これで何ができるか

AIの新モデルや新機能の発表を、自分で見に行かなくても向こうから届くようにします

  • OpenAI・Anthropic・Google・xAI・DeepSeek など15の公式ソースを1時間おきに自動チェック
  • 「新モデル発表」級のものだけその場でメール(1時間に最大1通)
  • 細かい更新は溜めておいて毎朝7時台に1通にまとめて配信
  • サーバーもVPSも不要。GitHub の無料枠だけで動く

届くメールは2種類です。

2種類のメール。上は重要アップデートの即時通知で、件名は「🚨 AI重要アップデート 1件」、本文にDeepSeekの新モデル名・公開日時・HuggingFaceのURL・要約が並ぶ。下は毎朝のダイジェストで、件名は「📮 AI更新ダイジェスト 3件」、Claude Codeのリリースが2件並び、末尾に「qwen-blog: 3回連続で失敗 (HTTPError: 404)」という死活警告が付いている。
実際に届くメール。2026年8月1日にソースを取得し、この記事で作る仕組みでそのまま組み立てた本物の出力です(配色だけこの記事に合わせています)。

全体はこう動きます。

処理の流れ。15の公式ソースを毎時17分に取得し、seen.jsonに無いものだけを新着として重要度判定にかける。重要なものはその場でメール送信、それ以外はキューに溜めて毎朝7時22分のダイジェストで1通にまとめて送る。
毎時17分に取得し、既読でないものだけを重要度で振り分けます。判定に迷ったときは必ず「重要でない」側に倒します。

この記事にプログラムは出てきません。代わりに、AIに何と頼んだかをそのまま載せます。運営者もコードを手で書いていません。頼んで作ってもらったものが、いま毎時動いています。

前提

かかる時間 1時間(うち待ち時間20分)
費用 無料。GitHub Actions の無料枠内で収まります
必要なもの GitHubアカウント / Gmailアカウント / ファイルを作れるAI
プログラミング 不要。この記事の指示文をコピーして貼るだけです

「ファイルを作れるAI」とは

ここが最初の分かれ道です。

ブラウザで使うチャット(ChatGPTやClaudeのWeb版)は、答えを表示してくれますが、自分のパソコンにファイルを作ってはくれません。コードをコピーして、自分で正しい場所に正しい名前で保存する作業が発生します。ここで挫折します。

Claude CodeGitHub Copilot CLI のような、パソコンの中で動いてファイルを直接作れるAIを使ってください。「作って」と言えば本当にファイルができます。この記事はそれを前提にしています。

AIへの頼み方

1. 最初に「何を作りたいか」を丸ごと伝える

細切れに頼むと、AIは前後関係が分からないまま作るので、後で噛み合わなくなります。最初に全体像を1回で渡してください。

AIの新モデル・新機能の発表を自動で集めて、重要なものだけメールで受け取る仕組みを作りたいです。 条件: - サーバーは借りたくない。GitHub Actions の無料枠だけで動かす - 1時間おきに公式ソースをチェックする - 「新モデル発表」級のものだけ即メール、それ以外は翌朝1通にまとめる - 通知は多くても1時間に1通まで。受信箱が溢れるのが一番困る - 私はプログラムを書けないので、ファイルはすべてあなたが作ってください まず全体の構成を説明してから、作り始めてください。

最後の一文が効きます。いきなり作らせると、意図と違うものが出来上がったときに全部やり直しになります。構成を先に聞けば、違ったらその場で直せます。

2. 追いかける先を「実際に開いて」確認させる

追いかけるソースを決めたいです。OpenAI・Anthropic・Google・DeepSeek の公式ブログやリリース情報のRSSのURLを調べてください。 ただし、実際にそのURLにアクセスして、本当に中身が返ってくるか1件ずつ確認してからリストにしてください。開けなかったものはリストに入れず、「開けなかった」と報告してください。

