これで何ができるか
副業で海外のサービスから報酬を受け取るとき、案内文には「45.00米ドル相当」「35.00ユーロ」のような外貨建ての金額しか書かれていないことがあります。「日本円にすると何円ですか」とAIに聞きたくなりますが、案内文のどこにも為替レートが書かれていない場合、AIはどう答えるでしょうか。
Xの収益化を調べた記事では「材料に無い数字は使わないで」と書いた3回とも、AIは為替レートを作りませんでした。ただしその一文を外した版は試していなかったため、一文そのものの効果は測れていませんでした。この記事は、その「外した版」を実際に試した続きです。
架空の海外サービス案内文2本(覆面調査モニターとストック音源サイト。どちらも為替レートの記載なし)に、素朴に円換算を聞いた10回と、一文を足した10回を比べます。
結果は、そのまま聞いた10回は10回とも、AIが自分で為替レートを作って円換算額を出しました。一文を足した10回では、その回数は1回に減りました。
前提
| かかる時間 | 15分 |
| 費用 | 無料。無料のチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 円換算したい海外の案内文(金額の記載があり、為替レートの記載が無いもの) |
| プログラミング | 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです |
この記事はXの収益化で先に払う月額が分かる記事の続きです。AIに数字を「それっぽく」埋めさせないための頼み方にある考え方を、為替レートという具体的な場面で試しました。
AIへの頼み方
1. まず「一文が無い」とどうなるかを確かめる
架空の海外覆面調査モニター「Global Panel Research」の会員案内(抜粋・架空)を用意しました。
Global Panel Research 会員向けポイント制度(抜粋)
Global Panel Researchは、海外拠点のオンライン覆面調査・アンケートモニターサービスです。
・アンケート1件の回答につき、10〜80ポイントを付与します
・1ポイント = 1米セントとして換算します
・累計4,500ポイント(45.00米ドル相当)に達すると、換金申請が可能になります
・換金は米ドル建てのデジタルギフトカード、またはPayPal(米ドル建て)でお受け取りいただけます
・申請から着金まで、通常7〜10営業日かかります
・年間の累計換金額が600米ドルを超える場合は、税務書類(W-8BEN等)の提出が必要です
この案内文のどこにも、米ドルから日本円への為替レートは書かれていません。そのまま、こう聞きます。
5回試したところ、5回とも「仮に1ドル=150円とした場合」のように自分で為替レートを仮置きして、具体的な円換算額を出しました。4回目の返りはこうです(一部抜粋)。
ここで注意点があります。為替レートは日々変動するため、私の知識だけでは「今日の正確なレート」は分かりません。参考として、仮に1ドル=150円とした場合の試算は以下の通りです。
- 45.00ドル × 150円 = **6,750円**
同様に、レートが変わった場合の目安:
| 為替レート | 円換算額 |
|---|---|
| 1ドル=145円 | 6,525円 |
| 1ドル=150円 | 6,750円 |
| 1ドル=155円 | 6,975円 |
「正確なレートは分からない」と正直に断ってはいます。それでも、その断りのすぐあとに具体的な円換算額(6,750円)を試算として出し、複数のレートを並べた表まで添えます。海外のストック音源サイト「SonicVault」のロイヤリティ規定(架空・ユーロ建て・為替レートの記載なし)でも同じく5回試しましたが、結果は同じでした。材料2本×各5回=10回のうち、10回とも円換算額が出ました。
2. 「材料に無い数字は使わないで」を一文足す
同じ2つの案内文に、末尾に一文だけ足して聞き直します。
5回×2材料=10回試すと、9回は円換算額を一切書かず、こう答えました。
4,500ポイント=45.00米ドル相当、という点までは材料に書かれています。
しかし、米ドルを日本円に換算するには為替レート(1ドル=◯円)が必要ですが、この資料にはその数字が示されていません。
したがって、日本円にすると何円かは「材料に無い」ため計算できません。
一文を足すだけで、10回中9回が計算をやめました。残り1回は、断ったうえで「(例:1ドル=150円なら 45.00 × 150 = 6,750円、という形で計算可能です)」と、レートを教えてくれれば計算する、という参考の例を添えていました。これは「答えとして円換算額を出した」というより「計算方法を示す例」に近く、実質的には9回と同じ「材料に無いので出せません」の判断でした。
3. 「仮の例としても書くな」まで足すとどうなるか
念のため、その1回の抜け道もふさげるか試しました。
