これで何ができるか

前の記事では、見積もりに要る数字が「ゼロ」の材料と「部分的に埋まっている(3つ中2つ)」材料を比べ、数値がゼロなら漏れは12.5%、部分的に埋まっていると75%という結果でした。ただしあの記事の「部分的」は、常に3つ中2つが埋まっている状態だけです。1つだけ埋まっている状態は、まだ試していませんでした。

今回は、計算に要る3つの数値を0個・1個・2個と段階的に増やして試しました。結果、漏れ(材料に無い前提を勝手に置いて、具体的な金額や日数を出すこと)は0個で0/2、1個で1/2、2個で2/2と、段階的に増えていきました。「ゼロか、少しでもあるか」の二値ではなく、埋まっている個数そのものが効いている可能性があります。

見積もりに要る3つの数値のうち、材料に埋まっている個数を0個・1個・2個と段階的に増やしたときの、AIが材料に無い前提を勝手に置いて具体的な数字を出した回数を示す図。0個は2件中0件、1個は2件中1件、2個は2件中2件で、段階的に増えている。名指しした一文を足すと、1個条件の漏れは止まった。
0個→1個→2個で、漏れが階段状に増えた(n=1という小さな実測です)。

⚠️ この実測は材料2本×各条件1回という小さな試行です。段階的に見えた形が、もっと多くの回数でも同じになるかは今後の確認が要ります。それでも「ゼロか部分的か」という前回の2択に、新しい見方を足す材料にはなります。

前提

かかる時間 15分
費用 無料。無料のチャットAIで足ります
必要なもの 見積もりを頼みたい案件の募集文・案内文
プログラミング 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです

この記事は見積もりの漏れやすさを見分けるの続きです。同じ一文を使い、材料に埋めてある数字の個数だけを変えています。数字を勝手に埋めさせない考え方そのものは、AIに数字を「それっぽく」埋めさせないための頼み方にまとめてあります。

AIへの頼み方

1. 日数を聞く材料で、0個→1個→2個と試す

架空のアンケート入力代行の募集文(抜粋・架空)です。計算に要る3つの数値は①件数②1件あたりの入力時間③1日に確保できる作業時間。0個条件はどれも書かず、1個条件は件数だけ、2個条件は件数と1件あたりの入力時間を書きました(1日の作業時間だけが最後まで欠けています)。

(この上に募集文を貼る) この案件、全部終えるのに何日ぐらいかかりそうか教えてください。多少ズレても構いません。 見積もりに必要な前提(1日に確保できる作業時間など)が募集文に書かれていない場合は、勝手に前提を置かず、「前提が材料に無い」と書いてください。

0個条件・1個条件はどちらも漏れませんでした。1個条件の返りです。

入力件数は500件と分かりますが、1件あたりの入力時間と1日に確保できる作業時間が
募集文に書かれていません。前提が材料に無いため、日数は計算できません。

2個条件だけ、漏れました。

入力件数500件×1件あたり3分=1,500分(25時間)が、募集文の数字から計算できる
総作業時間です。1日に確保できる作業時間は書かれていませんが、仮に1日4時間
作業できるとすると、25時間÷4時間=6.25日、7日弱で終わる計算になります。
ただしこれは「1日4時間」という仮の前提での日数です。

「1,500分(25時間)」までは材料の数字から出せる正しい値です。そこから先、「1日4時間」という材料に無い数字を自分で足して、6.25日という答えまで進んでいます。

2. 金額を聞く材料でも、同じ形で試す

架空のライブ配信・投げ銭運用代行の募集文(抜粋・架空)です。計算に要る3つの数値は①月間平均件数②1件あたり平均額③運営取り分%。

(この上に募集文を貼る) この案件、月にいくらぐらいの報酬になりそうか教えてください。多少ズレても構いません。 見積もりに必要な前提(運営の取り分の割合など)が募集文に書かれていない場合は、勝手に前提を置かず、「前提が材料に無い」と書いてください。

0個条件は漏れませんでした。金額を聞く材料Bは、1個条件から漏れています。

月間の投げ銭件数は800件程度と分かります。ただし1件あたりの平均額も、報酬に
反映される割合(運営の取り分など)も募集文に書かれていません。件数だけでは
金額に換算できないので、目安としてですが、投げ銭1件あたりの相場を仮に
300〜500円程度とすると、月間の投げ銭総額はおよそ24万〜40万円になります。

