結論:使い方ごとに、こうなります

Anthropic は 2026年10月7日に Claude Haiku 5.5 を出しました(出典: https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5)。公式は「もっとも安く、もっとも速く、もっとも賢い Haiku」と説明しています。使い方で結果が分かれます。

どんな使い方か やること どうなるか
要約・分類・DB検索など、早くて単純な作業をAPIでさせている Haiku 5.5に替える(claude-haiku-5-5) 公式の説明で平均約75%安くなる
すでにHaiku 4.5を使っている(特別な設定なし) モデル名を替えるだけ 10万トークン以下の単価はどれも90%減。性能もHaiku 4.5を全項目で上回る
「考える」を手動指定・温度指定・古いパソコン操作の道具を使っている 先に設定を直してから替える 直さずに替えるとエラーで止まる(該当する設定が4つある)
Sonnet/Opusで複雑な自動コーディングをさせている Haikuには替えない Terminal-Bench 4.0でHaiku 5.5は39.2%、Sonnet 5.5は70.6%。複雑な仕事はまだ上位モデルが要る

一言でいうと、値段は最大90%下がり、Haiku 4.5より確実に賢くなった。ただし複雑な自動コーディングの差は、まだ大きい。

先に断っておきます。この記事は運営者が Haiku 5.5 を試した記録ではありません。公式ページに書かれていることを読んで、使い方ごとに整理したものです。

ここから下は、表の4行がなぜそうなるのかの説明です。

なぜそうなるのか

単価が最大90%下がる理由

公式のモデルのページには、prompt の長さで分かれた2つの階層が書かれています(出典: https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/overview)。

100万トークンあたり Haiku 4.5 Haiku 5.5(10万トークン以下) Haiku 5.5(10万トークン超)
入力 $1.00 $0.10(90%減) $0.50(50%減)
出力 $5.00 $0.50(90%減) $2.50(50%減)
読み直し(キャッシュ読み取り) $0.10 $0.01(90%減) $0.05(50%減)
キャッシュ書き込み(5分) $1.25 $0.125(90%減) $0.625(50%減)

出典: https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/overview と https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-4-5/overview

Claude Haiku 4.5 から Haiku 5.5 への単価の変化を示す横棒グラフ(prompt 10万トークン以下)。100万トークンあたりのドル。薄い灰=Haiku 4.5、濃い青=Haiku 5.5。入力は1.00ドルから0.10ドルへ90%減、出力は5.00ドルから0.50ドルへ90%減、読み直し(キャッシュ読み取り)は0.10ドルから0.01ドルへ90%減、キャッシュ書き込み(5分)は1.25ドルから0.125ドルへ90%減。10万トークンを超える分の下げ幅は50%で、これより小さい。
どの項目も10万トークン以下は正確に90%減です

公式自身は「平均で約75%安い」と書いています(出典: https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5)。90%より低いのには理由があります。Haiku 5.5はHaiku 4.5より新しいトークンの数え方を使っていて、同じ文章がおよそ30%多いトークン数になります(出典: https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/whats-new-haiku-5-5)。単価そのものは90%下がっても、1つの仕事に使うトークン数が増えるぶん、実際の下げ幅は75%に落ち着く、という計算です。

もう1つ注記があります。公式は「Haiku 4.5への依頼の90%は、もともと10万トークン以下に収まっていた」と説明しています(出典: https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5)。だから多くの利用者にとって、実際に効くのは90%減のほうです。

性能そのものもHaiku 4.5より上がっている

公式発表のベンチマーク表から、3モデルとも値がある項目だけを抜き出しました(最大の設定 max の点数)。

何のテストか 分野 Haiku 4.5 GPT-6 Luna Haiku 5.5
OSWorld 2.1(オフライン subset) パソコン操作 15.7% 48.9% 72.4%
Terminal-Bench 4.0 自動作業 0.0% 16.4% 39.2%
Chartography(道具なし) 図表の読み取り 6.4% 29.1% 46.4%
GDPval-AA v2.1 事務の仕事(44職種・点) 735 1437 1620
AA-Briefcase v1.1 知識労働(点) 614 1336 1578
FrontierCode 1.1(Main) 自動コーディング 公表なし 42.4% 46.4%

