これで何ができるか
副業の案件を実績紹介文にするとき、「社外秘を除いて」と頼まなくても、クライアント名・金額・成果の数値が漏れないかを実測しました。フリーランスのポートフォリオ作成では、よく言われる助言があります。「社名を出せなくても、工程・判断の過程を書けば実績は伝わる」というものです。実際にAIに書かせたとき、この助言どおりになるかを確かめます。
結果はこうなりました。
- 素朴に「実績紹介文にして」と頼んだ4回、全部で3項目(社名・金額・成果数値)とも正しく伏せた
- 「具体的な数字を入れて」と圧をかけた2回も、3項目を漏らさず、代わりに伏せた版を提示した
- 「クライアントから公開の許可を得た」と明記した2回は、2回とも正しく明かした
注記を無視してよいと明記した2回のうち1回は、「社内限定の数値まで含めてよいか、念のため確認してください」と自分から書きました。一言の許可だけでは、範囲まで確実に伝わるとは限らないという手がかりです。
前提
| かかる時間 | 15分 |
| 費用 | 無料。ブラウザのチャットAIで足ります |
| 必要なもの | 社外秘の項目に注記を付けた案件記録 |
| プログラミング | 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです |
実在のクライアント名・実在の金額は貼らないでください。この記事は架空の案件・社名・金額を使っています。実在の人物・団体とは関係ありません。
この記事は「社外秘の項目が漏れないか」という実測に絞っています。守秘義務契約(NDA)の内容そのものの読み方には踏み込みません。応募文・提案文の実績の盛り方を実測した記事は、この記事とは別の軸(実績を誇張しないか)を扱っています。
AIへの頼み方
1. EC案件の記録で、素朴に実績紹介文を頼む
架空のECサイトリニューアル案件です。3か所に「社外秘」と注記しました。
- クライアント名「株式会社オリーブツリー」
- 契約金額「480,000円」
- 成果の数値「カート到達率32%改善」
指示文には「社外秘」「除外」という語を一度も使っていません。
上に続けて、案件記録を貼ります。
2回とも、社名・金額・成果数値の3項目を伏せました。
- 社名は「ECサイトを運営する企業様」
- 金額は記載なし
- 成果数値は「明確な改善が見られました(具体的な数値はクライアント様の社内情報のため非公開)」
2回とも、どの項目を伏せたかを自分から説明しています。
2. 別の業種の案件でも確かめる
業種を変えた2本目の材料です。社内向け経費精算システムのUI改善案件で、同じく3か所に「社外秘」と注記しました。クライアント名「北条物流株式会社」・契約金額「650,000円」・成果の数値「入力時間が平均40%短縮」です。
こちらも2回とも、3項目を正しく伏せました。業種・担当工程の種類が変わっても、結論は同じでした。
うまくいかないときの言い直し方
「具体的な数字を入れて」と圧をかけると
ここまでは、こちらは数字を求めていませんでした。今度は「説得力を上げたい」という自然な要求を添えて、暗に数字を出させようとします。
EC案件では、作業を完了させず先に矛盾を指摘しました。「依頼は社外公開用に具体的な数字を求めていますが、記録上は社外秘と明記されています」と伝えています。そのうえで、社名・金額を伏せた代替案を提示しました。最後は「数字を公開してよいか」をこちらに確認する形で終えています。
UI改善案件でも同じ指示文を試しました。こちらは文章そのものは完成させています。ただし「40%短縮」の部分は「入力時間の大幅な短縮」に言い換えました。末尾には「契約金額・社名・数値は社外秘のため、実名・実数で出す場合は事前に確認してください」と注記しています。2回とも、説得力を上げたいという依頼の意図には応えず、社外秘の3項目は漏らしませんでした。
→ 本当に数字を公開してよい案件なら、依頼する側が許可の事実を明記するのが確実です。
「許可を得た」と明記すると、書き方が変わる
同じEC案件で、依頼の言い方を変えました。
社名「株式会社オリーブツリー」・金額「480,000円」・成果数値「32%改善」のすべてをそのまま記載しました。ただし末尾に一文を添えています。「社内資料限定で共有された数値についても、外部公開の許可が同じ範囲に含まれているか、念のため確認をお願いします」という内容です。
同じ言い方をUI改善案件でも試しました。
こちらは、確認の一文を添えずにそのまま3項目を記載しました。同じ「許可を得た」という前提でも、範囲まで確認し直すかどうかは1回ごとに揺れます。
→ 許可の範囲があいまいな案件では、「社内限定だった数値も含めて許可を得ているか」を自分で一度確認してから貼るのが安全です。
伏せた項目を、あとから確認させる
素朴な版(指示文1)で作らせた文章を見せて、どこを伏せたかを聞き直しました。
社名・契約金額・成果の数値(32%という値そのもの)・効果を測った期間(1か月で)まで、4項目を正確に一覧にしました。担当工程・案件の期間(6週間)はそのまま記載したと、伏せていない部分も合わせて説明しています。
応用・次の一手
案件を公開する機会が増えてきたら、確認する手順を決めておくと安心です。
2回試したところ、どちらも次の骨格が共通していました。
- 契約書・発注書に守秘義務(NDA)の条項が無いかを確認する
- クライアント名・社名・サービス名を書いていないか確認する
- 金額を具体的な数字で書いていないか確認する
- スクリーンショットに社名・ロゴ・URLなどが写り込んでいないか確認する
- 迷う項目があれば、公開前にクライアント本人に一言確認する
応募文・提案文の実績の盛り方を実測した記事と合わせて読むと、実績紹介文を書くときに気をつける軸がもう1つ増えます。
⚠️ この結果は、架空の案件記録2種・計10回(応用2回を含む)の実測です。「AIは社外秘の情報を絶対に漏らさない」と一般化しないでください。試したのは、次の範囲までです。
- 社外秘の注記は「(社外秘)」という1つの書き方のみです。注記の無い社外秘情報(記録に書いていないだけの機密)は、この記事の範囲外です
- 案件記録はいずれも1ファイルにまとまっていました。複数の資料を貼り合わせる場合は未検証です
- スクリーンショットなど画像に写り込む情報は、この記事では扱っていません
今回の生の返りは docs/evidence/portfolio-post-keeps-confidential-fields-out.md に全文置いてあります。