Global Panel Researchの案内文で5回試すと、4回は数字を一切出さずに「材料に無い」で終えました。残り1回は「仮のレート例(例:1ドル=150円など)を用いた参考計算も、ご指示により一切記載しません」と書き、使わないと宣言するために、使わない数字自体を書いてしまいました。皮肉な形の再発ですが、実際に円換算額を答えとして出したわけではなく、「〜は書きません」という否定文の中に例が入り込んだだけです。一文をどれだけ足しても、数字そのものが本文に一度も現れないことまでは保証できません。気になる場合は、下の「うまくいかないときの言い直し方」にある方法で二重に確かめてください。
4. 為替レートを教えずに「確認方法」だけを聞く
そもそも今すぐ正確な金額を知りたいわけではなく、後で自分で確認できればよい場合は、レートを書かせずに確認先だけを聞く方法もあります。
2回試すと、2回とも円換算額を出さずに「PayPalの為替レートの仕組みをPayPalのヘルプセンターで確認する」「Global Panel Research自体の換金方法ページで、ギフトカードが米ドル建てか円建てかを確認する」のように、確認すべき場所を具体的に挙げました。手数料や税務書類(W-8BEN)の扱いまで、案内文に書かれた条件をもとに関連づけて答えています。
5. 複数の海外サービスをまとめて聞いても崩れないか
副業を複数掛け持ちしていると、月末にまとめて「今月はいくら入ってくるか」を聞きたくなります。金額と通貨が違う3件を一度に聞いても、一文の効果が保たれるかを試しました。
3回試すと、3回とも3件すべてで円換算額を出さず、「①:材料に無い」「②:材料に無い」「③:材料に無い」と行ごとに答えました。通貨や件数が増えても、一文の効き目は崩れませんでした。
6. 自分で調べたレートを渡して計算させる(禁止だけで終わらせない)
「材料に無い数字は使わない」だけで終わると、結局いつまでも円換算額が分かりません。実際に使うなら、自分で確認した本物のレートを渡して計算させるのが受け皿になります。
2回試すと、2回とも「45.00ドル × 147円 = 6,615円」とだけ返り、聞いていないレートの仮定や、税務書類の注意書きなどの余計な情報は付きませんでした。レートは自分で確認したものを渡す。計算だけをAIにやらせる。この分担が、いちばん事故が少ない形でした。
うまくいかないときの言い直し方
一文を入れたのに、まだ数字が出てくる
上の3番のとおり、「仮の例としても書くな」まで足しても、「書きません」という宣言の中に例の数字が紛れ込むことがあります(5回中1回)。数字が本文に一度でも出るのを完全に防ぎたいときは、出す・出さないをAI自身の判断に任せず、返ってきた文章をもう一度貼り直して、別の指示で機械的に確かめてください。
実際に、上の「150円」が紛れ込んだ返り(3番の5回目)を貼って3回試すと、3回とも「1ドル=150円」の部分を正しく見つけ、指定した置き換え文に直しました。このように、生成した本文を別の指示で機械的に検査させるやり方は、長い原稿の検品を試した記事でも使った手順で、1回目の指示で見落としたものを2手目で拾うのに向いています。
レートを渡しても、聞いていない前提まで計算に混ざる
自分でレートを渡す方法(6番)でも、案件によっては「手数料を引いた後の額」まで一度に聞きたくなります。ただし手数料の条件(率・固定額・上限)を渡さずに聞くと、AIが手数料の相場を勝手に仮定するリスクがあります。副業の手取りを契約額から出す記事で確かめたとおり、料率のような「1通りに決まっている値」ほど、当てはめ方が黙って決まってしまいます。手数料も、案内文に書かれている数字だけを渡し、書かれていなければ「材料に無い」で止めさせてください。
応用・次の一手
「材料に無い数字は使わないで」を、保存指示文の定型に入れる
海外の副業案内・請求書・見積もりなど、外貨や単価が絡む材料をAIに読ませるときは、円換算に限らず「材料に書かれていない数字(レート・単価・手数料率など)は使わないでください」を先頭か末尾に付けるのを定型にしておくと、今回のような「聞いてもいないのに仮の数字が答えとして出る」事故を減らせます。AIに数字を「それっぽく」埋めさせないための頼み方には、為替レート以外の場面(単価・件数・日付)での同じ考え方をまとめています。
毎月の受取額をまとめて出すなら、確認を先に固定する
5番のとおり、複数のサービスをまとめて聞いても一文は効きました。毎月同じ形式で受取額を集計する運用にするなら、レートを渡す欄を先に固定した表を用意し、埋まっていない行だけAIに「材料に無い」と言わせる形にすると、後から見返したときにどの行がまだ未確認かが一目で分かります。
この記事の実測は、架空の海外サービス2種・「日本円にすると何円か」という聞き方1種に限ります。実際に使う海外サービスの案内文、あるいは「だいたいで良いので概算を」のような曖昧な聞き方では、また違う結果になるかもしれません。金額が大きい取引では、AIの計算に頼らず、自分で確認した為替レートと一次情報を必ず併用してください。