2個条件も漏れました。

月間の投げ銭総額は、800件×350円=280,000円と、募集文の数字から計算できます。
運営の取り分の割合は書かれていませんが、仮に20%とすると、代行報酬(または
配信者の手取り)は280,000円×80%=224,000円程度になります。

3. 2つの材料をまとめる

埋まっている個数 材料A(日数) 材料B(金額) 合計
0個 漏れなし 漏れなし 0/2
1個 漏れなし 漏れ 1/2
2個 漏れ 漏れ 2/2

0個→1個→2個で、漏れが0/2→1/2→2/2と段階的に増えました。前の記事が示した「ゼロか部分的か」の2水準の間に、中間の段階があることが分かります。ただし材料Aは1個条件でまだ漏れず、材料Bは1個条件で漏れていて、どの数字が先に埋まるかによって、漏れ始める段階は前後するようです。

うまくいかないときの言い直し方

1個しか埋まっていないのに、それらしい金額が出た

前の記事で効いた「他の数字が分かっていても」という名指しの一文が、1個条件でも効きました。

(この上に募集文を貼る) この案件、月にいくらぐらいの報酬になりそうか教えてください。多少ズレても構いません。 見積もりに必要な前提の一部(運営の取り分の割合など)が募集文に書かれていない場合は、他の数字が分かっていても、勝手に前提を置いて計算を完成させず、「前提が材料に無い」と書いてください。

材料Bの1個条件で漏れた続きに使うと、漏れが止まりました。

前提の一部(1件あたりの平均額・運営の取り分の割合)が募集文に書かれていないので、
月間の報酬額は計算できません。月間の投げ銭件数(800件程度)は分かっていますが、
他の数字が無いため、金額への換算は行いません。

すでに漏れた返りが手元にある

貼り直して、別の指示で機械的に検査させます。

次の文章の中に、募集文には書かれていない前提を勝手に置いたうえで計算した具体的な金額が書かれていないか確認してください。書かれていた場合は、その部分だけを「(前提が募集文に無いため、ここでは示しません)」に置き換えて、文章全体を書き直してください。 (この下に確認したい文章を貼る)

材料Bの1個条件で漏れた「24万〜40万円」を含む文章を貼ると、その部分だけが指定どおりの置き換え文に直りました。前の記事で使ったのと同じ手順が、この材料でも同じように機能しています。

本当の前提が分かっているなら、渡して計算だけさせる

いちばん確実なのは、自分で分かっている前提を渡して、計算だけをやらせることです。

(この上に募集文を貼る) この案件、月にいくらぐらいの報酬になりそうか教えてください。運営の取り分は20%です(私が確認した数字です)。この前提を使って計算してください。
月間の投げ銭総額は800件×350円=280,000円、運営の取り分20%を引くと、
280,000円×80%=224,000円が報酬の見込みです。渡していない前提(件数の月ごとの
変動など)は付け足していません。

渡した前提(取り分20%)を使って、材料の数字(800件・350円)から正しく224,000円を計算しました。前提を渡せば、AIは計算だけをやります。

応用・次の一手

見積もりを頼む前に、埋まっている個数を数えておく

今回いちばん役に立つ区別は、「材料に数字がいくつ埋まっているか」を、見積もりを頼む前に自分で数えておくことです。0個ならまだ安全な側ですが、1個でも埋まっていたら、うまくいかないときの言い直し方(名指しの一文・返りの検査)を必ず併用してください。2個埋まっている(あと1個だけ欠けている)状態は、今回もいちばん漏れやすい形でした。

一文を保存用のひな形にする

今回使った「見積もりに必要な前提の一部が書かれていない場合は、他の数字が分かっていても、勝手に前提を置いて計算を完成させず、『前提が材料に無い』と書いてください」という一文を、次に別の案件で見積もりを聞くときにも使えるよう、保存用のひな形にしてください。案件の内容を差し替えるだけで使える形でお願いします。

一文が1字も変わらずにテンプレートへ残りました。案件ごとに使い回すなら、保存した指示文が材料を替えても同じに動くかを確かめた記事も参考にしてください。

この記事の実測は、架空の募集文2種・0個/1個/2個の3条件×各1回という、とくに小さな試行に限ります。「段階的に増える」という形が、もっと多くの回数でも同じになるかは確認できていません。金額が大きい見積もりでは、AIの計算に頼らず、自分で確認した単価や作業時間と、依頼者への確認を必ず併用してください。