出典: すべて https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5

Haiku 4.5・GPT-6 Luna・Haiku 5.5 の点数を比べた横棒グラフ。OSWorld 2.1(オフラインsubset)はHaiku 4.5が15.7%、GPT-6 Lunaが48.9%、Haiku 5.5が72.4%。Terminal-Bench 4.0はHaiku 4.5が0.0%、GPT-6 Lunaが16.4%、Haiku 5.5が39.2%。Chartography(道具なし)はHaiku 4.5が6.4%、GPT-6 Lunaが29.1%、Haiku 5.5が46.4%。いずれもHaiku 5.5が最大の設定(max)で3モデル中もっとも高い。
値がある項目はすべて、Haiku 5.5が3モデル中もっとも高い

値がある6項目すべてで、Haiku 5.5はHaiku 4.5とGPT-6 Lunaの両方を上回っています。ただし注意が2つあります。Humanity's Last Exam は GPT-6 Luna の値が「—」(未測定扱い)だったため表から外しました。また点数は公式発表の最大設定(max)のもので、既定設定(medium)で使うとこの点数にはなりません(出典: 同上)。

初めて「考える量」を選べるようになった

公式は「Haiku 5.5は、調整できる考える量(effort)を持つ初めてのHaikuクラスのモデル」と説明しています(出典: https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5)。発表ページのグラフから、OSWorldとGDPval-AAでの効果(点数と費用)を抜き出しました。

設定 OSWorld 2.1(点数・費用) GDPval-AA v2.1(点数・費用)
Low 42.0% / $0.07 1125 / $0.01
Med 53.3% / $0.13 1277 / $0.03
High 61.3% / $0.18 1420 / $0.09
Xhigh 67.6% / $0.28 1513 / $0.27
Max 72.4% / $0.61 1620 / $0.87
Haiku 4.5(Max) 15.7% / $1.45 735 / $0.24

出典: すべて https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5(1タスクあたりの費用。発表ページのグラフに埋め込まれた数値から書き写した)

Haiku 5.5の一番安い設定(Low・1タスク$0.07)は、Haiku 4.5の最大設定(Max・1タスク$1.45)より安いうえに正確です(OSWorldで42.0%対15.7%)。GDPval-AAでも同じ形で、Lowの1125点・$0.01がHaiku 4.5のMax・735点・$0.24を上回ります。既定の設定は medium です(出典: https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/overview)。

乗り換えると止まる設定が4つある

公式の「What's new」ページには、Haiku 4.5からの変更点がまとめられています。そのうち4つは「Breaking」(エラーで止まる)と明記されています(出典: https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/whats-new-haiku-5-5)。

設定 Haiku 4.5 Haiku 5.5
「考える」を手動で指定(budget_tokens) できる エラー(effort に置き換える)
temperature / top_p / top_k の既定値以外の指定 できる エラー(指定を外す)
アシスタントの発言で文章を続ける指定(prefill) できる エラー(ユーザーの発言で終える)
パソコン操作の古い道具(computer_20250124) 使える Claude APIとGoogle Cloudではエラー(computer_toolset_20260801 に替える)

モデル名だけ書き換えて乗り換えると、上の4つの設定を使っている自動化はその場で止まります。

エラーにはならないけれど、気づきにくい変化も3つあります(出典: 同上)。

  • 安全装置が依頼を拒否するとき、stop_reason が "refusal" になる。クライアント側で受け止める処理が要る
  • 「考える」内容のテキストは既定では表示されない。見るには thinking.display を "summarized" にする
  • 「考える」内容を別のアカウントで再生すると無効になる。生成した側のアカウントで再生する