「実際に開いて確認して」を必ず付けてください。これが無いと、いかにもありそうで実在しないURLを自信たっぷりに書いてきますhttps://openai.com/blog/rss.xml のような、もっともらしい嘘です。

実際にこの指示で確認したところ、Anthropicの公式ニュースはRSSを出しておらず(3つのURLを試して全部404)、代わりにGitHubのリリース情報で追う形になりました。聞かなければ、存在しないURLを設定した仕組みが出来上がっていました。

3. 判定の「倒す方向」を指定する

重要かどうかの判定は必ず外れます。外れたときにどっちに倒れてほしいかを先に言ってください。

重要かどうかの判定を作ってください。 判定に迷ったときは、必ず「重要ではない」側に倒してください。重要ではない扱いになっても翌朝のまとめには必ず載るので、情報は失われず最大24時間遅れるだけです。逆に「重要」を出しすぎると全部読まなくなって、そちらのほうが実害が大きいです。

「なぜそう倒すのか」まで書くのがコツです。理由を書くと、AIは判定を追加するときも同じ方針で作ってくれます。理由なしに「minorに倒して」とだけ言うと、別の場所では勝手に逆に倒します。

4. 事故を「先に疑って」聞く

ここが一番お金と時間を節約する質問です。

この仕組みを初めて動かすとき、過去記事が全部「新着」と判定されて大量のメールが飛びませんか。 飛ぶなら、初回だけ通知せずに全部既読にするモードを先に作ってください。あわせて、そのモードを実行していない状態では通常運転できないようにしてください。

返ってきた答えは「その通りです。OpenAIのフィードだけで1105件あるので、初期化せずに動かすと1105通飛びます」でした。

初期化を飛ばした場合と実行した場合の比較。飛ばすとフィードの過去記事が全部新着と判定され、OpenAIのフィード1本だけで1105通の通知が飛ぶ。先に初期化を実行すると全件を既読として記録し、通知は0通。以後は本当の新着だけが届く。
左が初期化を飛ばした場合、右が先に実行した場合。差は「既読の記録が1件でもあるかどうか」だけです。

AIは頼まれたものは作りますが、頼まれていない安全装置は付けません。「〜になりませんか」と先に疑って聞くだけで、1000通のメールを1回防げます。

そして「気をつける」で済ませないでください。上の指示の後半、「実行していない状態では通常運転できないように」が本体です。深夜に眠い頭で作業する自分は、必ず手順を飛ばします。

5. 動かす時刻に注文を付ける

1時間おきに自動で動かす設定を作ってください。 毎時0分は世界中の利用者が殺到して遅延やスキップが起きるので、17分のような半端な時刻にしてください。あわせて、手動でも実行できるボタンを出せるようにしてください。

「手動でも実行できるように」は毎回言ってください。これが無いと、詰まったときに次の自動実行まで手が出せません。

6. 動かす前に、何が起きるか説明させる

実行する前に、次の3つを教えてください。 1. 私がこれから手でやる作業を、順番に番号を振って書いてください 2. 各ステップで、うまくいったときに画面に何が出れば正解ですか 3. この仕組みが動き出すと、私に何が届きますか。どのくらいの頻度ですか

2番が効きます。「正解の見た目」を先に聞いておくと、失敗にその場で気づけます。聞かないと、何も起きていないのを「うまくいった」と思い込んだまま数日過ぎます。

このとき返ってきた「あなたの作業」は3つだけでした。GitHubにファイルを置く、Gmailのアプリパスワードを取る、GitHubの設定を2箇所変える。

GitHubのSettingsで触る2箇所の図解。1つ目はSecrets and variablesのActionsで、GMAIL_USER・GMAIL_APP_PASSWORD・ALERT_RECIPIENTの3件を登録する。2つ目はActionsのGeneralにあるWorkflow permissionsで、初期値のRead repository contents permissionではなくRead and write permissionsを選び、Saveを押す。
GitHubの画面配置を説明するための図解です(実際の画面とは配色・文言が異なります)。この2箇所だけは人間が画面で操作します。

