結論:今の立場ごとに、こうなります

Google は2026年10月13日、Gemini 4 Argon の一般提供を始めました(出典: 発表ページ)。 9月30日の前回発表(Argon、出力100万トークン——使えるのは一部の人だけ) では「一般公開はできるだけ早く行う」としか書かれておらず、具体的な日付は不明でした。

今の立場 今できること どうなるか
今すぐ試したい開発者・会社員 API・AI Studio・Geminiアプリから使える(Fairwind Program限定から一般提供へ) 既定の出力上限は65,536トークンで、前のモデルと同じ。「出力100万トークン」はlong decodeという別機能を使った場合だけの数字
価格を基準に判断したい人 導入価格(入力$2・出力$10)で使い始められる 2026年11月30日を過ぎると入力$4・出力$20に上がる。この値段はClaude Opus 5.5の料金と完全に一致する
前回記事を読んでいた人 Fairwind Program限定提供だった 一般提供は始まったが、Fairwind Program自体も「数百社への拡大」が同時に進んでいる

一言でいうと、誰でも使えるようになったが、宣伝文句の「出力100万トークン」は既定では出ません。

先に断っておきます。**この記事は運営者がArgonを実際に使った記録ではありません。**公式の発表ページ・モデルページ・料金ページに書かれている数字だけを読んで整理したものです。

ここから下は、表の3行がなぜそうなるのかの説明です。

なぜそうなるのか

「出力100万トークン」は、long decodeという別機能の数字

GA発表ページは、新しいトークン設計をこう説明しています(出典: 発表ページ)。

This is enabled by an industry-leading 1M unified input-output token limit via the Gemini API. (Gemini API経由で、業界最高水準の「統合された入出力100万トークン上限」によって実現しています)

ここが前回記事と最も違う点です。前のモデルの公式ページは「入力の上限」「出力の上限」を 別々に載せていましたが、Argonのページは「統合された入出力トークン上限(Context window)」という 1つの数字に変わりました。公式モデルページで正確な値を確認すると、次のようになっています (出典: Gemini API公式モデルページ)。

項目 Gemini 4 Argon 前のモデル(3.1 Pro Preview)
ページの表示項目 Context window(統合) Input token limit/Output token limit(別々)
数字 1,048,576トークン 入力1,048,576/出力65,536
既定の出力上限(同期呼び出し) 65,536トークン 65,536トークン
long decode利用時の出力上限 最大1,048,576トークン (この機能自体が無い)
Gemini 3.1 Pro Previewの出力上限65,536トークン、Gemini 4 Argonの既定(同期呼び出し)の出力上限65,536トークン、Gemini 4 Argonのlong decode利用時の出力上限1,048,576トークンを比べた横棒グラフ。long decode利用時は既定の16倍(この記事の計算)。既定のままでは前のモデルと変わらない。
既定の出力上限は変わっていない。16倍になるのはlong decodeを使った場合だけ

何もしなければ、1回の応答で生成できるトークン数は前のモデルと同じ65,536のままです。 long decodeを明示的に使ったときだけ、上限が広がります。ただしその分、 入力に使える枠は減ります。1,048,576は入力と出力の合計上限であって、両方を同時に 最大まで使うことはできません。

1,048,576 ÷ 65,536 を計算すると、ちょうど16倍です(この記事の計算)。前回記事では 発表ページの丸めた表記「100万」をそのまま使い、前のモデルの65,536との比率を約15.3倍と 書きました。公式モデルページの正確な値(1,048,576)で計算し直すと16倍になります。

価格が上がる日は、2026年11月30日

前回記事で「終了する時期は発表に書かれていない」と書いた導入価格の期限が、今回判明しました。 GA発表ページの脚注は、次のように明記しています(出典: 発表ページ脚注)。

After the introductory period expires on November 30, 2026, the price of $4 per 1M input tokens and $20 per 1M output tokens will apply.

Gemini API公式料金ページでも、同じ日付を確認しました(出典: ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing)。

入力(100万トークン) 出力(100万トークン) キャッシュ済み入力
〜2026年11月30日 $2.00 $10.00 $0.10(95%引き)
2026年12月1日から $4.00 $20.00 $0.20(95%引き)
Gemini 4 Argonの導入価格(入力2ドル・出力10ドル)と、2026年12月1日からの価格(入力4ドル・出力20ドル)を比べた横棒グラフ。100万トークンあたりのドル。値上がりの日付(2026年11月30日まで)は、発表ページの脚注と公式料金ページの両方で確認できた。
値上がりの日付が、発表ページと料金ページの両方で確認できた

この日付は、GA発表ページの脚注と公式料金ページという、2つの独立したページに 同じ数字で書かれています。確認できた数字として扱います。

Fairwind Programは終わらず、拡大している

一般提供が始まっても、サイバー防御者向けの限定枠は消えていません。発表ページは 次のように書いています(出典: 発表ページ)。

Starting today, we're beginning expansion to hundreds of additional Fairwind Program partners.