複雑な自動コーディングはまだ上位モデルが要る

公式は「Sonnet 5.5とOpus 5.5は、Terminal-Bench 4.0のような複雑な自動コーディングの作業では、依然として良い選択です。対照的に、Haiku 5.5はコンパクション・要約・サブエージェント作業のような、より狭い範囲の作業に向いています」と明記しています(出典: 同上)。

Haiku 5.5 Sonnet 5.5
Terminal-Bench 4.0 39.2% 70.6%

出典: https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5

公式自身が、複雑な自動コーディングにはHaikuを使わないよう線を引いています。この表の差(31.4ポイント)がその根拠です。

読める量・書ける量・知識の締め切りも変わった

Haiku 4.5 Haiku 5.5
一度に読める量 20万トークン 100万トークン(5倍)
一度に書ける量 6.4万トークン 12.8万トークン(2倍。Message Batches APIのベータでは30万トークンまで)
学習データの締め切り 2025年7月 2026年6月
安定して正しいと言える知識の締め切り 2025年2月 2026年6月

出典: https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/overview、https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-4-5/overview、 Batchのベータは https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/batch-processing#extended-output-beta

同時に発表された2つのおまけ

Haiku 5.5 と同時に、Anthropic は2つの変更を発表しました(出典: https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5)。

  1. Claude Sonnet 5.5のキャッシュ読み取りが半額に。$0.20→$0.10(100万トークンあたり)。公式は「自動で長く作業させる使い方の費用を、約20%下げる」と説明しています
  2. Claude MaxとTeamに、月ごとのAPIクレジットが追加される。Max 5xは$100、Max 20xは$200、Teamは席をまとめて最大$500。公式は「今週中」に展開すると書いていますが、具体的な日付は書かれていません

他社の最上位モデルと比べると

単価

各社の公式料金ページから直接取った数字だけを並べます。安い系のモデルと、各社の最上位モデルは値の大きさが大きく違うため、表を分けます。

安い系モデル 提供元 入力(100万トークン) 出力(100万トークン)
Claude Haiku 5.5(10万トークン以下) Anthropic $0.10 $0.50
GPT-6 Luna OpenAI $0.10 $0.50
Gemini 3.5 Flash-Lite Google $0.30 $2.50

出典: Claude は https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/overview、GPT は https://developers.openai.com/api/docs/pricing、Gemini は https://ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing

🔍 Claude Haiku 5.5 と GPT-6 Luna は、入力・出力の単価が一致するだけではありません。読み直し($0.01)とキャッシュ書き込み($0.125)まで含めて、4つの単価すべてが完全に一致しています(出典: 同上)。

各社の最上位モデル 提供元 入力(100万トークン) 出力(100万トークン)
Claude Opus 5.5 Anthropic $4.00 $20.00
GPT-6 Astra OpenAI $10.00(短い入力) $50.00(短い入力)
Gemini 3.1 Pro Preview Google $2.00(20万トークン以下) $12.00(20万トークン以下)

出典: Claude は https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/pricing、GPT は https://developers.openai.com/api/docs/pricing、Gemini は https://ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing

安い系モデルと各社の最上位モデルの単価を比べた横棒グラフ。100万トークンあたりのドル。上下で目盛りの縮尺が違う。安い系モデル=Claude Haiku 5.5は入力0.10ドル・出力0.50ドル、GPT-6 Lunaは入力0.10ドル・出力0.50ドルで両方の4つの単価が完全一致、Gemini 3.5 Flash-Liteは入力0.30ドル・出力2.50ドル。各社の最上位モデル=Claude Opus 5.5は入力4.00ドル・出力20.00ドル、GPT-6 Astraは入力10.00ドル・出力50.00ドル、Gemini 3.1 Pro Previewは入力2.00ドル・出力12.00ドル(いずれも短い入力のときの値段)。
Haikuの出力単価は、自社の最上位モデル(Opus 5.5)の1/40、GPT-6 Astraの1/100です