パスワードやAPIキーは、AIに渡さないでください。「Secretsに登録する手順を教えて」と聞くのはかまいませんが、値そのものは自分でGitHubの画面に入力します。

7. 初回の実行

ここだけは自分で打ちます。AIが「これを実行してください」と言ってくるはずです。

python -m tracker.run --mode bootstrap
初期化しました。311件を既読として記録(通知なし)

メールは1通も飛びません。手順6の2番で「正解の見た目」を聞いておけば、この表示が出れば成功だと分かります。

うまくいかないときの言い直し方

ここからが本題です。全部、実際に詰まって言い直した記録です。

「たぶん動くと思います」と言われた

一番危ない返事です。動かしていないのに完成扱いになっています。

「たぶん」ではなく、実際に動かして確かめてください。 動かせない部分があるなら、どこがどういう理由で確認できていないかを正直に書いてください。確認できていないものを「できました」と言わないでください。

これを言うようになってから、完成したと言われたものが動かない、が激減しました。

存在しないURLや設定を書いてきた

いま書いてもらったURLを、1件ずつ実際にアクセスして確認してください。開けなかったものは削除して、削除したことを報告してください。 「たぶんこれで合っている」で書かないでください。

AIは「もっともらしいもの」を作るのが得意なので、存在の確認だけは毎回明示的に頼む必要があります。

メールは届いたのに、次の時間に同じものがまた届く

同じ通知が毎時間繰り返し届きます。「どれを既読にしたか」の記録が保存できていないのだと思います。 エラーが出ていないか、保存する権限が足りていないかを調べて、原因を教えてください。私の側で変える設定があるなら、画面のどこをどう変えればいいか書いてください。

このときの原因はGitHubの権限設定でした(上の図の右側)。初期値のままだと、メールは届くのに記録の保存だけが失敗します。「エラーが出ていないのに結果がおかしい」ときは、権限を疑ってください。

通知が多すぎる/少なすぎる

通知が多すぎます。過去1週間に届いたものを一覧にして、それぞれ「これは知りたかったか」の観点で分類してください。 そのうえで、どういうルールにすれば不要なものだけ減らせるか、案を2つ出してください。いきなり直さず、案を見せてください。

「いきなり直さず案を見せて」が重要です。すぐ直させると、必要な通知まで一緒に消えます。

頼んでいないことを勝手にやり始めた

いま頼んだのは○○だけです。それ以外は触らないでください。 すでに変えてしまったものがあれば、何をどう変えたか一覧にしてください。

親切心で周辺を「整理」してくれることがあります。動いているものが壊れる原因の上位です。

直したはずなのに、また同じ失敗をする

会話が変わると、前に決めたことは忘れられます。

いま決めた方針を、次回以降も覚えておいてほしいです。理由も含めてメモとして残してください。

これを繰り返すと、だんだん説明しなくて済むようになります。詳しくは Claude Codeに「記憶」を持たせる に書きました。

応用・次の一手

追いかける先を増やすのが一番効果的です。

追いかけるソースに、次のサイトを追加してください。RSSがあるか調べて、実際に開いて確認してから追加してください。 (追加したいサイトのURLを貼る)

自分が普段チェックしているサイトを片っ端から入れてみてください。設定ファイルに数行増えるだけで、プログラムは変わりません。

通知先を変えることもできます。

通知をメールではなく Slack に送りたいです。いまの仕組みのうち、送信する部分だけを差し替えられますか。他の部分は触らないでください。

この仕組みを作った日から、AI関連の情報収集に使う時間はほぼゼロになりました。見に行かなくても、重要なものは向こうから来るからです。

次は GitHub Actionsで「毎日決まった時刻に自動実行」を頼む を読むと、時刻を指定する部分だけを他の用途に転用できます。