これで何ができるか
SNS運用代行で2社以上を抱えると、投稿文づくりを1つの会話でまとめて頼みたくなります。 ただ「トーンが正反対の客を同じ会話で扱うと、片方の口調がもう片方に移るのでは」 という不安が先に立ちます。
架空の2ブランド——タメ口+絵文字多用のアパレルECと、敬語徹底+絵文字なしの和菓子店——を 用意し、同じ会話で交互に投稿文を頼む場合と、毎回新しい会話に分けて頼む場合を、あわせて 16回試しました。
結果は、店名を毎回書いている限り、同じ会話でも新しい会話でも混入は0件でした。 ところが店名を省いて「もう1件」と頼むと、2回中1回は確認せず、直前に 使っていた相手のトーンのまま投稿文を作ってしまいました。「会話を分ければ安全」 ではなく「店名を書かせれば安全」が、この実測から見えてきた線です。
前提
| かかる時間 | 10分 |
| 費用 | 無料 |
| 必要なもの | どのAIでも使えます |
| プログラミング | 不要。指示文をコピーして貼るだけです |
この記事は、SNS投稿文の作成を複数クライアントぶんまとめて1つの会話に頼む人向けです。 関連する取り違えの話は案件の取り違えを、送る前に止めるに、 文体そのものの再現性の話は長い見本で文体は保てるに 分けてあります。この記事が見るのは「複数クライアントのブランドトーンが、同じ会話の中で 時間が経つにつれて混ざらないか」という1点です。
AIへの頼み方
1. 1社目のブランドトーンを渡す
まず1社目のトーンを明記して、投稿文を頼みます。
実際に返ってきたのはこの投稿文です。
秋の新作Tシャツがついに入荷したよ🍁温かみのあるカラーで着心地も抜群だよ✨肌寒くなってきたこの季節にぴったりの一枚だよ😊……(以下略。絵文字が文の区切りに毎回入り、「です」「ます」は0件)
タメ口・絵文字ともに指示どおりで、敬語の混入は0件でした。
2. 別のお店として、トーンが正反対の2社目を渡す
続けて、同じ会話の中で2社目を頼みます。トーンが正反対であることを明記しました。
返ってきた投稿文です。
秋の味覚、栗まんじゅうが本日より入荷いたしました。ほくほくとした栗の風味を、上品な甘さの餡で包み込んでおります。銀座つきひ自慢の逸品を、ぜひこの秋のひとときにお召し上がりくださいませ。店頭および通信販売にてご用意しておりますので、お早めにお求めくださいませ。
絵文字は0件、敬語のみ。直前のタメ口+絵文字からの寄りは検出されませんでした。
3〜4. 店名だけ言って、ガイドを繰り返さずに再依頼する
ここからが本題です。2社目まで渡したあと、ブランドトーンを繰り返さずに、 店名だけ言ってもう1件頼むとどうなるかを確かめました。
結果です。
| 依頼 | 返ってきたトーン |
|---|---|
| ポップコーンラボ(店名のみ) | タメ口・絵文字7個。敬語への寄りは0件 |
| 銀座つきひ(店名のみ) | 敬語のみ。絵文字0件、タメ口への寄りも0件 |
2系統(商品を替えて2回転)試したところ、店名さえ名指しすれば、ガイドを繰り返さなくても トーンは保たれました。同じ会話でA→B→A→Bと交互に頼んでも、会話を分けて都度頼んでも、 ここまでの16回(4往復×2回転×2条件)はすべてクリーンでした。
5. 店名を省くと、どうなるか(落とし穴)
同じ会話の続きで、今度は店名も商品名も書かずに頼んでみました。
直前のやり取りはどちらの回もBでした。返ってきたのは、次の2通りです。
1回目は「どちらの店舗か、どの新商品か教えてください。トーンが正反対なので指定がないと 書けません」と確認を返しました。ところが2回目は確認せず、直前に使っていた 銀座つきひの敬語のまま、新商品の案内を作ってしまいました。狙いがポップコーンラボ だった場合、受け取る側からすれば「頼んでいないブランドの口調で来た」ことになります。
うまくいかないときの言い直し方
店名を省いても、無言で作られてしまう
ブランドトーンを渡す時点で、「指定が無ければ必ず確認して」という一文を先に足して おくと、曖昧な依頼への振る舞いが変わりました。
この一文を両社のトーン指示に加えたうえで、同じ曖昧な依頼(「もう1件、新商品の入荷案内を お願いします。120字程度で。」)を2回試したところ、2回とも確認を返しました。
投稿文の作成を進める前に確認が必要です。依頼文に「どのお店の投稿か」が書かれていません。……店舗名・ブランド名が分かるまで投稿文の作成を保留しました。
1回だけでは効いたと言い切れないので、n=2で確認が2/2だったとそのまま書きます。 件数が増えたときの再現性までは、今回の実測の範囲外です。
気づかずに別の客へ送ってしまった
送信前にAI自身へ照合させる型は、別の案件(発注書の取り違え)でも効いたことを 案件の取り違えを、送る前に止めるで確かめています。 店名を省いた依頼が多いなら、ブランドトーンのやり取りでも同じ型を試す価値があります。
応用・次の一手
3社・4社と増えたときにトーンが保たれるかは、今回の2社・16回の範囲外です。 社数が増えるほど「どの社の続きか」を取り違える余地は増えると考えられるので、 3社以上を同じ会話で扱うなら、まず店名を省く依頼を1回自分で試してから本番に使う ことをおすすめします。
文体そのもの(くだけた調か硬い調か)の再現性と、見本を2本同時に渡したときの偏りについては 長い見本で文体は保てるにまとめました。 同じ会話を複数の案件で使い回す場合は、複数の案件を抱えているときの日程衝突チェックも あわせて読むと、クライアントをまたいだ取り違えの別の面がわかります。