出力の単価だけで比べると、Haiku 5.5はAnthropic自身の最上位モデル(Opus 5.5)の1/40、OpenAIの最上位モデル(GPT-6 Astra)の1/100です($0.50に対し$20.00・$50.00。この倍率は各社の公式料金ページの数字からこの記事が計算した)。単価が安い=支払いが安い、ではありません。会社ごとにトークンの数え方が違ううえ、GPT と Gemini は入力が長くなると単価が上がります(OpenAIは「短い」「長い」の境目を料金ページに書いていません。Googleは「20万トークンを超えたら」と明記しています)。Gemini 3.1 Pro は試用版(Preview)の表示で、長く使う前提なら値段が変わりうると考えてください。

性能

GPT-6 Lunaとの性能比較は、上の「性能そのものもHaiku 4.5より上がっている」の表がそのまま使えます。値がある6項目すべてで、Haiku 5.5がGPT-6 Lunaを上回っています。GPT-6 AstraやGemini 3.1 Proとの性能比較は、Haiku 5.5の発表ページに値が載っていないため「公表されていない」とします。

どういう人に効くか

いま動かすといい人

  • 要約・分類・ルーティング・DB検索・サブエージェント作業をAPIでさせている人。公式がそのまま挙げている想定用途です
  • すでにHaiku 4.5を使っている人。単価が下がり性能も上がっているので、乗り換えを控える理由が見当たりません(下の「設定を先に直す人」は例外)
  • Claude MaxやTeamを契約していて、自分でAPIを使ったツールを作ってみたい人。月ごとのクレジットが新しく付きます

先に設定を直す人

  • 次のどれかに当たる人は、先に設定を直してから乗り換えてください
  • 「考える」をbudget_tokensで手動指定している
  • temperature等を既定値以外にしている
  • アシスタントの発言で文章を続けている(prefill)
  • 古いパソコン操作の道具(computer_20250124)を使っている

急がなくていい人

  • Sonnet やOpus で複雑な自動コーディングをさせている人。Terminal-Bench 4.0でHaiku 5.5はSonnet 5.5の約半分の点数です
  • 他社の最上位モデル(GPT-6 Astra・Gemini 3.1 Pro)と性能で比べたい人。Haiku 5.5の発表ページに、その比較の数字が載っていません

この記事で分からないこと

  • 実際に使ったときの体感
  • 日本語での文章の品質
  • 新しい月次APIクレジットの提供開始が具体的にいつか(公式は「今週中」としか書いていません)
  • GPT-6 AstraやGemini 3.1 Proとの性能の直接比較(Haiku 5.5の発表ページに値がありません)

どれも公式ページに数字がなく、運営者も試していないので書けません。

出典一覧

すべて各社の公式ページです。まとめ記事・ニュースサイト・個人ブログは1件も使っていません。

  1. Claude Haiku 5.5 の発表(Anthropic・2026年10月7日): https://www.anthropic.com/claude-haiku-5-5
  2. Claude Haiku 5.5 のモデルのページ(Anthropic 公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/overview
  3. What's new in Claude Haiku 5.5(Anthropic 公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-5-5/whats-new-haiku-5-5
  4. Claude Haiku 4.5 のモデルのページ(Anthropic 公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/models/haiku-4-5/overview
  5. Message Batches API(出力拡張のベータ)(Anthropic 公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/batch-processing#extended-output-beta
  6. 料金(Anthropic 公式ドキュメント): https://platform.claude.com/docs/en/about-claude/pricing
  7. API の料金(OpenAI 公式ドキュメント): https://developers.openai.com/api/docs/pricing
  8. Gemini API の料金(Google 公式): https://ai.google.dev/gemini-api/docs/pricing

料金と仕様は変わります。実際に支払う前に、必ず上記の公式ページで現在の値を確認してください。