信頼されたサイバー防御の担当者には「サイバー用の安全装置を外した」版が 別に用意されています。一般提供される版とは中身が違う可能性がある、という前回記事の 注記は今も有効です。

GA発表ページは、新しい性能の主張もいくつか挙げています。いずれもGoogle自身の測定か、 提携先の非公開評価です。

項目 内容
Vals Index(総合指標) 1位
ERQA(ロボティクスの視覚推論) 87%
RareBench(希少疾患の診断支援) 57%
LabBench(検査室での推論) 52.2%

出典: 発表ページ。このサイトの方針どおり、各社が自社で測った点数は他社と横に並べません。

他社の最上位モデルと比べると

単価は、値上がり後にClaude Opus 5.5と完全一致

モデル 提供元 入力(100万トークン) 出力(100万トークン) キャッシュ済み入力
Gemini 4 Argon(〜2026年11月30日) Google $2.00 $10.00 $0.10
Gemini 4 Argon(2026年12月1日から) Google $4.00 $20.00 $0.20
Claude Opus 5.5(Anthropic最上位) Anthropic $4.00 $20.00 $0.20
GPT-6 Astra(OpenAI最上位) OpenAI $10.00 $50.00 $1.00

出典: Argonは発表ページ・公式料金ページ、Claude Opus 5.5は https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/pricing、GPT-6 Astraは https://developers.openai.com/api/docs/pricing(いずれも2026年10月13日に確認)

Gemini 4 Argon(〜2026年11月30日・入力2ドル出力10ドル)、Gemini 4 Argon(2026年12月1日から・入力4ドル出力20ドル)、Claude Opus 5.5(入力4ドル出力20ドル)、GPT-6 Astra(入力10ドル出力50ドル)を比べた横棒グラフ。100万トークンあたりのドル。値上がり後のArgonはClaude Opus 5.5と単価が完全に一致する。
値上がり後のArgonは、Claude Opus 5.5と同じ値段になる

Gemini 4 Argonの値上がり後の価格(入力$4・出力$20)は、Claude Opus 5.5(入力$4・出力$20)と 1円も違いません。キャッシュ済み入力の値引き率も、両社とも入力価格の95%引きで、同じ数字 ($0.20)になります。導入価格の間だけは、ArgonのほうがOpus 5.5より半額です。

仕様は、ページの表示そのものが変わった

モデル コンテキストウィンドウ 出力の上限 知識の締め切り 提供状況
Gemini 4 Argon 1,048,576(入出力を統合) 65,536(既定)/long decode利用時は最大1,048,576 公表されていない 一般提供(Stable)
Claude Opus 5.5 1,000,000 128,000 2026年6月 一般提供
GPT-6 Astra 1,050,000(入力922,000+出力128,000) 128,000 2026年4月30日 一般提供

出典: Argonはhttps://ai.google.dev/gemini-api/docs/models/gemini-4-argon、Claude Opus 5.5は https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/models/overview、GPT-6 Astraは https://developers.openai.com/api/docs/models/gpt-6-astra

3社の「コンテキストウィンドウ」は、同じ基準で測った数字ではありません。 GPT-6 Astraは入力と出力の内訳まで公式ページに書かれていますが、Claude Opus 5.5は合計しか 書かれておらず、Argonは前のモデルの時点では別々だった2つの数字を今回「統合」に変えました。 知識の締め切りは、Argonだけ今も公表されていません。

どういう人に効くか

今、関係がある人

  • 今日から試したい開発者・会社員。API・AI Studio・Geminiアプリから使えます。
  • 導入価格のうちに使い始めたい人。11月30日までは入力$2・出力$10です。
  • サイバーセキュリティの防御担当者で、Fairwind Programへの参加資格がある人。

急がなくていい人

  • 出力100万トークンを前提に設計したい人。既定では出ません。long decodeを使うかどうか、 入力と出力の配分も含めて、先に公式ページで仕様を確認してください。
  • 値上がり後の値段だけを見て「Argonは安い」と判断したい人。12月からはClaude Opus 5.5と同額です。
  • 入力トークンの上限だけで比較したい人。Argonは入力単独の上限を公表していません。

この記事で分からないこと

  • 知識の締め切り(学習データの範囲)
  • long decodeを使ったときの実際の料金(通常の出力と同じ単価なのか、発表に明記がない)
  • 実際に使ったときの体感、日本語での品質

どれも公式ページに数字がなく、運営者も試していないので書けません。

出典一覧

すべて各社の公式ページです。まとめ記事・ニュースサイト・個人ブログは1件も使っていません。

  1. Gemini 4 Argon 一般提供の発表(Google・2026年10月13日): https://blog.google/innovation-and-ai/models-and-research/gemini-models/introducing-gemini-4-argon/
  2. Gemini 4 Argon の公式モデルページ(Google公式): https://ai.google.dev/gemini-api/docs/models/gemini-4-argon
  3. Gemini API の料金(Google公式): https://ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing
  4. 料金(Anthropic公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/pricing
  5. モデル一覧と仕様(Anthropic公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/models/overview
  6. APIの料金(OpenAI公式ドキュメント): https://developers.openai.com/api/docs/pricing
  7. GPT-6 Astraのモデルページ(OpenAI公式ドキュメント): https://developers.openai.com/api/docs/models/gpt-6-astra

料金と仕様は変わります。実際に支払う前に、必ず上記の公式ページで現在の値を確認してください。