これで何ができるか
副業の見積もりを出すとき、「この工程は根拠が薄いから外れやすい」とAIに言わせることができます。前の記事で試した頼み方です。「根拠にした記録の件数が少ない順に並べてください」と聞けば、それらしい順位表が返ってきます。
ただし、その表に書かれた「件数」自体が正しいとは限りません。架空の作業記録2本で20回試したところ、3回(15%)は、AIが「◯件」と申告した数字と、AI自身がその下に列挙した日付の数が食い違っていました。件数を数え間違えたまま、順位表だけは体裁よく出ていたのです。
この記事は、その食い違いを見つけて直す頼み方を載せます。使うのは、記事に載せる数字とは違う場所——AIが自分で挙げた根拠の中です。
前提
| かかる時間 | 15分 |
| 費用 | 無料。ブラウザのチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 副業の作業記録(工程名・日付・分数)。見積もりに使う分だけ |
| プログラミング | 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです |
見積もりそのものの出し方(自分の記録を貼って時間を出す頼み方)は前の記事にあります。この記事は、その先の確認だけを扱います。
AIへの頼み方
1. 件数と日付をセットで出させる
まず基本形です。件数だけを聞くと検算できないので、その根拠にした日付も一緒に出させます。
架空の作業記録2本(工程ごとの件数がすべて違う13行・15行)で20回試しました。17回(85%)は件数・日付とも実物と一致しましたが、3回は「件数」と「列挙した日付の数」がその場で食い違っていました。たとえば、ある回は「下調べ:5件」と書いたすぐ下に、日付を4つしか並べていません。
件数だけを見ていると、この食い違いには気づけません。日付まで書かせて、初めて突き合わせられます。
2. 何件から選んだかを、念のため問い直す
この形を足した4回は、4回とも件数・日付とも一致しました。ただし正直に書くと、比較のために試した他の版でも同じ4回とも一致した回があり、この一文だけの効果かどうかは、この材料・この回数では確かめきれていません。念押しの一文があっても油断せず、後述の数えなおしの検算はセットで行うのが安全です。
3. よくある頼み方でも、母数は崩れないか
「見積もりは最大値を基準にすべき」という頼み方もよく使われます。この頼み方の直後に件数を聞くと、「1件だけを基準に選んだこと」と「何件の中から選んだか」を混同しないかが気になるところです。
この質問を先に通してから件数を聞いた8回では、8回とも母数(記録件数)と選んだ1件を混同しませんでした。「基準にしたのは1件」と「その工程には何件記録があるか」は、別の数字として保たれていました。
4. 一部の工程だけに絞って見積もる
案件の一部だけ経験が浅いとき、範囲を絞って見積もることもあります。
4回試して、4回とも指示どおり2工程だけに絞り込めました。ただし絞り込んだ先で、また同じ「下調べを5件と申告」の誤りが1回起きています。範囲を絞ることと、件数を正しく数えることは別の話でした。
うまくいかないときの言い直し方
申告した件数と、挙げた日付の数が合わない
ここが一番肝心です。件数と日付の数を自分の目で見比べて、ずれていたらこう返します。
「下調べを5件」と誤って申告した回に試したところ、1回で正しい件数(4件)に訂正されました。それだけでなく、頼んでもいないのに「工程ごとの件数の合計が、元の記録の総行数と一致するか」という検算まで自分から示しました——13行の記録に対し、訂正後の合計は1+4+6+2=13で一致、訂正前の合計は14で1行超えていた、という指摘です。この合計チェックは、こちらが指示文に書かなくても出てきました。
「件数が少ない順に」と頼んだのに、独自の判断で並べ替えられた
件数が最少(1件)の工程より、2番目に少ない(2件)工程を「実質的に危ない」として上に置く回もありました。額面どおりの順番に戻します。
この言い直しで、順番は件数の数字どおりに直りました。ただし、順番は直っても、間違っていた件数の値そのものは直っていませんでした。表の中の「5件」という誤記は、本文の注記で「訂正しています」と書かれているのに、表の欄では「5件」のまま残っていました。順番の言い直しと、値の言い直しは別物です。先に前項の数えなおしをしてから、必要ならこちらを使ってください。
応用・次の一手
この確認の型は、案件が変わっても、そのまま使い回せます。
返ってきたテンプレートには「件数」「日付」「除外した記録とその理由」の3つが入っていました。ただし、このテンプレートに数えなおしの検算までは含まれていません。テンプレートを貼ったあと、件数がおかしいと感じたら、指示文5(数えなおし)は別途頼んでください。
同じように「件数が少ないからこそ危ない」という考え方は、応募の記録が少ないときにも使えます。件数が少ない状態でAIに傾向を語らせると何が起きるかは、少ない記録に傾向を語らせないに書きました。あちらは応募12件、こちらは作業記録13〜15行と、扱う記録の性質は違いますが、「少ない件数のまま断定させない」という芯は同じです。
最後に1つだけ。今回の20回では、直前に「最大値だけを基準に」という質問を挟んでも、母数の申告そのものは崩れませんでした。この結果は前の記事で見つかった「直前の質問が母数を決めていた」というケースとは違います。同じ現象がいつも起きるとは限りません。申告した数字は、頼み方にかかわらず、その場で自分の目で日付と突き合わせてください。