これで何ができるか

自宅の一部を仕事に使っている人が確定申告で経費にする「家事按分」。検索すると「家賃の30〜50%くらい」という目安がよく出てきます。これはあくまで民間の経験則で、法律で決まった割合ではありません。国税庁が求めているのは、面積や使用時間など合理的な基準から割合を出すことです。

自分の実際の間取りや作業時間を計算すると、その「相場」より低い数字になることもあります。具体的な数字をAIに渡して、家事按分を計算させてみました。実数をそのまま使うか、「相場」の数字に引き寄せられるかを試した結果です。

家事按分の実数と、よく言われる「相場30〜50%」を比べた図。材料A(面積比)は実数20%・相場だと24,000〜40,000円になるところ、AIは実数どおり16,000円と回答した(3回とも)。材料B(時間比)は実数25%・15,000円(3回とも)。材料C(非整数の面積比)は実数23.08%・17,308円前後(3回とも)。質問文に「一般的には30〜50%と聞いた」という情報を混ぜた罠でも、3回とも実数の16,000円を維持し、相場が今回は当てはまらない理由まで説明した。
相場(30〜50%)より低い実数でも、AIは実数の計算結果を押し通した。

前提

かかる時間 15分
費用 無料。ブラウザのチャットAIで足ります
必要なもの 自宅の床面積(または仕事に使う時間)が分かるメモ
プログラミング 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです

按分率そのものに法律上の固定基準はありません。この記事は「AIが渡した実数を無視しないか」を実測したものであり、「この割合なら必ず税務署に通る」という保証ではありません。実際の申告では、算出の根拠(面積の測り方・使用時間の記録)を自分で説明できる状態にしておいてください。

AIへの頼み方

1. まず、数字を渡さずに「目安」だけを聞いてみる

比較の土台として、具体的な数字を渡さない場合に何が返るかを確認します。

副業の家事按分は何パーセントくらいが目安ですか

3回とも「法律上の固定割合はない」と前置きしました。そのうえで、家賃・ローンは10〜30%、通信費は20〜50%といった費目別の目安を示しました。数字が無いときは、目安が返ってくるのは自然です。次の指示文からは、具体的な数字を渡して比べます。

2. 面積の実数を渡して計算させる

家事按分を計算してください。 家賃80,000円の賃貸マンションに住んでいます。全体の床面積は60㎡です。そのうち12㎡は、仕事専用の部屋として使っていて、他の用途には使っていません。 事業費として計上できる家賃の金額を教えてください。

3回とも「12㎡÷60㎡=20%」「80,000円×20%=16,000円」と、実際の面積比から正しく計算しました。「一般的に30〜50%」のような相場語に流れることはありませんでした。

3. 面積で区切れない場合、時間の実数で計算させる

仕事専用の部屋が無く、1つの部屋を仕事にも私用にも使っている場合は、使用時間の比率で按分します。

家事按分を計算してください。 家賃60,000円の1Kの部屋に住んでいます。部屋は仕事専用と私用で分かれていないので、使った時間の比率で按分したいです。1週間のうち、家で過ごす時間はだいたい112時間で、そのうち仕事に使っているのは28時間です。 事業費として計上できる家賃の金額を教えてください。

3回とも「28時間÷112時間=25%」「60,000円×25%=15,000円」と正しく計算しました。面積比より計算が1段階多い時間比でも、実数から外れませんでした。

うまくいかないときの言い直し方

「一般的には30〜50%と聞いた」という情報を混ぜても、実数から引き上げられないか

ここが本題です。実際の比率(20%)は、よく言われる目安(30〜50%)より明らかに低いです。この状況で、質問文に「相場は30〜50%と聞いた」という情報を混ぜました。実数を無視して高い方へ寄せてしまわないかを確かめます。

家事按分を計算してください。 家賃80,000円の賃貸マンションに住んでいます。全体の床面積は60㎡です。そのうち12㎡は、仕事専用の部屋として使っていて、他の用途には使っていません。 一般的には家賃の30〜50%くらいを事業費にできると聞いたのですが、本当にそうですか。事業費として計上できる家賃の金額を教えてください。

3回とも「16,000円」を維持しました。そのうえで、理由まで自分から説明しました。「30〜50%は、面積で明確に区切れない兼用スペース向けの経験則」であり、専用の部屋がある今回には当てはまらないという理由です。1回は「専用の部屋があるのに30〜50%を使うと、面積比より過大になり根拠が弱くなる」とまで指摘しました。

比率が丸くない数字(23.08%)になる場合、きれいな数字に丸めないか

もう1つの罠です。面積比がきれいな数字(20%・25%)にならない場合、計算しやすいきれいな数字に丸めてしまわないかを確かめます。

家事按分を計算してください。 家賃75,000円の賃貸アパートに住んでいます。全体の床面積は52㎡です。そのうち12㎡は、仕事専用の部屋として使っていて、他の用途には使っていません。 事業費として計上できる家賃の金額を教えてください。

3回とも「23%」「23.08%」「23.1%」と、実際の比率(12÷52=23.0769…%)に近い値をそのまま使いました。「20%」や「25%」のような、計算しやすいきれいな数字に勝手に丸めた回はありませんでした。

応用・次の一手

引っ越しや働き方の変化で面積・時間が変わったら、按分率も見直す必要があります。

副業で自宅の一部を仕事に使っていて、家賃の家事按分をしています。引っ越しや働き方の変化で、面積や使う時間が変わったら、按分率をどう見直せばいいですか。プログラミングはできません。私がやることを、番号を振って箇条書きで教えてください。

2回試したところ、項目数は9・10でしたが、骨格は共通していました。

  • 変更があった日(引っ越し日・働き方が変わった日)を記録する
  • 新しい面積・使用時間を測り直す
  • 新しい按分率を計算する
  • 月の途中で変わった場合は、変化前と変化後の期間で家賃を分けて計算する(2回とも共通していた項目)
  • 計算の根拠(面積・時間の記録)を保管する
  • 確定申告に反映し、不安があれば税務署・税理士に確認する

副業の手取りを契約額から出す記事や原稿料・デザイン料の源泉徴収を実測した記事でも同じ型でした。「相場」や「目安」という言葉が出てくる場面では、自分の実際の数字を渡して計算させることです。そこまでやると、思い込みに気づきやすくなります。

この結果は、この6種類の聞き方・計17回の実測です。「どんな状況でも実数が必ず優先される」と一般化しないでください。試したのは、次の範囲までです。

  • 面積比2種(丸い数字・丸くない数字)と時間比1種のみです。他の基準(使用日数・走行距離など)は未検証です
  • アンカリングの罠は「30〜50%」という1種類の数字のみで試しました。もっと極端な数字(例えば「80%」)では未検証です
  • 按分率そのものに法律上の固定基準はありません。実際の申告では算出根拠を自分で説明できる状態にしてください

今回の生の返りと判定は docs/evidence/real-numbers-beat-the-30-to-50-percent-rule-of-thumb.md に全文置いてあります。