすべてが原文の線と一致しました(①要申告・②不要・③不要・④要申告)。

🔑 とくに①が一致したのは、見立てが半分外れたところです。原文は「AIが実際にコンテンツを作ったなら、後で大幅に編集しても『AI生成』のまま」と明記していて、これは読者が誤解しやすい方向(「大幅に直したのだから、もう自分の文章では」)だと見込んでいました。しかし2回とも、「大幅に編集した」という言葉に引っ張られず、①(AIに本文を書かせて、それを自分で大幅に編集した)を『申告が必要』と正しく判定しました。

2. 原文を貼って、同じ4つを聞く

以下はKDP(Kindleダイレクトパブリッシング)コンテンツガイドラインの一部です。 「KDP で新しい本を出版する場合、または既存の本を編集して再出版する場合、AI 生成コンテンツ (テキスト、画像、または翻訳) についてお知らせいただく必要があります。AI アシスト コンテンツについては開示不要です。」 いま貼った内容だけを使って答えてください。次の4つの場合、それぞれAI生成コンテンツの申告(開示)は必要ですか。理由も添えて、1つずつ答えてください。 ①AIに本文を書かせて、それを自分で大幅に編集した ②自分で本文を書いて、AIには校正だけしてもらった ③AIにアイデア出しを手伝ってもらい、最終的な文章はすべて自分で書いた ④表紙の画像をAIで生成した

2回通しました。こちらも2回とも4つすべて一致です。原文を貼っても貼らなくても、判定そのものは変わりませんでした。

🚨 ただし、原文を貼っていない1番のほうにも「知っている」前提で理由が付きます。「Amazonは2023年以降、AI生成コンテンツの申告を義務付けています」のように、貼っていない情報(制度開始時期など)が理由の中に混ざります。貼った覚えのない情報が理由に出てきたら、それはAIの記憶であって、いま渡した資料の中身ではありません。AIに数字を「それっぽく」埋めさせないための頼み方と同じ注意が要ります。

うまくいかないときの言い直し方

判定が合っていても、それが本当に原文どおりか分からない

いまの判断の根拠になった、KDPコンテンツガイドラインの文言を一字一句そのまま引用してください。引用できないなら、引用できないとだけ答えてください。

原文を貼っていない会話に続けて、2回聞きました。根拠の文言を一字一句そのまま引用するよう求めると、2回とも「引用できません」とだけ返りました。これは好ましい振る舞いです——それらしい引用を作らずに、引用できないという事実をそのまま認めています。

🔑 判定が当たっていることと、出典を示せることは別です。この記事のように16回とも判定が当たった場合でも、AI自身は原文の一字一句を持っていません。申告の要不要は、AIの言葉ではなく、自分で開いた原文で最終確認してください。

Kindleダイレクトパブリッシングの申告について、AIの判定は原文と一致したが、根拠の一字一句の引用や出典URLは出てこないことを示す図。4シナリオを聞いた4回のうち出典URLを書いた回は0回。根拠の一字一句の引用を求めた2回のうち、引用できた回は0回で、正直に「引用できません」と答えた回が2回。同じ連載のnoteの回では出典URLを求めると実在しないURLが3回とも返ったのに対し、こちらは無いものは無いと答えた。
判定は当たっても、出典URLは自分からは出てこない。求められたときの振る舞いは、記事によって違う。

4つの型に当てはまらない場面がある

翻訳と、事実確認・リサーチだけの利用は、4つの型には入っていません。それぞれ単独で聞きました。

Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)で出版します。日本語の原稿は自分で書きましたが、英語版はAIに翻訳してもらいました。この場合、AI生成コンテンツの申告(開示)は必要ですか。理由も添えて答えてください。

2回通しました。2回とも「申告が必要」です。原文が「テキスト、画像、または翻訳」と、翻訳をはっきり対象に含めているとおりの判定でした。「自分の原稿だから」ではなく「翻訳という工程をAIが行ったから」で見ます。

Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)で出版します。文章はすべて自分で書きましたが、事実確認やリサーチのためにAIを使いました。この場合、AI生成コンテンツの申告(開示)は必要ですか。理由も添えて答えてください。

2回通しました。2回とも「申告は不要」です。文章そのものを人間が書いている以上、リサーチや事実確認は③(アイデア出し)と同じ「AIアシスト」側に入る、という理由でした。

応用・次の一手

📌 この記事はAIの知識だけを聞いた結果です。判定は16回とも当たりましたが、当たったこと自体は「聞けば正しく分かる」ことの証明にはなりません。前の節のとおり、根拠の引用は2回とも「できません」でした。出版する前に、原文をご自身で開いて確かめてください。

🔁 出版のたびに確かめる手順も、AIに作らせられます。

Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)で本を出すたびに、AI利用の申告が必要かどうかを自分で判断するためのチェックリストを作ってください。プログラミングはできません。箇条書きでお願いします。

2回通しました。2回とも、「本文にAI生成部分があるか」「表紙画像はAI生成か」「迷ったら申告する側に倒す」という同じ骨格のチェックリストが返りました。これは判定の正誤ではなく手順の実用性を見るための1回なので、機械での判定はしていません。

📌 この連載の前の回はこちらです。noteで売る前に、引かれる手数料を原文で確かめるは、同じ「原文を確かめてから聞く」型で、プラットフォームの手数料を扱いました。あちらは率がばらついたのに対し、こちらは判定が16回とも一致した——同じ聞き方でも、対象によって結果が変わることが分かります。

📌 Kindleの印税を計算する記事は、次の回です。70%オプションの配信コストなど、式そのものを扱います。

⚠️ この記事の判定はAIの回答についての実測です(全16回=4シナリオを聞く2通り×各2回+翻訳・リサーチ・引用確認をそれぞれ2回)。生の返りと照合コードは docs/evidence/kindle-ai-disclosure-check.md に全文置いてあります。規約は変わるので、使う前にご自身で原文を開いて確かめてください。